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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第4章 少女は学園で無双する
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第2話 入学式その1

「とにかくダメです!行ってらっしゃいませお嬢様!」



そう言うカリナに城から無理やり連れ出され、馬車に押し込まれた。

カリナはそのまま隣で逃げないように手をつないでいる。


『行ってらっしゃいませ』は普通は見送る際の言葉だと思うのだが。



「カリナぁ。行ってらっしゃいってさあ?」


「お見送りしたらどこかに行っちゃって学園なんか行かないでしょうが」


「遊びになんていかないよ。修行だよ!」


「学園に行かない所は当たってますよね?だから付いてきたんですよ。それに国王様も王妃様も学園の入学式にはいらっしゃいますよ?お二人にアーシャ様の御立派な姿を見ていただかないと。」


「それもいやだよお。恥ずかしいよお」


「だめです!」



ニッコリ微笑見ながらキレるカリナは今日も怖かった。







「新入生の皆さん。このたびは入学おめでとうございます。私たち在校生一同は、皆さんの入学を心から歓迎しています。 このユグドラシル王立学園は、歴史と伝統のある学園であるのと同時に、生徒の自主性を重んじる自由な校風を持っています。部活動以外にも、自主研究、国際交流も非常にさかんに行われており、実際に学生生活を送っている私たち在校生も、最初は少し驚いたほどです。ですが、貴方がたは各国の代表としての自覚を持って……




壇上では在校生代表として生徒会長の挨拶が行われている。


先ほど学園長の挨拶が、そして来賓祝辞がいっぱい、次に生徒会長の挨拶が。それから次に……


だめだ。

この挨拶ラッシュは本当にどうでもいい。

退屈すぎて眠くなってきた。


ちなみに会長は北東にある国の……なんて国だっけ?えーっととにかく北東の国の……第…なんだっけ?王子様だ。


魔族の国の右隣ってイメージしかない。何て国だったかな?たしか……?だめだ、気を紛らわせるために思い出そうとしたんだけど、どうでもいい。どうでもいいことを考えると余計に眠気が。


眠い。眠気の方が重要だ。

だめだ。もう寝ていいかな?



(アーシャ様おきてください。エウローニュ王国の第2王子、ルーフェリア様ですよ。)


(ふあ!カリナ??や、やだなあ分かってたよ?おぼえてたし!ほんとだし!)



思わずビクッとしてしまった。

風魔法で耳元に声を届けるのはほんとにビックリするから止めてほしい。


何処から魔法を使ったのかなと思って探すと、カリナは私のちょっと後ろにある生徒用の席に座っている。制服も着てだ。


あれ?一緒に入学したんだっけ?

カリナは私より大分年上のはずなのに・・・?サバ読むにもほどがあるんじゃ?



(何か今失礼な事を考えていませんでした?)


(いえ、とんでもない)



ま、まあ細かいことはいいとしよう。

それにしてもこの学園って強そうな人があんまりいないなあ。先生達くらいかなあ。

先生の一人にシエラ先生はいるが、他の先生たちはほとんどがそれほど強そうに見えない。


シエラ先生は戦場から帰ってきたあと、私の家庭教師をしながら学園の先生になった。というか、学園の先生をしながら私の家庭教師を継続したのか?まあどちらでもいいけど。


先生は戦場で色々あったみたいで、ダンジョンでレベル上げして更に強化をしたいと考えているようだ。でもまだ私と一緒にはダンジョンへ行ってくれない。

もっと強くなれば一緒に潜ってくれそうなのでとってもたのしみだなあ。


先生たちは一部すごい人がいるけど、その一部を除くとあんまり強そうじゃない。

でも生徒はもっとダメダメだ。何人かはいけそうだけど、他はとても一緒に戦ってくれそうなレベルじゃないんだよなあ。


修行が足りんよ修行が!




周りを見ていてもしょうがない。

といって何もしないと寝ちゃいそうだから魔力でお手玉を作って暇つぶしにグルグル回す。


これもトレーニングだ。

如何に上手く魔力を固定できるか、それを壊さずに操作できるか。

固定した魔力は手を離すとすぐに破裂する。それを上手く破らず散らさずにキャッチして回す回す。


だーいじょうぶ、だいじょうぶ。

ちゃんと見えないように隠蔽もかけてあるのだ。



お手玉を手で回して遊んだあとは、念動力でぐるぐるーっと私の周りを回してみる。

もちろん破裂しないように気をつけてだ。学園長のおじいさん先生とシエラ先生とカリナ、それに来賓できているパパとママ、それ以外には保護者来賓合わせて数名はこちらを見てビックリしている。


他の先生は何人か、生徒も何人か。全体からすれば反応してる人は100人に1人もいない。

うーん。少ないなあ。


逆に言うとそれ以外の人は気が付いてないのかも?この程度の隠蔽が見破れないようじゃなあ。



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