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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第3章 少女はダンジョンを攻略する
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第16話 ぐぬぬ

11階層からは虫系のモンスターがメインで出現する。


大きなゴキブリに大きなクモ、それに大きな蟷螂にムカデ。

んまあ、ムカデは家にいる奴のほうがだいぶ大きいね。


後はトンボに蛾に蝉なんてのももうチョイ進むと出てくるのだ。


トンボは高速で、思わぬ軌道で動く。

蛾は鱗粉に毒を含む種類が多く、毒対策が必要になる。


蝉はうるさい。木に止まって凄い音で鳴くのだ。

そしてイライラして仕留めようとするとオシッコみたいなのを引っかけて逃げていく。

うぜえ!絶滅しろ!


そんな虫系モンスターばっかりが出てくる階層がここから20層まで続くのだ。

嫌になるかって言われるとまあそうでもない……たぶんね


そんな中私たちは11階層を進んでいる。

前回色々あってお金の事を思い出して中断して帰ったからなあ。



「カリナは虫は平気?」


「ぜんっぜん問題ありません。まあ、特に可愛いとも思いませんけどね。フッ!」



話しながら短剣でゴキブリに止めを刺す。ゴキもゲジゲジも動きこそ結構すばやいけど甲殻は極めて柔らかい。10階層を突破した人にとってはサービスエリアみたいなもんじゃないだろうか。

と思ったけど、相変わらず小さい魔石が時々出るだけでお金はまったく儲からないから何がサービスなのか分からない。



「10億かあ……」


「ドラゴンの卵ですか?プリンちゃんが拗ねてますよ」


「プリンちゃんはそんなに怒ってないとおもうよ。プリンちゃんだってドラゴンを仲間にしても一緒に冒険するくらい強くなればいいじゃないか。君ならやれる!」



ビシイッ!とポーズを決めて言ってみた。

『君ならやれる!』部分に特に根拠はないけど。



(ドラゴンとスライムの違い知ってるプル?無理に決まってるプルよ…)


「そーでもないよ。スライムだってLv99になればそこらのドラゴンより強いブレス撃ったり、攻撃力だってトップクラスになる。ってママが言ってたよ」


(でもどうせ育てるのが大変だし、育て終わった頃には他にもっと強い仲間がいるって落ちも一緒に聞いたプル)



うぐ。しっかり聞いてるなあ。

確かにその通り。そういう風に私も聞いたのだ。でもそれは違う世界の話だ。この世界のスライムはもっと色々おかしな存在だから、いろんなことを覚えさせちゃえばいいのだ。


別に炎を吐いて氷も吐いて、さらには溶解液なんかも出しちゃって。と思ったら触ったら治る回復剤も口からペッペする子になったらいいんじゃないかな。そしてパンチは岩をも砕き、空から爆撃もできる。そんなスライムになればいいのだ。もう完璧だな!



「ね!ドラゴンより強くなれば問題ないよ!」


(何が『ね!』なのか分からないプル)


「よく分かりませんが、とりあえず頑張って虫を倒しまくれば良いってことじゃないですかね」


「なるほど。」


(なるほどプル)



なるほど。カリナめやりおるな。

私の声はともかくプリンちゃんの念話は聞こえていないはずなのに大体の状況を把握している。

その上で頑張ってレベル上げをしろ、実践訓練をしろとのお達しだ。



「そうだよ!がんばろう!ここならボーナスステージだよ!」


「そうですね。足は速いですが、はっきり言って攻撃力は低いですよ。防御力はソコソコですかね?」



正直私はゴキブリとゲジゲジがいっぱいの11階層は苦手なんだよね。


蟷螂とかの方が顔は怖いけどまだ生理的な嫌悪感は少ないっていうか。

ムカデはきらいじゃないんだけどなあ。この差はいったいなんなのか。

まあいいや、全部プリンちゃんが倒してくれるんだし気にしないでおこう。



(頑張るプル!)


「がんばれーゴキブリを駆逐するのだー!」


「頑張ってください。できれば城のゴキブリもお願いします。」



プリンちゃんは頑張った。11階層の端から端まで。


出会うゴキはゴキ即斬だ。おっと、斬じゃなくて酸だね。


ただ、ゴキブリの上に乗っかるプリンちゃんも、酸でジュワジュワ溶けるゴキブリも見た目はすっごく悪い。爆発して飛んでくるゴキブリの足もプリンちゃんの周りを這い回るゲジゲジも、同じく見た目は最悪だ。

ここの階で無双するプリンちゃんには悪いけど、気持ちわるくて私は目を背けていた。

そのおかげでプリンちゃんのレベルはもりもり上がった。




名前プリン

種族:レッドスライム

属性:火 

Lv:42

状態:良好 興奮


酸 捕食 分身 自爆 透過 増殖 吸収 硬化 壁歩き 



「おお!レベル42まで上がってる!すごい!」


それになんだかスキルもいっぱいある。うらやましい。ぐぬぬ。

壁歩きってなんだ!足も無いくせに歩くのか!

ちくしょう、うらやましいにもほどがある!ぐぬぬぬぬ。



「42!早いです!抜かれましたね。ちょっとくやしいですね」


(ふふーん。僕が一番プル)


「何でもうレベル42に…?私はまだレベル6なのに……ぐぬぬ」


「種族によって成長の早さが違うといいますし。スライムはかなり早いようですね。エルフは寿命も長くレベルアップは遅いと言いますが、ハイエルフはそれよりもっと遅いでしょうねえ……」


「そんな気はしてたけどやっぱり遅いよね……」




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