表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第3章 少女はダンジョンを攻略する
69/183

第17話 うらやましいぷる

私のレベルアップは遅い。


ハイエルフだし、本を読んだり授業で習った知識からも多分大器晩成型なんだろなー。とは思ってたけど必要以上に遅い気がする。

それにしてもプリンちゃんは早すぎなんじゃないか。

うらやましい。ぐぬぬ。



もういい。気を取り直して12階層に移動しよう。

12階層はやっぱりゴキブリとゲジゲジ、それにクモだ。


正式にはビッグローチとダンジョンセンチビート、それにビッグスパイダー。

まあ一般的にはゴキとゲジとクモでいいね。


ゴキはカサカサ動いて突然飛んでくる。すごくびっくりする。

ゲジゲジはすばやい動きで体の表面を撫で回す。気持ち悪い。

クモは巣に引っかかったら凄く気持ち悪い。


つまりはザコもいいところだ。気持ち悪い以外は特に問題ない。

そう、気持ち悪い以外は。そこが一番の問題なんだが。


強さ自体はホブゴブやウルフの方が何倍も強い。

ゴキブリなんてゴブリンと同じかそれ以下だ。名前も被ってるし。


何でこいつらのほうが深層にいるのか。

答えは教えてもらった。

ダンジョンにはちょいちょいそういう階層があって、ここからこういうのがはじまるぞーって教えてくれるんだって。うーん、親切設計。



でも、うーん。これは無いなあ。

見た目が酷い。思わず目を背けてしまうような戦場だ。


あんまり見た目が酷すぎるので私は戦いたくないのだ。

ということで、がんばるのはプリンちゃんだ。プリンちゃんに無双させよう。


「私はすごくいやだけど……カリナ?殴りたければやっていいのよ?」


「私もいやです。どうしてもというなら戦いますが、できれば触りたくないですね」


「お城のは掃除してるじゃん」


「アレは仕事だからです。アーシャ様とのダンジョンはお仕事ではありません。」


「じゃあ何なのよ」


「私の……人生?」



人生って。

なんだそりゃ。ダンジョンが人生って訳じゃなさそう。私と一緒にダンジョンに行くのが人生?


うーん、こいつはホントに訳がわからなくなってきたな。気にしないでおこう。





それにしてもプリンちゃんと虫さんとの戦いを見ていて感じた事がある。

種族やら属性やらの相性があるというのはよく聞くが、どうも虫とスライムは相性がいいようだ。

クモの糸も触る端から溶かしていくし、拘束されてもぬるんと抜けていく。

そしてプリンちゃんは虫に触るのだって嫌がらない。

まったく嫌がらない。すごい。

人間なら誰だって嫌なはずだ。それを全く苦にしないのだ。すごい!


プリンちゃんつええ。

この調子でおうちの虫退治もやってもらわないと。

うーん、それにしても……



「私ダンジョン嫌になってきたかも……」


「ええっ!?あれだけ行きたがってたのにですか?」


「だって虫ばっかりなんだもん。カリナはよく平気だね?」


「私だって嫌かと言われれば嫌ですよ。なんというかこう、生理的にと言いますか。まず見た目がきついですよね。足がいっぱいってどうも。あれ?でもアーシャ様のムカデ君は大丈夫ですねえ?」


(ぼくは何でも大丈夫プル!)


『大丈夫プル!』は大変結構だけど。

重しでつぶしたり酸で溶かすのはまあいいけど捕食はホントにやめて欲しい。

プリンちゃんは今現在絶賛捕食中なんだけれども、スライムの体内でモゴモゴする虫。

うわあホントにきつい。頼むからさくっと外で溶かして!

気持ち悪くて目を背けて話しをする。



(捕食したら新しいスキルを覚えやすくなるって教えてもらったプル。だからしょうがないプル)


「何それ!?スライムずっこくない?」


(元が弱いから大丈夫らしいプル。虫さん食べて壁歩きも出来るようになったプル)



そういうとプリンちゃんは壁のほうへ。

すいすい~っと壁に張り付いて移動。さらには天井へ行って反対側の壁へ。

ぐるっと回って帰ってきた。



(どうプル?)


「うわあ!プリンちゃん凄いですねアーシャ様!虫食べたおかげでしょうかね?」


「しゅごい……しゅごくうらやましいぷる……足も無いのに…壁歩き…うらやま妬ましい……」


(ふふーんプル!)


「こうなったらアレだ。ドラゴンだ。」


(プル!?)


「ドラゴンだって成長が遅いはず。卵の状態から連れまわして私と一緒になかなか大きく成れない感を共有しないと!」



ドラゴンなんて成長遅いに決まってる。

寿命何千年だぞ!ハイエルフと同じくらいのマイペースさんに決まってるんだ。

この悔しさを共有するためにも……よーし、頑張って卵を買えるくらいお金ためちゃうぞー!



ダンジョンに狂うはずが、ついに行きたくないとか言い始める主人公。どうしてこうなった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ