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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第3章 少女はダンジョンを攻略する
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第23話 やっぱり迷子

翌日の昼過ぎ、午前の授業が終わっていつもの時間に冒険者ギルドへ行くと、ギルド長さんが待っていてくれた。



「ギルド長さん、お待たせいたしました」


「アイーシャリエル様、どうか私のことは『サジル』とお呼びください。」


「わかりましたサジル様。ではわたくしの事は『アーシャ』と呼んでくださいね」


「おおお!アーシャ様!私めは幸せ者でござります!」



ギルド長さんは名前を呼んだだけで泣き出してしまった。

どうしちゃったんだろ。


まあおじさんが泣いてるけどほっといてさくっとダンジョンに行きたいなあ。


よし、スルーしていくか。



「じゃあリリーさん行ってきまーす」


「はい。行ってらっしゃいませアイーシャリエル様」



めんどくさくなったのでリリーさんに挨拶して進む。

慌ててギルド長さんが追いかけてくるけどまあいい。

時間が無いのだ。さっくりいこー!


15階層へと続く階段に転移した。

目的地は昨日教えてもらった扉のあるところだ。

よーっしいっくぞー!



「じゃあ私達が前に行くから付いてきてくださいねー」


「おお、ではアーシャ様の勇姿をたっぷりと見せて頂きましょう」



そういうとおもむろに記録水晶を取り出した。



「んん、サジル様?許可なく撮影は困りますよ!」



カリナがギルド長さんの撮影を止めた。


許可無く撮影って、カリナ!あんたいつも事あるごとに撮ってるじゃないか!

私は許可した覚えなんて無いぞ!

ジーっとカリナのほうを見る。



「私はいいのです。王妃様の許可を取ってありますからね!」


「私は一回も許可した覚えはないんだけどね……」


「大丈夫です。王妃様も、国王様も楽しみにしておられますよ!」


「パパも見てるの!?」


「もっちろん!それはそれは楽しそうに観ておられます。アーシャ様がモンスターと戦う姿なんて『いけ!そこだっ!』なんて応援もされて。『仕事で疲れたときにアーシャたんを見ると元気がモリモリ沸いてくるなあ』って仰られております。その際に私に『もっといっぱい可愛いアーシャたんを撮影してきて欲しい』との依頼もいただいておりますので。今日もがんばりますよー!」



そういうとカリナは記録水晶を構えた。

弓はどうした!ダンジョンだぞ!



「危なくなればこうやってちゃんと弓も使います。ご安心を!」



そう宣言すると、記録水晶を頭に固定した。

なるほど、いつもこうやって撮影してたのか……カリナのことなんて全然気にしてなかったから気付かなかったや。

それにしても力とやる気がどんどん抜けていくなあ。



「はあ。まあ行こうか。」


「はい!」


「参りましょう」


(なんだか僕も疲れちゃったプル)



プリンちゃんだけだよ分かってくれるのは。

そう思いつつ15階層を歩く。

途中で出てくる蟷螂さんたちはもう慣れたものでサクサクっと倒す。

でも私達は慣れているけど、ギルド長さんはそうじゃないみたいで後ろがうるっさい。



「おお!素晴らしいですな!アーシャ様。強い!かわいい!凛々しい!かっこいい!いやあ、素晴らしすぎて表現する言葉が見つかりませぬ。」


「はぁ。」


「それにしても槍も魔法も一流ではありませんか!まだ12歳だというのにこの強さ!将来有望ですなあ」


「はぁ。」


「なぜ槍を?私は以前は片手剣に大盾というスタイルでした。槍を使ったこともありますが前衛をするには盾があった方が便利だったのでですがね。ドラゴンのブレスなんかは盾がないと防げませんからなあ。ああ、しかしアーシャ様なら魔法で防ぐというスタイルが可能なのですな!?それで槍。なるほどなるほど。魔法と短槍というのもなかなか合理的なスタイルかもしれませんなあ。」


「はぁ。」


「そうでしょうそうでしょう。誰もが独自のスタイルでたたかうべきだと思いますぞ!ですが完成されたオーソドックスなスタイルにはそれはそれで良さがあり申す。装備も普及しておりますし……装備といえばその槍は何処で手に入れられたのですかな?魔鉄性にしてはかなりの逸品、名のある名工の作とお見受けしますが。」


「穂先は私が鍛冶で……」


「なんと!アーシャ様は鍛冶までなさるのですか!それにしてはその美しさは全く損なわれておりませんなあ。いや、鍛冶をすればやけどなぞの危険がありますでな、何卒アーシャ様は気をつけていただきたいですなあ」


「はぁ。」



もう何をしても言ってもこんな感じで。いや実際私も盾をもとうかと考えたことはあるんだけど、今のところ必要ないからまあ良いかと思っていた。盾を使っていた経験があるということだから極意を聞いてみようか……と思ったけどこの怒涛のトークの前にすっかりそんな気もなくなっていった。


なんだか疲れたなあ……


いつもと全く違う疲労感を感じながら目的地前へ。

えーっと、この辺のはずなんだけどなあ?


あれ……やっぱり門がないなあ??



「ないねえ?」


「ありませんなあ?」


うーん。ギルドで見せてもらった地図でもこの辺なんだけど???

久々の予約投稿

できれば土日は2回投稿したいですね。

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