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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第2章 幼女はスライム育成の夢を見る
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第20話 晩餐会その1

少し遅くなりました。金曜は色々と予定があって時間がとれません。

鼻血を噴出して紅い水玉模様を作ったバカはママが治癒魔法で治した。

本人が言うには治癒魔法は苦手らしいんだけど、私の目から見ればものすごい効果の治癒魔法だ。

ぐぬぬ。私の治癒魔法は擦り傷くらいしか治らないと言うのに!



「じゃあ行くわよ」


「はーい。でもあとで治癒魔法教えてね?」


「かしこくしてたら良いわよ」



よしっ。かしこくするぞー!

私レベルなら何も言わずにニコニコしてりゃ良いって誰かが言ってたしね!

別館から魔王城の本館っぽい一番立派な建物に入り、よく分からない調度品の並んだ廊下をママに付いて歩く。ママは何回も来た事あるって感じでノシノシ歩いている。



「あれ?パパは?一緒に行かないの?」


「ああ、忘れてたわ。ちょっと待ってて」



ママはどこかにひゅんっと転移して、3秒くらいで戻ってきた。

パパを小脇に抱えて。



「ただいま」


「ママ僕を置いていくなんてひどくないかい?」


「やだわアナタったら。ほんのちょっとカリナのアホの治癒に手間取っただけよ。オホホ」


「そんなわけないでしょ?」

「まあ全部カリナのせいってことで」


「わ、私のせいですか!?」


「あ、ああー!もう始まってるわよ!急いで!ほら早く!」


「また誤魔化した」


「まあいいんじゃない。これもママのかわいいところだよ」



パパは寛大だなあ。まあそうじゃなきゃあのママとやってられない気もするけど。

私達は3人とカリナというメンバーで大きな門をくぐる。多分この先が会場だ。



「ユグドラシル王国国王アークトゥルス・ゾル・ラ・ユグドラシル様、王妃シノブ・ラ・ユグドラシル様 第一王女アイーシャリエル・エル・ラ・ユグドラシル様 ご入場です!」



警備をしている騎士さんが門を開けて大きな声で叫ぶ。

中の人はこちらをいっせいに見ているようだ。


私はその時騎士さんの立ち振る舞いからこの人はなかなか出来る人だなあと感心してみていた。

シエラ先生と同レベルの魔力濃度に一流冒険者でユグドラシルダンジョンの30層に行っているクラウスさんと遜色ないほどの隙のなさ。


ぱっと見て強い人がなんとなく分かるようになったのが、『纏い』修行の一番の成果かもしれない。

向こうも私が見ていることに気付いている。

顔は上げているが、目を使わずにこちらを観察しているのが伝わってきた。



「いくわよ、アーシャちゃん。」


「うん。騎士さんまたあとでね!」


「はい。がんばってくださいね」


「えへへ。ありがと」



なんと励ましてもらったのだ!やっぱり強い人に悪い人はいない。いい人だなあ。

気を取り直してママに引っ付いて歩く。


教えてもらった通り、ゆっくりと静かに、スムーズに滑るように滑らかに。

顔はいつもニッコリほほえんで、だ。



「なんと美しい」

「両親共に美しいが、あの王女を見よ。この世のものとは思えぬ」

「あの気品、まさに深窓の令嬢と言う言葉にふさわしいではないか」

「まだ子供なのに色気すらあるぞ。まことに恐ろしいほどの美貌よ」

「あれ?あの子昼に見たような……?」

「あの幼女はっ!ブヒィー!」



なんだか色々言われているのが聞こえるけど、聞こえないっ!

周りを少し見ると、覚えた顔があるようなないような。あんまりキョロキョロするのもダメらしいから全体を俯瞰するように観察する。なんだか後ろまで見えてる気がするけど気のせいかな?



「やあ、よくいらっしゃった。私は現フレスベルグ共和国、国王のザイードです。お嬢さんははじめましてですね。今後ともよろしくお願いします」


「アイーシャリエルです。こちらこそ何卒よろしくお願いします」


「しっかりしていらっしゃる。さすがはシノブ様のお嬢さんだ」


「ザイード、僕は?」


「アーク、君はその、昔よりは落ち着いたようだね。シノブ様に迷惑をかけないようにね」



ザイードさんはすっごく答えにくそうに返事をした。

パパってば魔神戦争の時には問題児だったのかな?



魔神戦争は400年ほど前にあった、あらゆる人族と魔神率いるモンスター軍団との戦争だ。

パパもママも、それから現魔王のザイードさんも参戦して戦ったらしい。

その魔神戦争の結果、人類は全人口の50%を失い、あらゆる産業が衰退した。

皮肉にも多くの人を失ったおかげで食料については思ったほど困らなかったらしいが。



私はシエラ先生に習った授業の内容を思い出しながら顔には何も出さないように頑張った。

パパが問題児だった疑惑に付いても考えない!あとでママにこっそりきこっと。

パパとザイードさんはそのまま雑談しながら他のえらい人っぽい人たちの所へと歩いていった。

談笑しながらみんながこっちをチラチラと見ている。

後で挨拶しないといけないんだろうなあ。



「お嬢ちゃんこんばんわ~。昼間とは別人見たいやなあ」


「ごきげんよう。カムヤーン様」



そうこうしていたらキングさんがこちらへ来てくれた。

数少ない知り合いなのでとっても嬉しい。



「ほんまに別人みたいやなあ。周りの奴らお嬢ちゃんに見とれとるで」


「そうですか?わたくしには、よくわかりませんわ」


「……ほんまに別人やな。いつもその感じでおったら恐ろしい事になるで。まあわいは普段の方がいいとおもうけどなあ」


「あらそこの豚さん?私のアーシャちゃんにおかしな事吹き込まないで下さるかしら?」


「これは王妃様、ごきげんいかかでっか?わいは別嬪のお嬢ちゃん見て大変よろしゅうおますわ」


「さっきまではご機嫌だったけどあんたの顔を見たらね」


「そりゃ手厳しいでんな。所で嬢ちゃん、さっき門番してた騎士の事見てたやろ?」


「はい。とても実力の高そうな方とお見受けしました」



あの門番さんは今まで見た人の中じゃトップクラスだ。

ママやキングさんに近いほどの力の持ち主なんじゃないだろうか。



「せやろせやろ。あいつは今の魔王国の若手じゃトップクラスや。こんな場じゃなければ紹介したるんやけどなあ。またそのうちなあ。」


「はい、楽しみにしております」


「うんうん。嬢ちゃんも頑張ってな。ママも嬢ちゃんが頑張ったら何かええ事してくれるはずやで。」


「はい。それは大変楽しみにしております」


「ちょっと……まあいいけど。」


「じゃあわいはあっちこっち回ってくるでな。ほなまた!」



キングさんはシュタっと手を上げて去っていった。

キングさんもあっちへ行ってしまったので、私達は一応設置されている席に座る。あんまりみんな気にせずに立って歩いてしてる。カリナは私の後ろに立っている。カリナの席はないのだ。残念。

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