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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第4章 少女は学園で無双する
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第1話 絶対に行きたくないでござる

ユグドラシルダンジョンとユグ裏ダンジョンが封鎖されてから3年が過ぎた。

封鎖されたまま、私達が中に入れないままだ。


そして、12歳だった私は15歳になった。

この数年、私は自分の力と、スラちゃん達の力を頑張って鍛えた。




鍛えると言ってもダンジョンには潜らず、というか正確には潜りたくても潜れず。

ダンジョンでの鍛錬やレベルアップは出来ないので、瞑想やら組み手やら、型やら、素振りやら。

それから筋トレとか魔法の試し打ちとか……色々とやった結果、また魔法の制御は上達した。


あとはそれなりに、だ。



3年間も不死者のせいでユグ裏はまだ進入禁止。


ついでに表の方も裏とつながっているかもしれないって疑惑があるから進入禁止だ。

一般の冒険者は調査に討伐にと大忙しらしい。でも私は入っちゃダメだって。


そして遠くのダンジョンには物理的にいけない。

外泊すれば何とかなるが、それはさすがにお許しが出ない。


つまり私は3年間まーったくダンジョンに行っていないのだ。なんてこったい。


お金も稼げないしダンジョンにもいけない。ってわけでお供もまだ増えていない。

ドラゴンなんて夢のまた夢だよ……

変わった事と言えば、家の庭に色んな果物が実るトレントがまた増えたってくらいだ。



ダンジョンとは、この世界に突如出現したらしい。

出来たのは神代の終わりごろにかけて、1万年近く前だとされている。

神代の終わりとともに天変地異が起こり、あちこちにダンジョンが出現した。

ダンジョンをクリアした人も沢山いるが、ダンジョンとは何かというのはまだ良く分かっていない。


攻略がものすごく難しいとされるダンジョンと、割と容易であったといわれるダンジョンがある。

容易であったと後に語られたダンジョンでも、最初期には国の一個師団が壊滅するような被害が出ているのだ。そんな世界に飛び込まなければならない。


体も魔力もいくら鍛えても鍛え足りないのだ。でもここ何年もダンジョンで鍛えることができていない。そろそろもう調査なんてしなくていいんじゃないの?と思うが、そうもいかないらしい。

表のほうだっていいんじゃないのもう。と思うんだけどな。


ママに『スタンピードはどうなってるの?わたしが探索してついでにいっぱい掃除しようか?』

って聞いたら調査隊が討伐しまくってるから普段よりよっぽど心配ないんだって。

おかげで本当にダンジョンには通えないのだ。




そうこうしているうちに、ハイエルフである自分の寿命を全て注ぎ込んででもダンジョンを攻略しなければならない。と5歳のあの日から考えている私がついに15歳になってしまった。

あの日から10年。それほど経ってもまだ一つのダンジョンも攻略できていない。

何としてもひとつはダンジョンを。



―――そしてダンジョンコアにアクセスして―――



ん?コア?なんだそれ?


えーっと、なんだか変なこと考えてた?

まあ、とにかく。


15歳になると世界中の良家の子女はどこかの国の学園に通わなければならない。

この世界の貴族社会では当然のことだ。


私も我が国にある『ユグドラシル王立学園』に入学しなければならない。

何とかゴネにゴネた結果、外国じゃなく自国の、さらに寮生活ではなく家からの通学で勘弁してもらったことだけが救いだ。


勿論のことだが、私の興味は学園生活にはない。学園で習うことは即ち如何にして自分の国を支えるか、国にとって如何に役に立つ人材となれるかである。私の興味は全くそこにはないのだ。


パパとママには申し訳ないという意識がないでもない。

姫である私が国を支えようとするとまず一番に頭に浮かぶのは、有力な他国の王子あたりとの婚姻。

そして跡継ぎを産むことだ。



しかし……申し訳ないが、パパ以外の男性に触れられると言うのはどうにも苦手だ。

もちろん、門番さんやギルド長さんなんかのおじさんやおじいさんはあんまり問題ない。

でも同世代とかもう少し上くらいの独特のねちっこい視線は苦手だ。

実際は苦手なんてものではないが。


そして学園生活を送ろうとすれば必ず同年代の男性の好奇の視線を浴びる事になるだろう。

しかもかなり大量にだ。


……気持ちが悪い。

想像するだけで気持ちが悪い。学園になど行きたくない。

行きたくないなあ。



「行きたくないよおお(ジタバタ」


「ダメです!学園に通われることはアーシャ様が生まれたときから決まっています!」


「やだよおお!きもちわるいよお!カリナが代わりに行ってよ!」


「何を仰いますか。今日は入学式ですよ?国王様も王妃様も悲しまれますよ」


「パパは私がどうしても行きたくないって言えば『行かなくてもいいよ』って言うと思うんだ」


「ぐっ……それはそうかも知れませんが、でもダメです!」



私は部屋で駄々をこねる。

相手はカリナだ。カリナとは産まれた時からの付き合いなので、かなり言いたい放題言っている。


パパは私にとーっても甘い。

駄々をこねて行きたくないといえばしょうがないなあ。で許してくれるんじゃないか!

大体寿命が1万年近くあるというハイエルフがどうして15歳なんて若く、多感な時期に学園に行かないといけないのか。1000歳くらいになって世界に飽きて来たあたりで行けばいいんじゃないか。



「それは、各国15歳前後と決まっていますので。仕方ありません」


「仕方あるよお!人間とエルフや魔族の人生を一緒にしちゃだめだよ!」


「とにかくダメです!行ってらっしゃいませお嬢様!」


ここから学園編のスタートです。

記憶が戻り、それに従って色々と世界の謎が明かされていく……予定です

よろしくお願いします

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