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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第3章 少女はダンジョンを攻略する
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第24話 不死者

2話投稿の2話目です

「地図によるとここですなあ」



ギルドから持ち出してきた15層の地図を見ながらギルド長さんが言う。

その地図持ち出してよかったの?と思ってみていると、



「いやあこれはですな、ギルドの地図の写しでございますよ。アーシャ様がせっかく私を頼って頂けたのですから何事も万全に備えるべきかと思いましてな。」


「写しなら持ち出してよかったのですね?ならば写しを売れば良いのでは?」


「それは禁止されておるです。大昔に写しを売っていたのですが、新しいダンジョンが発生した時に地図を作る技術を持ったものがまず探索して地図を作るようになりました。その後でないと一般冒険者がダンジョンへ潜ろうとしなくなるということが起きましてなあ」


「へー。」


「そうするうちに地図を作る技術が廃れていきましてな。なんと言っても地図を作る必要があるということは未踏破の階層ということです。地図を作る役割のものもどんどん数が減ってしまい……」


「ふーん。大変だねえ」


「なるほど。地図ひとつの扱いを間違っただけで大変なことになるんですね。未踏破ダンジョンならおいしそうだと思って人が殺到しそうですけど」



私もカリナに同意だ。未踏破ならおいしいじゃんとおもうんだけど。

未だ見ぬモンスターに魔石にドロップに。あらカードなんか出ちゃったりして!

おまけに未踏派のダンジョンコアはいろいろオマケが付いてくるって噂なんだぜ!



「それがそう思って写しを売り出して、初級冒険者を頑張って中級にまで持っていこう、育成を助けよう、と言うつもりで売り出したのですがねえ、上手くいかなかったので当ギルドでは売り出さない方向になりました。まあこれは500年ほど前のことですが。」


「ふーん。なんというか気合がたんないね!甘ったれだね!ダンジョンに対する姿勢がなってないよ!私なんて行きたくっても周りに止められて仕方なく我慢してるって言うのに!まったく!」



その話を聞いてプリプリ怒る。

大体、地図が売られてればこのおじさんが付いてこなくてもっとやりたい放題いつもみたいに出来たんじゃないか?とか、話が長くてもう嫌になる!とか。色々思うことはあるのだ。

それもこれも大昔のやつらがボンヤリしてたからだ。

まーったくむかしの年寄りどもは!

話が長いばっかりで!くそう!



大幅に思考が脱線した。

主にこのギルドから来た話の長いおじさんのせいだね。

えーっと、とりあえずここに門があったって事だから、壁に向かって穴を開けてみよう。



「じゃあ穴あけてみるよ……えーっと、横向きで、っと。落とし穴 (大)!」



魔力をごばーっと込めた『落とし穴』を、門があっただろうと思しき所に横向きで設置。

そして、プリンちゃんが虫を捕食して覚えたスキル『壁歩き』を使ってわざと踏んづけさせると、壁の向こう側にズボッと抜けた。



「おおっ。抜けた!」


「行って見ましょう!」


「うん!」


「私も参りますぞ!」



えいやっと壁の向こうに頭を突っ込む。


そうすると壁の向こうでは今まで見たことのないような色の蟷螂とそれに同じくおかしな色のクモと戦うプリンちゃんだった。


いや正確には一度ある。

まだらで変なクモをみたのだ。13層で。やたらしぶとくて気持ち悪いクモだった



「またあの変な色?まあいい。プリンちゃん、いまいくよ!」


(きちゃダメプル!)


「手こずってるじゃん!何言ってんの!行くぞカリナ!」


「はい。エレメンタルアロー!」


(こいつらにさわっちゃだめプル!)



触っちゃだめって。とりあえず遠距離攻撃をすればいいのか!?


それを聞いてか聞かずか、カリナはエレメンタルアローのスキルを使った。

エレメンタルアローは精霊の力を宿した通常より遥かに強い矢だ。

それがクモの一体に突き刺さり、足を2本と下腹を吹っ飛ばした。


普通ならコレで倒してると思うけど……!



「消えない?もう一本!エレメンタルアロー!」


「私も行くぞ!ライトニングボルト!」



先ほどのクモにもう一本のエレメンタルアローとライトニングボルトを打ち込む。


矢が頭の左半分を吹っ飛ばし、さらにそこから紫電が舐める。これで!



「うそ!まだ動いてる!頭ぶっ壊れてるのに!」


「いかん、アーシャ様!ここはお下がりください。そこなスライムも戻ってまいれ!このモンスターの変色、それにこのダメージ量でも消えない異常。これは不死者によるものだ!不死者が現れたのだ!」


「不死者!?なにそれ?」


「不死者ですよ不死者!いいから下がりますよ!プリンちゃんも早く!」


(任せるプル!)



プリンちゃんは蟷螂に捕まってたけど沢山に分裂して抜け出してきた。

そして私達のところへ文字通り飛んでくると、合体。


ついでに何体かは蟷螂の所に残って自爆して吹っ飛ばしてる。

プリンちゃんってちゃっかりしてるなあ。



「よし、穴から出よう!」



だだだだだーっと走って入ってきた穴のところへ。



「おっかけてきてる。早く!」



私とプリンちゃん、カリナ、ギルド長さんの順番で出る。

でもこの穴どうすんだ!



「お任せを。クリエイトゴーレム!」


「おお!ぴったり!」



ギルド長さんはゴーレムで壁を作って強引に穴をふさいだ。

でもコレで大丈夫なのかなあ?



「私はここに残ります。お二人は急いで外へ出て救援を呼んできてください!」


「でも!あぶないよ!」


「はは。この老骨のことでしたら案じてくださらなくても結構。転移珠も持っておりますでな、危なくなればささーっと戻ります。壁に穴が開きそうな事態になればさっさと転移いたしますよ。なあに転移珠ならまだ軽く30個ほどは……」


「え?30個!?えええっ!?」


「アーシャ様……おいたわしや……」



おじさんの心配をしていたけど、30個の転移珠を聞いた瞬間心配事はどこかへといってしまった。

変わりに駆け上がってくるどす黒い感情。

おかしいな?あれれ?



「ま、まあ助けを呼んできます」


「そうしてくだされ。お願いいたしますぞ」



ギルド長さんはそういいながらゴーレムを沢山作ってる。

少しでも時間稼ぎをするようにだろう。私たちも急がないと。

いや、ゆっくりでも大丈夫だな。30個もあるんだし。30個も……

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