第25話 油断
16層にいるのはなんだったかなあ?
よく覚えてないなー。そう思いながら階段を下るとそこは今までと全然景色が違う。砂漠みたいになっていた。ユグドラシルダンジョンって、言っちゃえば大きな木の中にあるダンジョンなのに砂漠ってどうなってるんだろうなあ。やー、しかし暑い。
暑い所に来て気が付いたんだけど、水はいっぱいあるんだけど困ったことに食料がもうほとんどない。しょうがないからその辺に生えているサボテンを食べてみよう!
「いやあ、ダンジョンの草とか食べてみたかったんだよねえ。カリナは絶対許してくれないしさあ」
(ぷる!ぷるぷる!)
「そんなにおいしそう?だめだめ!譲ってあげないからね~」
サボテンを魔法で切り倒し、表面のトゲを削いで近くにあった枝に串刺しにする。
そして火をおこし、じゅうううっと焼いてみる。サボテンステーキだ。おいしいかなあ?
焦がさないようにじっくりと焼いてみよう。どうかな?こうかな?
屋台のおじさんがお肉を焼くときは火から離してゆっくり焼いてた。ゆっくりじっくりだ。
サボテン汁が滴り落ちる。いい匂いかって言われると微妙だけど青臭くてまずそうって感じでもない。よーし、これくらいでいいかな!?
「よし、たべちゃうぞ!」
(ぷるぅ…)
(きしゃーぅ…)
心配そうに見つめる2匹は放って置いてバクッと食べてみる。
うん!わるくない!味があんまりないけど、臭かったり不味かったりって感じでもない。ソースやコショウなんかがあれば言うことないだろう!ただ、ちょっと味気ないんだよね。
「そういえばさっき食べた串焼きの包みが……あったあった。」
(ぷる?)
包みに付いたタレをサボテンにつけて!うまい!
いける!おいしいなあ。今度ダンジョン行く時はあれだね。ソースだけ持ってけば良いかも。
むしゃむしゃと食べてお腹いっぱいになった。
私だけ食べるのは悪いからプリンちゃんには魔力水を、ムカデさんは何を食べるのかな?
とりあえず魔力水をあげる。ゴクゴク飲んでだからまあいいか。
そういえばボスを倒してレベルが上がったんだった。
鑑定鑑定…っと
名前:アイーシャリエル・エル・ラ・ユグドラシル
種族:ハイエルフ ■■■
属性:全
Lv:5
状態:興奮
火魔法 水魔法 風魔法 土魔法 雷魔法 光魔法 闇魔法 治癒魔法 空間魔法 ■■■
片手剣術 槍術 弓術 素手 鞭 槌術 杖術 鑑定 投石 隠密 魅了 使役 再生 念動力 魔力操作 魔力回復 魔力増大 ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■
なんだ?見られるようになった項目が増えたぞ!?鑑定レベルが上昇したのかな?
あとは、空間魔法って名前だけ聞いたことあるけど習ってないのが見えるなあ。それに鞭とか槌とかって知らない子だぞ???
でもまあそれよりはよく分からない ■■■ の存在だ。隠しスキルかな?まだ見れないようだ。
鑑定レベルが低いから見えないってやつかな?
というか種族ハイエルフの横にも■があるんだけどさあ、ハイエルフじゃないならじゃあ私は何なのさ?
心当たりのないスキルがある中で、心当たりのあるスキルもある。
再生なんかはその筆頭だ。自分で作った落とし穴から落ちたときの怪我がモリモリ治ったアレはこいつのせい、いやおかげだったんだね。
あんまり怪我した事ないからわかんなかったけど、これからは怪我し放題だね。
知らない間に色んなスキルがあったみたいだ。じゃあ再生はともかく■■■とは何なのか?
私に秘められた隠された力の一部が!右手の封印がうずく…!
(ぷるぷる)
「封印は冗談だよ。でもね、鞭とか槌とか全然使ったことないんだけどなあ??」
どういうことなのかはよく分からない。
みんなお腹も膨らんだので先に進んでいく。
歩いていて16層に着てからサボテンを食べる以外なにも起こってないことに気がついてしまった。
時折視線は感じるけどモンスターとは遭遇しない。えーっと、ここに出てくるモンスター何が出たっけな?確か…サソリとかトカゲとか?
(ぷる!)
「トカゲさんだね。よーし!いつもの感じで行くぞー!フレイムミサーイル!」
考えていたらトカゲさんがいた。呼べば来るってやつだね。
いつもの様に落とし穴を設置して魔法を撃つ
炎の弾丸はホーミングしながらトカゲに向かう。
ドンッという音と共に着弾し、トカゲさんを吹っ飛ばして終わった。
「楽勝だったね。次いこ次」
のっしのっしと歩く。あんまり何もいないなー。
(ぷるる!)
「お?サソリだね。まだだいぶ遠いけど」
かなり遠い所にサソリがいる。さっきのトカゲさんと比べてかなーり大きいぞ!?
大きいモンスターばっかりだなあ。そう思いながらまたも遠距離攻撃で仕留めにかかる。
―――このとき私は慢心していたのだ。ここまであまりに順調に進めたものだから―――
「フレイムミサイル!」
ミサイルが着弾するが、サソリはピンピンしてる。おかしいだろ!?
攻撃されたのに腹が立ったのか、サソリはどんどんこちらに向かってくる。しかも速い!
やばいやばい!
「ウォーターボルト!ウォーターボルト!ウインドカッター!」
火属性が不味かったのかなと思って水矢を撃ち、更に追撃で風魔法!
水矢を刺して足が止まった所にウインドカッターで胴体を切断した。
あぶないあぶない。ふいーっと息を吐く。
(ぷる!)ドカンッ!
「いたた。プリンちゃん何!?」
突然プリンちゃんに突き飛ばされた。何が起こったのかと思ってプリンちゃんのほうを見てみると、下半身だけのサソリの尻尾に刺されたプリンちゃんが。うわわわ!
「ムカデさん!ええい!ストーンキャノン!」
サソリの下半身をムカデさんに取ってもらうとまだウゴウゴしてる。きもちわるい。とりあえず追撃の魔法を打って倒す。
ふうっと一息ついてプリンちゃんのほうを見るとは紫になっている。まずいまずい!
毒だ!私は怪我は治せても状態異常はまだ治せない。まずい!早く帰らないと!
「ムカデさん乗せて!急いで!」
プリンちゃんを抱えてムカデに乗せてもらい、そのまま階段の方へ向かう。プリンちゃんはかなり弱っているようだ。
「がんばってプリンちゃん!ヒール!ヒール!」
治癒魔法!を連打する。プリンちゃんは紫色になったままで、ヒールをいくら繰り返しても色は元に治らない。毒状態を解除するには解毒魔法が必要になるが、私はまだ使えない。こんな事なら攻撃魔法ばっかりじゃなくってちゃんと回復魔法を覚えておけば!
急げ急げ!早く早く!
15層への階段に着いた。
ここを上がるとボス部屋だ。さっき倒したんだから何もいないはず。さっさと抜けて外に出ないと!
ボス部屋に着いた。早く通り抜けて―――
「探しタよ、姫ヨ。こンナ所まで来てイルとハな」
「なっ―――」
「さア、我々と共ニ来テ貰おウか」
そこにはユグ裏で振り切ったはずの黒オーク軍団が待ち構えていた。
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