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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第5章 少女は一流冒険者になる
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第32話 出発!

「―――疲れたね」


「疲れましたね。帰って寝ましょう」


「そうしましょ。明日もダンジョンへ行くでしょ?」


「いよいよ50層台ですね。明日からが楽しみです!」


「アルヘナの経験からするとココからガラッと中身が変わるかも。気を引き締めようね」


「「「はい!」」」




帰り道、私達は馬車の中でそんな話をしていた。

ママはザイードさんとお話した後、まだパーティーは途中だというのにさくっとエレナちゃんに乗って帰っちゃった。

うわ!ママずるい!と思ったけど、どうにも出来ずに遠ざかって行くエレナちゃんとやっと終わったって顔してるママを見つめることしか出来なかったのだ。くっそう。



それにしてもいよいよ最下層付近へ近づいてきた。


前回のアルヘナダンジョンでは銃を持った軍隊のような相手だった。次は一体どんなのだろう。

どきどきするなあ。楽しみだなあ。


今夜は良く眠れそうだ。





―――ああ、またあの夢だ


数万の軍勢を率いて戦った。相手ももちろん万単位の不死の軍勢だ。


でもその不死の軍勢のなかでも、並みの不死者とは全く違う、遥か上位の存在がいる。

神にも等しいと言われる力を持つ彼らと対等に戦えるのは限られた者だけだった。


私は、―――俺は、その選りすぐられた英雄たちを率いてレヴァナントやノーライフキングと呼ばれる奴等を薙ぎ払い。さらに上位の存在である真の不死者、死を超越した者(オーバーロード)と戦っている。奇遇にも6対6だ。あいつらはどれもこれも強い。





―――あら、この仮面の敵は―――






そして奴等との決着は付かないまま、不死神との戦いへと突入した。

本来なら奴等を消滅させるか封印してから不死神へと戦いを挑むべきだったのだが、もう人類はそこまでの力を失っていたのだ。つまり俺たちは破れかぶれの特攻を仕掛けたわけだ。

勿論勝算はあった。俺たち自身もすでに神に近い域まで昇りつめていたし、それにいざとなればこの体を用いてでも―――


そしてその結果が―――




「ふわあああ~」


まーたあの変な夢だ。

つーか夢に出てきた変な仮面は前に戦ったことのあるあいつだ。

他にもマジシャンみたいな変なのもいた。分かってたけどあいつらは不死者だ。分かってたよ?


しっかし、どうしてあいつらはあんなに目立つ格好をしているのだろうか。

不死になって暇なもんで有名になろうとしているんじゃないか。


ゆーち○~ぶだとか、つ○ったーとかで変に目立って一躍時の人気者に……なんだ?また変な思考が混じったな。


あいつらも変だけどどう考えても私も色々おかしい。

そういえば味方にはママもいた。それにものすごい腕のイケメンのヒーラーさんもいた。

回復魔法の腕だけ見るとキングさんかなと思ったんだけど、顔が全然違ったね。キングさんは残念ながらオークでーっすって顔だもんね。


それから、エルさんにそっくりの人もいたけど普通サイズの大人の女性だったからイルリーシャさんとも違う…と思うんだけどなあ。う~ん???

まあいいや、みんなまだ寝てるし寝なおそう。



「…様、起きてくださいアーシャ様。」


「うーん、あと10分……」


「だめですよ。今日からは51層でしょう?」


「だって眠いんだもん。今日はお休みだよ」


「何を寝ぼけた事を……ダンジョンに行って取り戻すんでしょう?」


「そうそう、私はダンジョンで……なんで知ってんの?」



一気に目が覚めた。

何で誰にも言ってない (たぶん)夢の内容をカリナが知っているのか。こいつまさかなんだか新たなスキルに目覚めたんじゃないか。ずるい。



「なんで、って。よく寝言で仰ってますよ。俺はなんとかかんとか?って」


「ほう?そうだっけ??」


「昔からそうでしたけど、アルヘナをクリアしたあたりから急にひどくなりましたね。半年寝込んでいたときも時々大きな声でハッキリした寝言を言っていて、実は起きてるんじゃないかと疑っていたくらいです」


「あー、あの時かあ。」



寝ておきたら半年経ったと言われたあの時だな。カリナもプリンちゃんたちも寝ている私の隣で毎日温泉&バーベキュー生活を送っていたと噂のあの時だ。ギギギ…妬ましい。


それにしてもあの時から寝言か。

思い当たる節はある。出来れば現実じゃないほうがいいけど…多分アレは過去の世界というか、前世の私だ。ママもやっぱりパーティのメンバーだったんだね。


それにあの『敵』だ。あいつらは普通に考えて不死者だろう。


仮面の人もいたし、前にユグ裏で見かけたマジシャンみたいな派手派手な人もいた。

アルヘナで戦った仮面の人よりも夢の中で出てきた人のほうが強そうだったから、もしかしたら他人とか父親だったとかかもしれないけど。ああ、体型的には男の人だったけどゴツイ女の人って可能性もあるなあ。そもそも不死者に男女があるのか?というつっこみはナシの方向で。


さて、目も覚めたことだしご飯食べてダンジョンだダンジョン!



「ほら、早く起きて。ご飯食べてダンジョンに行くよ!」


「そう言われても、私達3人は起きてましたよ。アーシャ様待ちです」


「ふふん。実は私はみんなが寝てる真っ暗な時に一回起きたのだ!」


「そのあと寝なおしたのでしょう?そういうのは起きたとは言いません!」


「なん…だと…」


「つーか常識でしょ」


「アーシャ様とカリナさんってお母さんと子供みたいですね。甘えんぼするアーシャ様も素敵です」



おかしくない!?

いや、寝なおしたのが起きたとは言わないってのは知ってる。

知ってるけど言ってみただけだ。ホントダヨ。


でもそれよりユリアンヌちゃんが最近……いや、旅立つ時から?その前からかなりおかしくなってきてるような。甘えんぼする私が素敵ってどういうことだ?うーん……


まあ、その件については触れないでおこう。多分私のせいじゃないし!



よーし、今日も元気に出発だ!

朝ごはんは少し遅めだったけど宿の人たちはいつもどおり親切にしてくれたし、料理もばっちり!


なんだかよくわかんない肉のステーキにコンソメスープ、そしてネギマと呼ばれる串焼きだ。

葱とお肉を交互に挟んだ串焼き。うまい!これも異世界の勇者が持ち込んだ食べ物らしい。異世界恐るべしだなあ。


朝からやや肉肉肉と脂っこいメニューだったけど、それを上手く感じさせない調理で大変おいしゅうございました。ごちそうさま。


「じゃあいってきまーっす!」


「はい、がんばってください!」


ご馳走様の次は、いってきまーす!だ。今日は最低でも55階層までは行きたい。



ぽてぽてと慣れた道を歩くこと30分、カノープスダンジョン前に到着。

―――さあ、51階層に転移だ。



遅くなりました。

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