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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第5章 少女は一流冒険者になる
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第29話 地獄の準備

ココアちゃんと私はぴったり息のあったキックでエンシェントキマイラを撃破した。

それはいい。それは良いのだ。

でもあんな連携何で出来たんだろ??



「アーシャ様凄いです!かっこよかったです!ココアちゃんとの連携も凄かったですけど、いつ練習したんですか?」


「さあ……?」



それは私も知りたい。

ユリアンヌちゃんは目をキラキラさせながら褒めてくれるけど、私達はまーったく練習なんかやってないのだ。それなのにあのおかしな呼吸の合いっぷりは一体なんだったんだろうか。


謎が謎を呼ぶ連携攻撃で50層のボスを撃破した。

ボスドロップの宝箱は例によってゴミだったけど。ゴミだといってもミスリルだ。

いや、ゴミじゃない。ミスリルだから悪くない。昔なら大喜びしていたはずだ。

私が贅沢になってしまっただけなのかもしれない。


でもまあうん。なんというか、この階層にしてはちょっとアレなのだ。

50層ならミスリルどころかオリハルコンや魔晶石のでっかいのやらがでてもおかしくないからね。


こんな時だけ部長の豪運が欲しくなる。箱開けの時だけワープでダンジョンにきてくんないかな。

箱開けしたらすぐそのワープで帰っていいからさ。



「ああ、部長の豪運が恋しい。こんな時だけ来てくれないかな」


「どうして微妙なものばっかりなんでしょうねえ。」



それにしても、あのキマイラは一瞬で倒したからアレだったけど、また不死者だった。

まあどうせこうなると思ってたからあんまり気にしないけど……


……ってのはもちろんうそだ!気になるに決まってるじゃないか!


あいつらは私のストーカーか何かか?どうしてこうも行く先行く先に出てくるんだ鬱陶しい。

あーやだやだ。



とは言え、理由はわかっている。多分私の中の何かを求めているのだ。

それを本気で狙ってきているか前みたいに遊び半分なのかはまだわからないけど。

あーあ。あっちもこっちも面倒なことになったなあ。





また不死者だ。

ホントにあいつらはめんどくさいなあ。

そう思って宿に帰った。

帰った私達を待っていたのはもっと面倒で、とてつもなく手強い戦いだった。



そう、それは……ダンジョンでの戦いではない。

魔王城での戦いだッ!









「この若竹色のドレスは涼しげでいいですね」

「こちらの桃色も良いですわ」

「薄浅葱のドレスもよろしいですわね」

「色はともかくデザインもです。私どもなら一日で仕上げられますよ。姫様どうなさいます?」


「いや、私は別に…では我々に任せていただきましょう。カリナさん、貴女のドレスも決めなくては。それからエルリーシャ様とユリアンヌ様の分も勿論私どもが責任を持って仕上げますのでご安心を」


「ア、ハイ…」



私は今さっきダンジョンから帰ってきたところだ。

帰ったらすぐに風呂に放り込まれ、風呂の中でもみくちゃにされた後は衣装合わせである。


あっち(ダンジョン)の面倒ごとはとりあえず放置。と言うか放置するしかない。

なんと言ってもこっち(姫様稼業)の面倒ごとはもう開始はじまっているのだ!


私がダンジョンで遊んでいる間にカリナはすっかり手配を終わらせていたらしい。

と言うかカリナも一緒にダンジョンにいっていたのにいつの間に?



そんなわけで早めにダンジョンから帰ったあと、午後はドレスの試着なのだ。一日がかりで。

私は家をいったん出て冒険者になったはずなのに、晩餐会に出ることになったというのがユグドラシル王国のパパとママはおろか一般市民にまで知れ渡り、ドレスやら装飾品やらを火竜空輸で運んできたのだ。人員ももちろん一緒にだ。


そして皆がその晩餐会での記録水晶を楽しみにしていてすでに予約受付が始まっているらしい。うちの国は平和だなあ……





そしてあーでもないこーでもないと延々試着を繰り返し、調整調整調整、試着試着試着ゥ!。

もうイヤになるなあ。ってかとっくにイヤになってるか。


メイドさんたちはいやになんないのかねえ。と思ったらみんな嬉しそうにきゃいきゃいしながら作業をしている。

この後ものすごーい手直し地獄で多分徹夜になると思うんだけど、それすら楽しみらしいのだ。うーん、縫い物って時点で私には厳しい。さらにそれを徹夜で……無理だあ。



想像するだけで無理だなと分かる作業をこれから行うメイドさんたち。

一方の私達は試着だけでもう倒れそうになった。

やっぱり私はダンジョンにいってモンスターと戦うほうがいいや。はあ。


その後はカリナとエルさんとユリアンヌちゃんと、4人で晩餐会に来そうな人の顔を覚える作業に入った。うん、無理。私の頭には入ってこない。

プリンちゃんたちに覚えてもらったほうがいいんじゃないかってくらいだ。

頑張ってみたけど頭にはなーんにも残らなかった。



地獄のような時間を過ごした私達は、夕飯もそこそこにお布団へ。

いつもいっぱい食べちゃう美味しいお肉なのに、今日はあんまりいっぱい食べられなかった。悲しい。ああ、明日は気楽にすごせるといいなあ。

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