第7話 ある日の授業風景2
1日2話投稿の1話目です。
土日は頑張ろう!
「また制御が上手くなったようですね。流石はアーシャ様です。」
だってさ。
ふふん。なんだかんだで先生に褒められるというのは悪い気はしない。嬉しいものだなあ。
先生とは4歳の時からの付き合いなのでもう11年になる。
先生はドライアド、つまり樹木の精霊なので寿命がすごく長いから見た目はあの時からほとんど変わっていないけど、実年齢は400歳を超えて・・・
「今、へんなこと考えてませんでしたか?」
「いいえ!滅相も無い。褒めて頂いて幸いです。」
400歳超えてるのに彼氏もずーっといないだとか全く思ってない。そんな失礼なことはほんのちょっとしか思ってない!このままずっと私の専属の先生でいればいいじゃないかとかは思ってるけど!
「それは・・・いえ。結構です」
先生はなんだか嬉しそうだ。いやあ照れちゃうなあ。
「そこの2人、あそんでないで。授業中ですよ一応。特に先生!どうするんですかこの空気」
照れちゃって2人して自分の髪をイジイジしているとカリナに怒られた。
周りを見るとなんだかザワザワしている。ああ、ちなみに人形はカリナが消火してくれたみたいだ。
「いまのどうやったんだ?」「どう見ても火矢じゃないような」
「詠唱も全く無かったぞ?」「魔力の収束を感じる時間も無かったわ」
「そんなことよりあの速度だ。誰か見えたか?あんなのが飛んできたら……」
なんだかどんよりしているような空気だ。
すごいといってくれるのは嬉しいけど、1年生だとはいえ何が起こったかわからないようじゃなあ。
行ってみればただの火矢に魔力をいっぱい突っ込んだだけなのにね。
「すごいですわアーシャ様!是非今度はウォーターボルトでお願いします!」
そんな中、私に話しかけてくれるのはシーレーン帝国の第3王女、ユリアンヌちゃんだ。
セイレーンの彼女は潜在能力がすごいからなあ。大きく育て!一部はもう大きいけど!
私やカリナとは全く違う。
ママに迫る勢いだ。くそう!くやしい?いやうらやましい?むしろ揉んでみたい!
おっと、そうじゃなかった。お手本してあげないと。
「では、見ていてくださいね」
「はい!」
「ウォーターボルト!」
色々とテンションの上がった私は的を作り、同じように水矢を凝縮し、魔力を込めて放つ。昔は水属性は苦手だったけど、最近は努力の結果か、まあまあ。他のよりは一段劣る程度には使えるようになってきたのだ。
先ほどと同じく音速を遥かに超えた速度で魔力の弾は進み、人形の頭のど真ん中を打ち抜いて地面に刺さる。今度は人形が遅れて凍結していった。
火属性魔法に過剰に魔力を込めると温度がドンドン上がっていくが、反対に水属性魔法に魔力を込めると勝手に温度がモリモリ下がるのだ。そして当たった相手を凍結させるオプションが付く。
まあ、頭ぶち抜くと大抵の相手は死ぬから燃えようが凍ろうがあんまり意味無いけどね。
人形はバキバキと全体が凍っていき、後ろにある土もバリバリと凍り始めた。
「すごい……!」
「どうでしょう?なかなかのものだと思いますが?」
「はい!すごいです!ところでアーシャ様、魔力の込めるタイミングなのですが、私は魔力が指先を通る所で後ろから押すように込めているのですが・・・」
「それはですね、ものすごく魔力をこめたいときは、魔法を打つ前から足の先から全身の魔力を浚って来るように集めるのですけれども。それで、その集めた魔力を指の少し手前の空間に集める感じですかね。ただ、あんまりやりすぎると魔力欠乏で大変なことになります。気をつけてください」
「そこまで魔力をこめるのはアーシャ様くらいですよ。普通はその前の段階で制御が出来ずに暴発します」
私がユリアンヌちゃんに極意を説明しているとシエラ先生が注意をしてきた。そんなの聞いてないよ?
「え?暴発?先生そんなこと言ってなかったじゃ……ではないですか」
「アーシャ様ははじめから魔力制御の訓練ばかりしていたでしょう?だから暴発しなかったと思いますよ。実際の所発動まで問題なかったでしょう?」
でもその後がダメだったじゃん!
あれは9歳の時だっけ。オークジェネラルさんとの激闘のあとのことだ。
魔力を全部振り絞って撃って、更に限界を超えて障壁を張った。
そしてママが来て何とか話をしている間はなんとかなったけど、あの後連れて帰ってもらってからが大変だった。家に着くなりそのまま気絶して、9歳なのにまた失禁(お漏らし)してしまうというとんでもない事態が……
だめだ。思い出しちゃダメだ。
「とにかく、ユリアンヌさん。魔力の集めすぎはダメですよ?大変な事になってしまいますよ」
「わかりましたわ。肝に銘じますね。」
そうだぞ。私のように酷い目に遭わないようにしてほしい。
お漏らしは怖いのだ……
だが頑張るためにはエサが欲しい
ブックマークや評価、感想がいただきたいにゃんとアーシャちゃんが言ってます




