第12話 久々のダンジョン
テイミングのことで思わず話し込んでしまっていたら部長が一言。
「まあテイムの話はいいとして。一回さくっとアルヘナへ行ってみようか。時間もなくなってしまうよ」
「失礼しました部長。私ったらつい。」
「初めてだから仕方ないよ。では諸君、祠に行こうか」
部長に率いられた私達はダンジョンへの転移門のある祠へと移動する。
いやあ、ひっさし振りだなあ。たのしみだなー!
ワクワクしながら祠へ行くと、目の前にはシエラ先生がいた。
「あれ?先生。どしたの?一緒に行く?」
「もう被った猫がずりおちていますよ。私は引率で付いて行くだけです。可愛い教え子もいますからね」
「一緒に来たいって言えばいいのにー。ね、カリナ?」
「そうは思いますが、先生にも立場もありますので言いづらいのでは。私はアーシャ様と一緒でいつも幸せですが」
「むむ。褒めても何も出さないぞ」
「はいはい。イチャイチャするのはそのあたりにしておいてください。それでは本日の武装を出しなさい」
シエラ先生に怒られた。全部カリナのせいだ。まったくもー。
武装を出してねっていわれたから私はいつもの槍を出す。
ちなみに防具は学校指定の制服だ。
この制服は異世界の勇者が指定したタイプだが、セーラー服は最強なのだ!との勇者の言葉に従ってエンシェントインフェルノワームの糸で作られた布に対刃エンチャントを施してあるというそこらの鎧よりよっぽど防御力の高い制服なのだ。当然値段も張る。
だから貴族家や一部の商人なんかしか入学して制服を買ってあげられることが出来ない。という訳で子供を学園に入学させるのは上流家庭のたしなみなのだ。子供にそんな事もできないような環境の家には碌な結婚相手も回ってこない。というわけで貴族社会でハブられるらしい。
王家なんて行って当然。行かないと周りからもう色々ややっこしい。ってママが言ってた。
だからパパやママや国民のために諦めて学校行ってねって。
まあそう言われるとまあ仕方ないね。
すっごく嫌だけど、ダンジョンがあるからまだ良しかなあ。
私が一人でウンウンうなっている間にみんな武器をシエラ先生に見せていた。
カリナは短剣と弓、部長は剣と盾、副部長のクロエさんは杖、そしてエルリーシャさんは笛?どうするんだろうか。気になるなあ。
どうも部長は装備からして前衛だとして、クロエさんは杖を持っているから魔法使いかと思ったけど、先生との会話を聞くとヒーラーのようだ。すごい。
私はヒーラーってスラちゃんたちしか見たことない。自分でもゆる~い回復は使えるけども、本当にしょぼい効果の奴だけだ。どうも自分にはあんまり必要ないせいか、上手くならない。
カリナは一応私より性能のいい回復魔法を使えるけど毛が生えた程度だ。二人とも切り傷くらいなら治せるけど骨折以上は難しい。内蔵の傷なんかも軽いのなら治らなくもないって程度。
あー、そういえば回復魔法を使える知り合いといえばキングさんがいた。
でもアレはなんと言うか別格過ぎて。死んでる人がホイホイ起きてくるし、私が倒したオークなんて消し炭みたいな状態からホイっと復活してたし。アレは参考にしちゃだめだろう。
いやあ、それにしてもダンジョンって楽しみだなあ。
ものっ凄く久しぶりだなあ。約3年ぶりだよ?
こんなに入ってなかったのは初めてなんじゃないかな?
「アイーシャリエルさんは槍なんだね?魔法を使うのかと思っていたよ」
「部長、私のことはアーシャと。魔法でもいいですし槍でも戦えるとは思います。メンバーの状態を見て何をするか考えようかなと」
「なるほど。私が前衛だけど後はみんな後衛だから、アーシャ君にも前衛をお願いしていいかな?」
「大丈夫です。よろしくお願いしますね」
「では参りましょうか。アーシャ様はほどほどに頑張ってくださいね。」
「はい!シエラ先生よろしくお願いします!」
ひっさしぶり~たっのしみ~!
私に尻尾があればブンブンはちきれんばかりに尻尾が振られているだろう。
そういう自覚はある。
(浮かれすぎプルよ。気をつけるプル!)
(はーい。でもウキウキするね!)
(それはするプル。こんな大人数もはじめてプルね。)
そうだなあ。ほんと楽しみ。
シエラ先生に先導されながら祠の中へ。先生が代表して転移の魔水晶に魔力を注ぎ込む。
すると独特の浮遊感があり、付いた先はアルヘナダンジョンの1階層…らしい。
鑑定しても私の鑑定スキルじゃわからない。
壁を鑑定すると出てくるのは
ダンジョンの壁:耐久度6800
自己修復
これだけだ。どこのダンジョンだか何階層なのかはさーっぱりわかんない。
一応鑑定スキルのレベルが上がればいそんなことがわかるっていうからできるだけ色々鑑定しているけどこれもなかなか上がんないんだよなあ。
のっしのっしと歩く。一応部長のほうが私より前で、次が私。その次はエルリーシャ様、カリナ、副部長のクロエさん、そしてシエラ先生の順番だ。
この順番もシエラ先生がいないときのことを考えると色々考える必要があるだろうなあ。
そうこうしつつ歩く、第一ダンジョン人発見!
「ゴブリンです。「よし、一応…」ファイアボルト!」
「ピギッ!」
哀れ一人で歩いていたゴブリンは私があっさりとしとめてしまった。
部長が何か言いかけていたような気が?
「一応気をつけてって言いたかったけど、まあいいか。この階層くらいじゃあ何の問題もないみたいだね。さあ、ガンガン行こう。」
「「「「はい。」」」
結局この日は4階層まで進んだ。
先輩たちは20階層のボス手前くらいまでは進んでいるらしい。
今のところ出てくるモンスターはゴブリンとか猿とか、なんだか人型が多かったけど、どうという事はなかった。未だ低層もいいところだし、出会いがしらの魔法一発で終わるのだ。
時間が来たのでダンジョンから出て部室へ。
部室で先輩たちとは解散して帰宅して今日の探索は終了だ。
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