第25話 エピローグ3
ギルド長さんがゴーレムで壁を作ってくれている。
私達は早く外へ出て救援を呼ばないと!
こんな時こそ転移。転移珠を使って早く移動だ!
「1階層へ!」
独特の浮遊感があり、1階層と外をつなぐ階段へ。
急いで外に出て、見張りのおじさんに不死者が出たことを報告。
おじさんと一緒にギルドへ走り、そのまま私たちはお城へ。
門番さんに緊急事態を告げて、それからは城中が大わらわだ。
国王率いる主力軍が出動、冒険者たちも有志を募って出動すると共に、万一に備えて作られている壁を降ろして門を閉じる。ユグドラシルを隔離してモンスターが街に来ないようにするための門だ。
これが使われるのは何十年ぶりらしい。
まさに非常事態である。
―――そして次の日からユグ裏は軍が閉鎖、私達は立ち入り禁止になった。
せっかく楽しくなって来たって言うのに。
「あーあ。せっかくいい感じで進めてたのになあ」
「まあしょうがないですよ。私も残念です。そろそろレベルも30を超えてもっといろんなスキルを覚えられそうだったのですが」
「30!?まじで!私は……」
私はまだ6だ。
くっそー!いくらなんでも遅すぎなんじゃないか?
「レベルアップは種族差がモロに出てきますからなぁ。私も成長は遅かったですが、アーシャ様は格別ひどいようですな。いやはや。普通は15層まで行くパーティーは30前後まで自然にレベルが上がるものですがなあ。いくらハイエルフでも一桁は……」
ダンジョンに入れないからギルドの中で愚痴っていたらカウンターで暇そうにしていたギルド長さんが話しかけてきた。
他の冒険者は今はいない。
表の方に行っていた人は帰ってきて調査隊に加わったか、それぞれの家に帰って一休みしている。
緊急事態で下ろされた壁は3日で元の位置に戻された。
ダンジョンにスタンピードの兆候がなかったためだ。
そして今は私達が居た階層の上下をローラー作戦で不死者を探しているらしい。
「そうだよね。私の成長がやたら遅い自覚はあるよ……くやしいけど。ギルド長さんは……魔族だっけ?」
「そうです。魔族はエルフと寿命では似たようなものですな。ですが、人間や獣人と比べるとかなり寿命が長いですから、当時の仲間よりずいぶんレベルアップが遅くて苦労しました。私が現役当時に組んでいたパーティーは人間や獣人がメインだったのですが、私ひとり皆より成長が遅くって。でも仲間はそれに文句も言わずに私と一緒に狩りに出かけてくれました。」
「いい仲間だったんだね」
「そうです。素晴らしい仲間たちでした。……しかし私が高齢になった今、その友人たちは皆寿命で死んでしまい……寂しい限りです。アーシャ様もなるべく寿命の長い友人を作るべきです。私のような寂しい思いをする回数が少なくなりますぞ」
「うん……」
思ったより重い話だ。
話の長いウルサイオッサンだと心の中で思っていて申し訳ない気分になる。
「しかし、私は先に申し上げたとおりに片手剣に盾のスタイルでした。一般的なスタイルですなあ。アーシャ様のパーティーはそれぞれ個性もあるし器用に色々できるし、素晴らしいですな。是非とも一つの事に縛られずにあらゆる可能性を試して頂きたい。成長はやや遅くなる可能性がありますが、色んなスキルを獲得した場合にはそのスキルが統合されて上位のスキルを覚える場合もあります。それからある程度のレベルになると職業に就くこともできますぞ。普通はレベル10からですな。アーシャ様は……まあまたのんびりとやればどうですかな……」
「そうします……」
「私ももうすぐ30で2つ同時に就けるところだったのですごく残念です。弓手と盗賊にしよう思っているのですが」
「2つ一緒にとるの?」
「まず弓かなあとは思いますが……弓手で覚えられるスキルは実はもうほとんど覚えているのですよ。ですからもうすぐ弓手は終わってサブにまわせると思います。」
「そうか。いいなあ」
冒険者の職業は2つまで同時に就くことができる。
メインとサブと呼ばれているけど、2つ同時に職に就くと成長が遅く、1つだけだと早い。
ただしほとんどの人が1つ目はレベル10から、2つ目はレベル30から。私はまだ6だ……ギギギ
当然個人によって適性もあって就けない職もある。
そして職を極めればサブ職業に就けていれば何時でも補正やスキルをつかえる。
いいなあ。私もそのうち職業に……レベル上げないとね。ダンジョンいけないけどね。
「いつになったらダンジョン解放されるかなあ」
「当分無理でしょう。不死者がでたとなれば本格的な調査が必要になります。控えめに見ても1年、多ければ数年ですな」
「そんなに……!?」
「なあに、数年放っておいてもユグ裏はスタンピードの危険はほとんどありませんよ」
「そうじゃないよお。それじゃあ私のダンジョン探索はいつまでたってもできないじゃないか!」
せっかく順調だと思ったのに!
結局こうなるのかよ……不死者のアホー!
これで3章終わりです。
書いていてややあっさりしすぎだとは思いましたが、アーシャが全部片付けるのも何か違うなと。
その辺のバランスが難しいですね




