表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第3章 少女はダンジョンを攻略する
55/183

第3話 完封勝利

「どうも私は楽勝っぽいんだけどさ、カリナもちょっと戦ってるとこ見せてよ」


「私がですか?では次に遭遇したゴブリンは私が処理しますね」


「よろしくー」


カリナがちゃんと戦うところを私は見た事がないのだ。

カリナはいいところのお嬢さんなので魔力も豊富だし、エルフだから弓に適正があったはず。

そして反対に重量武器は不得意なはずだけどさて。


適当に歩くと小部屋が見えた。そしてあの中には4体のゴブリンがいる。

武装はここからじゃ確認できないけど。



「いましたね。では行ってまいります」


「がんばってー」



カリナはスイっと歩き始める。

独特の歩法のようだ。普通に歩いているように見えるのに思ったより遠くに行ってる。

足音も気配も薄い。ゴブリンはまだ気付いてない。


ゴブリンちゃん!そこはもう間合いの中だぞ?


カリナがキュッと動く。4体のゴブリンは鈍器持ちが2体、弓が2体という構成だったが、最初の踏み込みで鈍器持ち2体の腕を斬り、次に弓の方へ移動して一体の胸をナイフで刺してもう一体も首を斬った。

そして鈍器持ちにトドメを刺して終わりだ。

はやい。2秒くらいでたおしちゃった。なかなかやりおるのう。



「はやいじゃん。カリナすごいね!ね、プリンちゃん!」


(すごいぷる!姐さんかっこいいぷる!)


「お褒めに預かり光栄です」



短剣だけでサクサクっと倒した。

カリナの奴め、なかなかやりおるなあ。

さすがCランクさんだ。くやしい!



「それにしても弓じゃなくって短剣なんだね」


「それは、アーシャ様が斥候としての技術をと仰るもので。斥候と言えば短剣術かなと。」


「なるほど。私のせいか。」


「いえ、『せい』ではありません。アーシャ様の『おかげ』です。どうも私には短剣が合っていたようで、なかなか快適なのですよ?」


「ならいいけど。」


「あら?どういうことかしらこの塩対応。もっと褒めてくださっても良いのですよ?それとも私がCランクだから悔しいのかしら?おーっほっほっほ」


「くそぅ…おぼえてろよ!すぐ追いついてやるからな!」


「はいはい。まあ、実際のところすぐ追いつかれると思ってますよ」



ぐぬぬ。カリナのやつめ!いい性格になってきたなホントに!

ええい、次だ次!

4階層はもうサクサクっと終わらせよう。そして5階層へ。

ちなみにここまでのナビゲーターはやっぱりプリンちゃんだ。

抹茶も万一の時のヒーラーとして連れてきているけど出番はまったくない。

だって怪我しないんだもん。



それに私もカリナもしょぼいのでよければ治癒魔法は使える。私は治癒魔法Lv1なので頑張ったら凄く痛いけど治る。カリナはLv2だから骨折は元に戻して魔法をかければ繋がる。


でも何年もの厳しい修行の結果、抹茶の治癒魔法はLv3になったのだ!Lv3の治癒魔法と言えば手足が生えるほどはいかないけど、内蔵がやられても大丈夫って恐ろしいほどの強力さ。骨折もわざわざ整復しなくても自動で治るらしい。恐ろしい。

どうだ、うちのスライムちゃんは凄いだろ!


プリンちゃん?役に立ってるよ。ナビとして。



「次どっち行けば階段かな?」


(右プル)


「右だって。カリナ置いてくわよ!」」


「便利ですねえ。私のところにも欲しいです。一家に一プルほしいですね」


「プリンちゃんを便利な道具みたいに……まあ概ね間違えてないか?」


(どういうことプル!?)


「じょーだんすよじょーだん」



そんなこんなでプリンちゃんのおかげで5層へ。



「5層って何がいるんだっけ?」


「ホブゴブリンです。少し大きいゴブリンですね。大きい分力も強いし耐久力も上がります。それに武器を持っていることが多いです。一般的な成人男性とほぼ同じ戦闘力だと言われています」


「へー。プリンちゃんホブどこ?」


(あっちプル)



ほいほいっとプリンちゃんが教えてくれる方向へ。

はい、第一ホブ人はっけーん!ゴブリンと同じような棍棒を持ってる。

ただし、背はかなり大きい。大人の人と同じくらいだ。それに背中がまっすぐで肌の色も緑がゴブリンより薄くて茶色っぽさが入ってる。全体にちょっとカッコいいゴブリン!?まあいいや、いくぞ!



「あーしゃいっきまーす!」


「おほお!今度記録水晶を出した時にまた同じ事言ってください!おねがいですよ!」


(コイツだめだプル……)



また発作の起こったカリナを無視してホブに突っ込む。



「ゴギャアアア!」


「こんちわ!」



出会い頭に頭上からの振り下ろし攻撃を振るってくるが当然よける。

私は体がまだ小さくてホブゴブの胸くらいまでしかない。というかホブが大きい。ゴブリンなら同じくらいなのに!

振り下ろしを避けた後は簡単に間合いの内側に入り込めるタイミングだったが、武器が短槍だしとりあえず左に交わして足に一撃。


大腿部を軽くプスッと。

プスッとされて怒ったのか、雑な払い攻撃をバックステップして突っ込んできている上体にプスッと。今度は腕に当たった。また怒ってる。

その後もチクチクチクチクと大ダメージを狙わずに堅実に戦う。

何度か攻防を終えた後には傷だらけのホブゴブリンと無傷の私だ。


長柄の武器はいい。間合いの外から相手が絶望するまでツンツンすればいいのだ。

ひどく残酷なようだが、これがリーチの差を生かした正当な戦い方、のはず。



「じゃあそろそろ終わらせるね」


「ガグワアア…」


「セイッ!」


ろくに腕も上げられなくなったゴブリンの胸を思い切り突いて倒しておわり。

なんだか、きれいに完封したのに気の毒なことをしたような気がするなあ。


たぶんですが、今後は夜投稿になると思います。よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ