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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第5章 少女は一流冒険者になる
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第42話 夢

ふっと気が向いてタイトルの後ろのを取っ払い。

やっぱりこの方がスッキリするなあ。どうせTS要素殆どないしね!

ああ、またあの夢だ……



明日は決戦だと思って眠りについた。私は興奮していてもすぐに寝れるタイプなのだ。

でも眠り始めてすぐに夢を見はじめた。


もうどんな夢なのかは分かっている。

―――これは過去にあった事を夢でみているのだ。







軍と軍での戦いは我々の負けだ。

数は大体同じ。一人一人の強さは我々のほうが上だ。

ならば、真正面からぶつかった場合はまず負けることはない。

―――通常ならば。


だが相手は不死者だ。倒してもきちんと滅する、あるいは封印しなければいずれ復活してまたやり直しになる。そんな事くらいは分かっていた。我々の仲間は勿論そのつもりだったのだが、権力者たちは違っていた。

戦いの序盤で有利になったと思うと、戦後の支配をどう自分たちに有利にするかで内輪揉めを始めてしまったのだ。


そこをきれいに不死者に突かれた形になった。

まず左翼に配置していた共和国軍の大将が裏切ったとのデマが流れた。

これはデマだったが、もしそうなっても無理もない事だった。

彼らにはいちばんきつい所をお願いするしかなかった。それに伴う死者も多く、勝ったところで聖国軍においしい所を持っていかれることが分かっていたからだ。実際に兵の不満もあったことだろう。


そして、次には右翼に配置していた皇国軍の師団長が裏切った。

こっちは本物だ。気が付けば師団全体が不死者に変えられていた。混乱する味方の軍に対して一気に攻勢をかける不死の軍団。これではもういけない。右翼は総崩れ、中央も押され、ようやっと立て直した左翼だけでは到底押し返せそうにない。


ここまできてしまうと軍と軍の戦では勝ち目はない。

我々が勝利をする為には残すのは敵軍の大将、すなわち不死神の首を獲る事だけとなったのだ―――



―――ああ、ここからアレに繋がるのか―――




この後のことはなんとなく前に見た。


不死者の幹部たちは軍の指揮を行っていたり、調略に熱心になっていたようだ。

その隙を突いて本丸に突貫、不死神との直接対決へと繋いだ訳だ。なかなかやりおる。

この作戦を考えたものに今孔明の名を……



「って誰じゃい。」


「アーシャ様、今日は早いですね。またステキなお寝言でした」


「んあ?カリナおはよう。私また何か言ってた?」


「今お米が~とか?誰じゃーってお爺さんみたいな事言ったりとか?」


「そんなこと言ってたっけ??」


「いつものように大きな声で言ってましたよ」


「記憶にございませんなあ……」



記憶にはある。でも寝言を言った記憶はないのだ!だから記憶にないのだ!

この後カリナとやや不毛なやり取りをし、いつものようにお肉三昧の朝ごはんを食べてお弁当を作ってもらってダンジョンへ出発した。

さあ、ダンジョンボスが私達を待っているのだ!



水中呼吸やらの水魔法便利セットをかけて貰って60層へ突入。

60層はもう完全に水中だけど、水の底には岩やサンゴがあるとってもきれいな空間だった。



「サンゴがあるって事は海水なんだね」


「そうなのですか?」


「そうだよ。淡水だと栄養塩がなさすぎだし。まあ多すぎても……ってなんでこんなこと知ってるんだ私は?」


「さあ?」


「まあいいや。とにかくココは海水だ。そういえばここまでも海水っぽかったけどワニとサメがいる不思議空間だったね。まあ海に住んでる爬虫類でワニじゃなかったのかも……ってまあどうでもいいか。」


「はい。アーシャ様が物知りでかわいらしいです。」


「物知りで可愛いはよくわかんないけど。まあいこう。がんばろうね!」


「「「はい!」」」



60層ではここまでろくなモンスターに出会わなかった。

大体今まで見たのと同じだ。多分ボスは海竜とかそういうのが出てくるんだろうなー。


「おっじゃましまーっす!」


「ギギガガギー!」


現れたのは……イカだ。あのシルエットは間違いない!



「イカだ…!イカそうめん……一夜干し……イカメシ……!」


「ギャー!また悪魔の魚!」

「うわわ!きもちわっる!」

「落ち着いてください!アレはああいう海洋生物です!墨を吐いて攻撃してくる恐ろしい魔物です!」


「いや、アレはおいしい食べ物だよ。」



イカだぞ。美味いに決まってる。

刺身でよし、焼いてよし、イカ大根なんかにじゅうまるだ。

干してもいいし、塩辛なんてのも乙なもんだ。



「あ、あんな気持ち悪いのを食べるのですか!?」


「アレは恐ろしい魔物で食べ物では有りませんよ!アーシャ様しっかりしてください!」


「アーシャちゃんって何でも食べるよね~」



エルさんだけは笑ってるけど後の二人はものすごい剣幕だ。

まあ確かに、不死者になっちゃってるイカはさすがの私でも食べられない。

でも普通に海にいるイカなら食べたいもんだなあ。


「まあいくら私でもアレは食べないよ。いやだなあ。私が食べたいのはこれ位の大きさだよ」


そういって手で大きさを示す。普通のイカさんのサイズだ。

目の前にいる真っ黒な墨をかぶりまくったようなイカは大体30mはあるだろう。ところどころに紫の斑点も見える。あんなモンさすがに食べないでしょ。

一夜干しにしようとしてもどうやって干せばいいのだ。イカメシのご飯は何合炊けばいいのだ。イカソーメンは何mあるのだ。まったくもう。あんなのすすれないでしょ!



「さあ、気を取り直して戦いだよ!」


「「「はい」」」




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