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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第2章 幼女はスライム育成の夢を見る
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第4話 訓練開始!

気が付いたら薄暗い。窓の外の景色は夕焼けが見える。

みんなとお別れのことを考えたらつらくなって泣いちゃった事は覚えているけど、あの後どうなったんだっけ?


「おはようございます、アーシャ様。と言っても、もう夕方ですけどね」


「カリナ?おはよう。私って寝ちゃったんだっけ?」


「そうですよ。あの後大変だったんですから。王妃様に私とシエラ様が呼び出されちゃって、どうしてこうなったかの説明をしていました。姫はそんなに学園が嫌なんですか?」


「だって……寮に入らないといけないんでしょう?そうしたらみんなとお別れじゃない」


「そうなのですが、困りましたね。先ほど王妃様がいらした際にシエラ先生から相談があったようでしたので、どうにかして頂けると良いのですが」


「学園なんか行かなくていいんじゃないの?たぶん私がわざわざ学園で学ぶことなんてないよ!そうだそうしよう。すばらしいアイディアだ!」



将来の目標は世界一難しいとされるユグドラシルダンジョンの制覇だ。ダンジョンを制覇するのに学園に行っていてどうする!そうだ、そうに違いない。


たとえば数年前から闘技場で大人気のグランドルさんは人間と魔族のハーフだ。

元々貧民外で過ごしていて、10歳で闘技場デビューして大人になるまで字も読めないし、お金も数えられなかったらしい。

それから闘技場で大暴れしながら独学で学問を習い始め、今では魔法物理学の先駆者だ。


ちなみに魔法物理学とは魔力を力に変換すると言う学問らしく、魔力によって物理的な破壊を引き起こすことが出来る。

火や水の力を使わずに魔力単体でだ。

そしてそれを己の筋肉と掛け合わせることによって『筋力×魔力=パワー』という何とも言えない公式を編み出したのだ。そしてそれを実践するために今でも闘技場でトップを走っている。

もうお金には一切困っていないし名誉も得ているのにだ。


ある意味ではおそろしい学問だなあ。でも、学園に行くくらいなら……


「私もグランドルさんになるのだ!学園なんか行かずに弟子入りしなきゃ」


「やめてください!姫があんな筋肉ダルマみたいになったら私もメイドたちも泣いちゃいます!」


「え!?かっこいいじゃん筋肉」


筋肉はカッコイイ。それは間違いない。

筋肉から産み出されるパワー!そこから派生するスピード!


美しくカットされた肉体はそれ自体が芸術品と言っても過言ではないのだ!



「いやです。姫は……その、お淑やかな姫が素敵だと思います。たまに窓の外を見ながら、ため息をつく姫なんかたまらないです」


「……え?」


「他にもご飯を食べておいしいねって言う姫も、衛兵の皆に手を振る姫も御使い様のようです。もちろん天使族のようなゴミ共ではなく、神に近いものと言う意味です。いえ、神そのものかも?はっ!姫は実は神様!なるほど、それなら納得のいくことが沢山……」


「カ、カリナ?」


「なるほど。姫は神が地上に送り賜ふた神の使徒。そう考えると姫の美しさや魔力、おかしな言動にも説明がつきます。なるほどなるほど。普通のエルフやハイエルフにしてはおかしいと私も思っていたのですよ。実は神の使いだったのですね。それなら私も理解が及びます!流石は姫様!思えばあの時……」


だめだ。カリナはおかしなスイッチが入っちゃったみたいだ。

夕方で眠くなって頭がおかしくなってきてるんだな。しかたない。






次の日、シエラ先生は戦場へと出発していった。


ママやカリナは安全な場所だから心配ないって言ってるけど、やっぱり心配だなあ。

私の心配と言えばシエラ先生に言われていた宿題だけど、全く出来そうにない。魔力を全身に纏う。


言葉で言うのは簡単だ。

実際にやってみても簡単だったのだ。


でもそれを丸一日維持するというのは今の私じゃ厳しいんだよね。


たとえばご飯のとき、スプーンをひょいっと持つとスプーンがぐにゃっと曲がる。

次の時には慎重に持つ。そりゃ私だって同じことをやれば曲がると思う。

と思って魔力を弱めると、全身に纏っていた魔力が解除されちゃう。


右手だけ魔力を纏う事を止める、と言うのも有りだけど、そうしたら全身に纏うっていうのとまた違うような気がする。だって右手は魔力を纏えてないんだもん。


他にも魔法を使う時も問題があって、スラちゃんたちにいつものお水をあげようと思って水魔法を使うと水槽からめちゃくちゃ溢れた。この1年でだいぶ調整も上手くなって、もう漏らさないぜ!と思っていたのにお漏らしである。


お漏らしと言えば魔力を纏って寝る訓練をしたら翌朝……ゴホンゴホン。それはいいか。


シエラ先生も難しい宿題を出したもんだなあと思いながら頑張って練習練習!

練習してもちょっと気を抜くとほら。


「カリナー、またドア壊しちゃった」


「またですか?3日で10個目ですよ?いや、ドアだから10枚目?壊れたのはドアノブだからやっぱり10個目?あれ?どっちでしたっけ?」


「ドアとか扉は1枚2枚だけどドアノブはわからないなあ?まあどっちでもいいんじゃない」


「そうですね。とりあえずこれは大工さんにお願いしましょうね。アーシャ様、難しいのはわかりますができるだけ壊さないようにお願いしますよ?」


「私だって壊したくて壊してないよ!」


カリナめ失礼な!私がわざと壊してるみたいじゃないか。まったくもう。

『プンプン!』って怒ってるのが周りから丸分かりになりそうだけど気にしなーい。

おっと、でもプリプリして精神集中を乱すと魔力がフワフワ飛んでいっちゃう。


これホントに難しいなあ。




戦闘はどこかへ消えてしまったのです。

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