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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第2章 幼女はスライム育成の夢を見る
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第2話 ミルク三昧

ママに怒られた後、パパと目と目で会話 (罪の擦り付け合い)をしながら朝ごはんを食べた。

ちなみに今日の朝ご飯は香ばしく焼かれたパンとクリームスープとたっぷりのミルクだった。


このメニューって……!?



「パンには牛乳スライム産のバターが練りこんであります。さらにはスープに使われている牛乳も牛乳スライム産です。ミルクは言わずもがなです。」


「やっぱり?使いすぎじゃない!?」


「アーシャ様の牛乳スライムが優秀すぎて。水槽いっぱいにアーシャ様に水を出してもらうとおよそ40ℓ(リットル)の牛乳が出来ます。しかも味も極上ですよ。そりゃ料理にも使いますよ」


「アーシャちゃんの魔力がいっぱい籠もったミルクはすごく美味しいよ!」


「そうね。なかなかこの味は出ないわ。でもあんまり量産しちゃダメよ。牛さんを飼っている人が困っちゃうからね?」


「そんなに美味しいかなあ?」


パパとママはとっても美味しいって。

私にはちょっと美味しい牛乳としか感じられないんだけど、みんなはすごく美味しいっていうんだよね。

だからあんまり食欲が進まないんだけど、パパはすごく美味しそうに食べてるからまあ良いかなあ。


「カリナは美味しい?」


「すっごく美味しいです。涙が出てきます!牛乳三昧にした料理長は天才だと思います!」


「そっか。ならいいんだけどね」


私は慣れきっているからなんとも思わないけど、うちの食事は変わっているらしい。

王族の食卓といえば、親子でも一緒に食べなかったりするところも多いようだが、ママの希望でメイドさんやカリナや先生たちも一緒に食べる事がすごく多い。


というわけでカリナは一応私付きのメイド長という立場だけど、一緒に食べている。


「シエラ先生は?美味しい?」


「最高ですよー。でも、私も真似して牛乳スライム育ててみたんですけど、自分のスライムはあんまりでした。やっぱりアーシャ様のミルクだから最高なんですよ!」


「私のミルクじゃないよ。()()()()()()の出した牛乳だよ?そこのとこ忘れないでね!」


私が搾り出したみたいに言うのは止めてほしい。そしてそういいながら恍惚とした表情で飲むのはもっと止めてほしい。どうやらみんな牛乳スライムマニア、というかスライムの出した牛乳のヘビーユーザーになってしまったみたいだ。



シエラ先生も家庭教師になったすぐに、どうせ毎日一緒にいるんだからご飯だって一緒に食べれば?って話しになって食事は一緒に食べるようになった。


このあとの授業に移行するのがスムーズだし、その方が楽だねってことでママが強めに説得してくれたのだ。最初のうちは遠慮してたようだったけど。




それにしても牛乳スライムは便利だけど、みんながおかしい中毒患者みたいになって困る。


もっと他のスライムを育ててみたいなあ。今度はどういうのにしようかなあ?

なんてことを食べながら考えていた。私にとってはちょっと美味しいパンとスープとミルクを。


美味しいご飯だとは思うけどカリナみたいに涙を流すほどは美味しくない。

普通よりちょっと美味しいくらいなんだけどな???


そんな事を思いながら食べ終わったらママが一言。


「それで次はどんな風なスライムちゃんを作るの?」


「今も考えてたんだけど……思いつかない!どんなのが良いかなあ?」


「そうねえ。アーシャちゃんがダンジョンにこだわるなら、プリンちゃんとヒーリングスライムを育てた方がいいわ。他のタイプも試してみてもいいとは思うけど……そうねえ、ドラゴンの鱗とか肉とかを与えたらすごく強くなったりしないかしら?」


「うーん、ママ?それはちょっと思ったんだけど、牛肉あげたら牛乳出すようになったでしょ。ドラゴンの肉あげたらどうなるか今から不安なの。ママはどうなると思う?」


「理想としてはブレスを吹いて力持ちで堅いスライムだけどね。多分そうはならないわよねえ」


「うん。その3つのうちのどれかでもいいんだけどね。上手くいくかなあ?」


今後ダンジョンに行く時用にパーティーメンバーを考えておく必要があると思う。

ママもその前提でドラゴンスライム?をがんばったらどうか?って言ってくれてるんじゃないかなあ。


ドラゴンはなんと言っても強い!

その鱗で防御力も高いだろうし、その攻撃力は前衛後衛どちらでも出来そう。


いまのところ、私もカリナもシエラ先生も後衛だ。

ママ?ママはたぶんドコでも何でもできる。


パパ?パパはお留守番が出来る。


そんなこと考えてたらパパがじーっと見てきたのでなんでもないと手を振ってごまかす。

実際のところパパはきわめて優秀なアーチャーだろう。私やカリナじゃとても扱いきれないほど。


「パパはドラゴンのお肉作戦は上手くいくと思うけどなあ。でもカッコイイドラゴンが欲しいなら子ドラゴンを探してくるって手もあるよ」


「えー?それって懐くの?」


「アーシャちゃんはスライムと仲良しになってるじゃないか。その調子でドラゴンとも仲良くなれるかもしれないよ。ただ、どこで子供のドラゴンを見つけてくるかだけどねえ」


「ユグ裏ダンジョンにはドラゴンいないんだっけ?」


「20層にいるけどもうある程度大きいやつだね。それも亜竜でフロアボスだから絶対無理だよ」


「へー……20層かあ」


ほほう。いい情報を聞いた。流石パパはちょっと口が軽いところがあって助かるぅ!ひゃっほー!

ママがじろっとパパのこと見てたけどパパは気にしてない。と言うか気づいてないかも。


「まあ、どっちにしろ20層なら無理かなあ。亜竜を生きたまま持って帰るなんて無理だよねえ」


「そうね、前に1階層に豚が出てきたみたいにダンジョンも奥深くじゃ色々思いがけないことが起こるわ。

ユグ裏だって例外じゃないわよ。楽勝だとか思ってた人から死んでいくわ。アーシャちゃんもダンジョンに行きたいならそういうことを肝に銘じておいてね。それからもし万一の事があったらパパもママもすごく悲しいわ。軽く1国くらい滅ぼしちゃおうかと思うくらいには」


「「「えっ???」」」



何か最後におかしい一言が聞こえたような気がするんだけど気のせいかな?気のせいだよね?

朝ごはんの最中の恐ろしい一言にパパもシエラ先生もカリナもびっくりして目が点だ。勿論私もね。




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