第13話 久しぶりのレベルアップ
その後の攻略は順調だった。
8階層9階層はトントントンっと攻略。
色違いの狼さんとホブがいっぱい出てくるだけで特に変わりない階層だったのだ。
そして特に変わったドロップもない。
まあいつものことだね。
そして訪れた10階層。
ここでは大きな狼さんことシルバーウルフがでてくるのだ。
今まで出てきたのは火水風土の4属性のウルフだったが、大きさもより大きく、力もより強く、そして上位属性の聖属性のウルフである。
弱ったウルフの回復までしてくるのだ。
だからって強いかといえばまだ10階層のモンスターなのでそれほどでもない。
「さくっといくぞー!」
「はい!」
(ぷる!)
ボス部屋の前で気合を入れて突っ込む。
部屋の中にいたのはシルバーウルフ1体と4属性のウルフが1体ずつ、そしてホブが剣、槍、弓、魔法と犬も飼い主もバランスがいい割合になっていた。
ウルフは右に、ホブゴブリンは左側に位置している。
「数も多いしバランスがいいね」
「そうですね。ホブゴブリンの方だけでも苦戦しそうな構成です」
「油断しないように。いくよ!」
「はい!」
(ぷる!)
やることは大体同じだ。
まずは先制で魔法を撃ち、混乱させてから倒す!
「フレアストーム!」
「アローレイン!」
(ぷるぷるぷるる~)
炎の嵐はホブゴブリンの方へ。
カリナの矢の雨はウルフたちのほうへ。
炎の嵐はホブゴブリンを直撃した。
魔法ホブが氷魔法でレジストしたようだが、炎の嵐は消しきれない。
それでも火力はかなり下がったようで、炎の中からホブゴブリンたちがこちらに来ようとしている。
カリナが矢を放ったウルフたちも似たようなものだ。
アローレインはアローシャワーとほぼ同系統のスキル。魔力で覆われたまま空高く放たれた矢はウルフたちの直上で光り、沢山の魔力で出来た矢になった。
ただ、シャワーよりも広範囲に散らばる分一発の威力は低い。
矢の雨は毛皮を貫いて致命傷を与えるほどの力はなかった。
矢の雨で毛皮を削られながらも狼はこちらへと向かってくる。
左右共に傷を負いながらこちらへと向かってきているが、そこはすでにプリンちゃんが保護色にした分体を置いてあるところだ。
狼の、ホブゴブリンの足がプリンちゃんの分体に触れた瞬間に起こる激しい爆発。
ドン!ドドン!ドオオン!
爆発音と共に飛び散る肉片に武器たち。それらがさらに敵モンスターに襲い掛かる。
「うわあ。えげつないなあ」
「ですね……」
(さすがは神様。ひどいぷるなあ)
うーん。酷い罠だなあ。
おっと、同情している場合じゃない。ウルフが抜けてきた!
シルバーウルフとレッドウルフだ。
「きたよ!私がやる。」
「はい。では私はホブを」
ホブゴブリンも槍と弓が抜けてきた。
剣ホブと魔法ホブはプリンちゃんが始末したみたい。
「でえりゃあああ!」
間合いに入ったシルバーウルフを横薙ぎで打ちつけ、後退させる。
そしてすぐ後ろから接近してくるレッドウルフには魔法だ!
「ライトニングボルト!」
ライトニングボルトは出が早いし、直進するからすごく使いやすいんだよなあ。
それにギリギリで避けても雷撃が目標の方へ曲がって当たる。
便利だなあ。そしてそれでいて高火力。
言うことないじゃないか!
「グウルアア!」
「おっと!」
シルバーウルフが戻ってきた。
あぶねっと。
チラッとカリナのほうを見るともう終わってる!
にゃろう!負けるか!
攻めて来るシルバーウルフの前足を槍で防ぎ、噛み付きは横にかわし……そこだっ!
噛み付きを空振りした所に槍を上段から振り下ろす。
ドカンッ!と叩かれて地面に打ち付けられたシルバーウルフに追い討ちでブスッと!
倒したらすぐ刺す!ってやつだ!
『ぱぱぱぱ~ん!』
「おお!レベル上がった!ちょーひさしぶり!」
「おめでとうございますアーシャ様!」
(おめでとうぷる!)
「いやーありがとう!ひっさし振りだなー!」
本当に久しぶりだ。何年ぶりだろう?
私のレベルが最後に上がったのは確かむかーしに表のほうのダンジョンに迷い込んだ時以来だ。
さーって鑑定鑑定
名前:アイーシャリエル・エル・ラ・ユグドラシル
種族:ハイエルフ ■■■
属性:全
Lv:6
状態:良好
火魔法 水魔法 風魔法 土魔法 雷魔法 光魔法 闇魔法 治癒魔法 空間魔法 ■■■
片手剣術 短剣術 槍術 弓術 素手 鞭 槌術 杖術 投擲術 鑑定 投石 隠密 魅了 使役 再生 念動力 魔力操作 魔力回復 魔力増大 ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■
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ふむ。短剣術がはえた。
片手剣と同じだと思ってたけど違う子だったんだね。
後は投擲術?君も投石と一緒だと思っててごめんなさい。
後はほとんど変わってないかな。特に変化もないし、黒塗りも見えるようにはならない。
新しく三角はふえたけど、コレが何なのか効果があるのかもわからない。
もうコレあんまり鑑定する意味無いんじゃないか。
鑑定自体しばらく封印してた方が楽しそうかも。
うんうんそうだそうしよう。
一人で考え込んでたらカリナがぱかっと箱を開けていた。
あ、宝箱でてたんだ?レベルアップに夢中で気付かなかった。
「何が出たの?」
「また魔鉄です。まあユグ裏は儲からないことで有名ですからねえ」
「そっかあ。何かまた武器を作ろうかなあ。ブーメラン以外で」
「私もアーシャ様の短剣が欲しいです。(チラッチラッ」
そう言ってチラチラ見ながら魔鉄のインゴットを私に渡してくる。
これは帰ったらこの魔鉄で作って欲しいってことだね。
まあいつも世話になってるからいいか。
「じゃあこの魔鉄で短剣を作ってあげよう。どんなのがいい?」
「よろしいのですか?では少し肉厚で、刺突より斬撃向きの短剣でお願いします。」
「はーい。そうなると良いね。この魔鉄ちゃんにお願いしておいてね」
そういって魔鉄を押し返す。
自分で持って念を込めておけってことね。
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