第46話 エピローグ おやすみ
そう、前世の私はイケメンでモテモテだったのだ。それで多少は調子に乗っちゃった所もなくもない。うん、なくもない程度だね。
イケメンといえばパパだ。
あのイケメンはすごい。なんといってもあのままと結婚するくらいなのだ。パネエッス。マジソンケーッス
「うんうん。パパは私の前世がどうとか気にしないと思うなあ」
「そうですかね?前世があるとか言われると気にはなると思いますが」
「あんまり気にしないでしょ?そうじゃないとママと結婚なんかしないよ」
あのママと結婚するんだ。
並大抵のことではどうと言うことはないだろう。
そう思えば今の私はなんと偉大な父を持ったのか。パパなんて呼ばずにお父上様とちゃんと呼んだ方がよいのではないか。
俺ならあのシノブと結婚は色々キツ…ごほんごほん。何でもない何でもない
「それはまあそうで……いや、これ以上何か言うと私は色々まずいことになります」
「そうかなあ?ママはこんなことじゃ怒らないと思うけどなあ」
「そうじゃよ。シノブのやつもすっかり大人しくなったからのう。怒らんじゃろ?なあそこのスライムちゃんや」
(んー。カリナ以外は怒らないって言ってるプル。)
「だって。カリナは残念だったなあ」
「惜しいことをしたのう。まだ若いのに残念なことじゃわい」
「来世でまたお会いしましょう。さよならお嬢ちゃん」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!私はまだ何も言ってませんよ!」
「ブハハッ!」「ワッハッハ」「ウフフ」
カリナの焦りっぷりにみんなで大爆笑だ。
「だいじょーぶ。大丈夫だよ!いくらママでもそんなひどいお仕置きするわけないじゃん!鬼じゃあるまいし。ね?」
「呼んだかしら?」
「ああ、今ちょうどママの話を……おわあっ!」
いつの間にかコタツに入ってニコニコしているママ。
みんなビックリ。ビックリしてないのはプリンちゃんだけだ。なんだか平伏してるけど。
「やあお二人さん久しぶりね」
「ワシはいつも草葉の陰から見ておったぞ」
「久しぶりだねシノブ。さっき君のアーシャがママは鬼だって言ってたぞ」
「それじゃあ死んでるじゃない。ジークは相変わらずねえ。そしてアーシャちゃん?後でゆーっくりお話しをしましょうね?」
「ふわっ!?」
アーシャは逃げ出そうとした!しかし足がコタツの中でつかまっている!
助けを求めるように周りを見ると、エルさんとユリアンヌちゃんは石化したように固まっている。
カリナはもっとひどい。コタツから抜け出して土下座しようかこのまま動かずに嵐が過ぎるのをまとうかで悩んでいる顔だ。どっちを選んでもあんまりかわんないと思うけどね。
ママはカリナを相手にせずに私のほうに向かって問いかける。
「さて。とりあえずこれから貴方……は、一体どうするつもりなのかしら?」
「ふう。ママ?私は私だよ?記憶は戻ったけど前世は前世だね。とりあえず不死神はもう一回出てきてあいつに大暴れされると困るから出来たら倒しちゃいたいんだけど……まあそれはそれとして。」
「それとして?」
「―――エリスは必ず取り戻す。これだけは何があってもだ。」
そう。私は彼女を取り戻す。
そのために私はまた産まれて来たのだ。
「エリスは必ず取り戻す。これだけは何があってもだ―――」
「アーシャちゃん……」
「アーシャ様……」
私の断固たる決意を胸に感じたようで、みんなびしっと姿勢を正した。
エリスって誰よ!?また新しい女!?って顔してるのもいるけど。まあ今はいいや。誰かに教えておいてもらおう。だって私は今ものすごく―――
「―――でも今は寝る。また何年か寝ることになると思うから。ゴメンネみんな」
―――ものすごく眠いのだ。
決意を感じた直後だったからか。みんなコタツの中なのに滑ってるよ。ノリがいいなあ
「し、仕方ないわね。お休みアーシャちゃん」
「おやすみ。またね」
「また後でのう」
「えっ!おやすみなさいアーシャ様!?」
「おやすみ~」
「おやすみなさいアーシャ様!」
今回は前よりマシだけど、どう考えてもまた深い眠りに付くだろう。
アーシャパラダイスに入り、ベッドへ。ココアちゃんを抱きしめて眠る。
そういやこの子はなんで……だめだ。眠い。
おやすみ~
ついに蘇る記憶。そしてまた眠りへ。




