第10話 歴史の授業
結局2つの部活動を掛け持ちすることになった。カリナは罠部の方も一緒に行くんだって。
忙しそうだなあ。
「罠感知委員会ですよ。アーシャ様。」
「むむ、なぜ考えていることが分かった!?噂の新型か!?」
「何が新型ですか?アーシャ様とは長い付き合いだから大体考えてることは分かりますよ」
「ホントに?熟年夫婦みたいじゃん。風呂!メシ!寝る!みたいな」
「熟年はともかく、夫婦はすばらしいですね。じゅる」
じゅるって何だじゅるって。
カリナは元々ポンコツだったけどだんだん壊れてきてる気がするなあ。
さあて、今日も学園だ。
教室ではハイエルフのサラージュ先生による歴史の授業が行われている。
「およそ1万年ほど前に神代が終わりを告げ、それから主神様が不在の現在のような状態になった事は皆さんご存知かと思いますが、神代の終わりに何があったかを知っているものは誰も残っていないといわれています。それ以前の時代に何が起こったのかを知っているものは現在誰もおらず、また文献もロクに残っていません。何が起こったのか、神とはどのような存在であったのかは現在のところは不明ですが、我々は……」
ママや魔王様たちなら知ってるんじゃないのと思わなくもないけど、言わないという事はそれなりの理由があるんだろうなあ。私達がホイホイ踏み込んでいい領域ではなさそうだし。
とりあえず今の問題はすっごく眠い事だ。サラージュ先生には悪いけどホントのこととか聞きたかったらママやキングさんにこっそり聞けばいいんじゃないかと。
研究者の方々もあの辺の人たちにに聞けばいいとおもうんだけど。
それはそうと、今日の放課後、ダンジョン攻略部は新入生歓迎会を兼ねてダンジョンに行くんだって!素晴らしいではないか。ぬふふ。
ニヤニヤしながら入り口への転移門がある祠を見る。
窓の外に転移門が見えるってのも素敵だなあ。
もう吸い込まれて行ってしまいそうだなあ。いや、いっそ吸い込んで欲しい。
このまますいーっと……
すいーーーーーっと…眠気が…
「……そして、かの有名な魔神戦争が起こりましたね。ここにいらっしゃる方々の中には長命種の方もいらっしゃいます。あるいは父母に……」
眠気が……ぐー。
「アイーシャリエル様、聞いておられますか?」
「はい。魔神戦争の話です」
「そうです。魔神戦争はおおよそ400年前に起こりました。その結果どうなったのでしたか?」
「おおよそ当時の50%ほどの人口が減少した。それと魔神の中でも首領格だった者を始め、何柱かは封印したが、いくらかは逃げられたはずだ」
そう。あいつらは生き残ってしまったのだ。
あれだけ痛めつけたのに。不死者とはいえ肉体のみならず魂まで削りきったというのに……
だが奴らも完全な状態ではいられない。その証拠に今まで復活を抑えられていたのだ。
しかしこの私が復活したということは奴らも……
「……そうですね。これは本来卒業時にお知らせするべき事ですが。本当は魔神は全て倒したわけではありません。いくらかの魔神は封印状態にするのがやっとだったとのことです。魔王様方や勇者様の力を持ってしても完全に消し去るのは不可能だったとのことですね。皆さん、今の話は他のクラスの方には言わないようにしてください」
「封印しただけって……」
「勇者様でもだめだったの?」
「勇者様と魔王様が共闘してもだめだったなんて……」
教室がザワザワしている。
そこでふっと我に返った。あれ?なんだか今おかしな事考えてたなあ。
私が復活したらなんだって??うーん?
というここのザワザワっぷりはなんだっけ??
あれ?私なんかやっちゃったぽくない?
なんだか変なこと喋っちゃったような???あらら??
(アーシャ様、今のは言っちゃダメですよ)
(そうだったっけ?忘れてた)
忘れてたと言うかそもそも今の話は誰に聞いたんだっけ?
パパやママじゃないと思うけど。キングさん?あれれ?
おっかしいな。誰にも聞いた事ない気がするけど。何で知ってるんだっけ???
なんだかおかしいなあと違和感を感じながらも授業はどんどん進んでいく。
そしてほぼ何事もなく終わった。
学園が終わった後に家に帰ってからシエラ先生から注意されたくらいしか変わったことはない。いつものことだ。
なんだかおかしな感じになったけどまあいいか。
シエラ先生にはいつも怒られてるからね!
おれまたなんか(ry
よくネタにされてるところをネットで見かけますが、ついにアーシャちゃんもまた何かデビュー!
冗談はさておき。いつも読んで頂いてありがとうございます。
誤字脱字報告も沢山頂いております。ここのところ考えながら書きながらというペースなのでよく誤字チェックできていません。大変助かっております。ありがとうございます。




