第15話 私は守銭奴になるぞー!
お金の使い道に付いてようやく目標が出来た。
まずは5000万ゼニーを貯めてドラゴンの卵を買うことだ。
でも5000万って案外安くないかな?
だってドラゴンといえば乗ってよし、戦ってよしだよ?
それにドラゴンがお供にいればそれだけで戦況をひっくり返せるんじゃない?
うーん?そうだ、わかんないことはシエラ先生に聞こう。
「せんせい質問でーす!」
「どうしました?今は異世界の歴史の授業中ですよ?コレを知っておかないと勇者がきたときに困るという必須知識ですよ?」
「私、召喚された勇者より強くなるからどうでもいいよ。それでね、ドラゴンの卵についてなんだけど」
「はあ、勇者より強くですか。まあアーシャ様なら可能性はありますねえ。でもそれよりは勇者にいろんな意味で狙われそうな気が……」
「それはもうどうでもいいよ。ドラゴンの卵なんだけどね!」
「はいはい、どうしました?」
「ママに5000万ゼニーくらいで買えるって言われたんだけど、何で乗ってよし戦って良しなのにそんなにやすいの?冒険者みんな欲しがるんじゃない?私たちだってすごく頑張ったら買えちゃうくらいの値段ですよ?」
そう。誰だって欲しいに決まっている。
私達クラスで1日に1万5千くらいなら軽く稼げるのだ。
魔鉄を売ったりしたらもっと稼げそう。
仮に頑張って1日5万ゼニーを稼げるとしたら1000日でドラゴンの卵が買えちゃう。1000日って!と思うけど3年足らずだ。楽勝じゃん?
3年でドラゴンを入手したら後はドラゴンちゃんに稼いでもらえばいいのだ。
すばらしきは不労所得よ!
10層くらいしかいけないのにそれなら、もっと深いところへいってガリガリ稼いでる人たちは一体どうなるのか!夢のドラゴン100匹に囲まれて遊び放題の生活だ!
何やって遊ぼう?やっぱりダンジョンかな!そして鍛冶もたまにやって……ん?あれ??
「ふむ……。まずですが、アーシャ様たちはもう初心者ではないのですよね。中級者クラスの実力はあります。普通は魔法も使える前衛なんてそんなにいませんからね?」
「んあ?そ、そうなんだ?私はもう中級者かあ。」
なんだかさっき気が付いちゃいけないことに気が付いてしまいそうになってたけど、これこそ気のせいだな。そういうことにしとこ。
「なんだか気の抜けた返事でしたが……ゴホン。あくまで戦闘だけは、と言う注釈はつくと思いますがもはや初心者ではないでしょうね。それと次にですが、王妃様がどこの相場を見て5000万ゼニーと仰ったかは問いませんが、今のドラゴンの卵の相場は10億ゼニーです」
「ええ!?10億??」
ママに聞いたのとぜんっぜん違うじゃん!
なにそれ!?聞いてないよ!
「ど?え、ちょま!何でそんなに高いのよ!?」
「それが、以前……200年ほど前まではどう育てればどう進化するかが全く不明でした。死んでしまうケースも多々ありましたので、博打を打つような物でした。だから5000万だったのです。しかし近年になってある程度の育成方法は確立されました。概ねドラゴンを欲しがるの方が希望するのはレッドドラゴンとウインドドラゴンです。空を飛べますからね。その2種の育成方法が判明したのです。と言っても成功率は4割ほどですが。」
「4割?なるほど?」
「レッドドラゴンのカードの相場は20億ゼニーです。ウインドドラゴンも大体同じくらいです。つまりドラゴンの卵を買って育成した方が安上がりなのですよ。おまけに懐いて命令もよく聞きます。以前は進化失敗して大きなトカゲ状態になってしまうことが多かったのでね、それで安かったんです。もちろんウォータードラゴンもアースドラゴンも人気はありますよ。海賊も盗賊も、野良のモンスターもほとんどはドラゴンがいれば寄ってきませんからね。まあ大きなトカゲ状態でも盗賊なんかには余裕ですから。失敗しても問題ないと商人が買っていますのでどんどん値上がりをしていますね。」
「なるほどなるほど……10億かあ……」
まーたママにだまされた。思ったよりやすいと思ったんだ!
大体5000万だったら串焼きで……だいたい15万本くらいじゃないか!……15万本ってすごい量だなあ。
そんなに焼いたら腱鞘炎まったなしだ。
でも10億かあ…。こりゃ1日5万ゼニーのペースなら……2万日だ。
何年かかるんじゃー!あほかー!
……と思ったけどたかが50年位か。うーん。
ママの年から考えたらすぐだけど、うーんちょっとなあ。
私の寿命からすれば大したことない・・・か!?
いや、いくら頑張っても毎日5万ゼニーって前提がかなりおかしい。
もっと上のダンジョンでもっといいドロップを狙えばいけるはずだ。ムカデさんのカードだって売れば何十万にもなるって言ってた。
ちょっと難しいダンジョンでカード狙いをすればいいのだ。
そうすればホイホイお金がたまる!はず。
毎日毎日同じ階層でって考えるから大変なんだ。
どんどん先に行っていっぱいがっぽがっぽすればいいんだ。よーし、私は守銭奴になるぞー!
「がっぽり稼ぐぞー?とか考えてませんか?」
「うぐっ!なんでわかったんですか?」
「アーシャ様はすぐ顔に出ますよ。」
「いいじゃんいっぱい稼ぐことは!」
「良い事ですよ。希少な金属やアイテムを持ち帰ってくることは国を富ませることにも繋がります。素晴らしいですね。」
「でしょう。だからお金を稼ぐにはどうしたらいいかな!?」
「ユグ裏ですともっと進めばボスの箱からミスリルが出るようになりますよ。そこが一番ユグ裏での金策ポイントですねえ。でもミスリルなら他にも出るところがありますので価格はあんまり高くありません。それから他のダンジョンへ移動するというのも勿論あります。よそのダンジョンだとたとえばダンジョンの中が鉱山になっているところもあります。そこで鉱石やら宝石やら魔石やらでてくる……事もありますよ。」
「事もある。ですか?」
「そうですね。出ないこともありますが、出ればおいしいという奴です。ひたすら採掘ばっかりしている冒険者もいるようですよ。」
ひたすら採掘。
冒険者としてどうなんだろうそれも?
「どうかなあ?って顔をしていますね。分かりますよ。冒険者としてはモンスターを倒したいでしょう。それは尤もです。強いモンスターを倒してお金を稼ぐ。コレが尤も正当な稼ぎ方だと思います。ただし!」
「ただし?」
「アーシャ様が危ない目に遭ったり、大きな怪我をしたりすると悲しむ人がいるという事を忘れずに。父上様や母上様も当然ですが、国民皆が悲しんでしまいますよ」
「はあい。気をつけます…」
それはそうだ。でも大丈夫。今だって十分安全だと思うようにマージンをとっている。
最近の戦いは余裕がたっぷりあるのだ。
だからちょっと物足りないとか思ってない、思ってないよ?
1年は365日で計算しています。
地球と全く同じとかありえない?
わかりやすいからいいんです。暦も殆ど同じで大丈夫!
独自のに変えてもいいんですが、自分が他作品で読んだ時に良く混乱するので。
勿論、別に批判してるわけじゃないですよ。つまり地球とほぼ同じ星がたまったま異世界にあるってことです。
いやあ偶然だなー(棒




