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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第5章 少女は一流冒険者になる
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第25話 ケルベロス捕獲大作戦

ニャンコもいいけどワンコもいい。分かっていた事だ。

というわけで、ワンコロを捕獲しようと頑張ってみたけど、何回やってもどうにもならなかった。


さっきの子が一瞬懐きかけていたように見えたんだけどなあ。

こうなったらボスがワンワンで、えいやっとやったら仲間になるを期待しよう。

40層の雷獣ちゃんと同じ事をするだけだ。あの時はどうしたんだったっけ……???


もう、最近私は記憶があいまいで困る。カリナにも良くボーっとしてるって言われるし。こんな事で魔神を討伐なんて出来るのかなあ。ってか討伐する前提で考えてるけどいつの間にこうなっちゃったんだ?


私の目標はあくまでモフプル天国で……いやこれもちょっと違うんだっけ?

でもとりあえず今はワンコを捕まえることだ!



「んー。なかなか仲間になんないなあ……雷獣ちゃんってなんで仲間になったんだっけ?」


「ココアちゃんが一撃で倒してるところは見ましたけど。他に何かなさったのでは?」


「何かって。ポコッと一発やったくらいだけどなあ」



ポコッと叩いた。そしたらココアちゃんがきてドッカーンとやってしまったのだ。

そして、どうなったんだっけ?なんだかボスが消えて宝箱から仔猫が出てきたんだけど……まあ良くわかんない現象だったな。

でもこの流れだと45層のボスはきっと超強い犬だろうから、そこで狙おう。そうだそうしよう!


期待を胸に45層へ。

超強い犬!超強い犬!こいこいこい!


そう念じていた私の前に現れたのは超強そうな犬だった。

でかい!つよそう!かっこいい!……ただし3つ首のだ。



「ケルベロスですね」


「超強い犬だけどこれは違うよ……あんまりかわいくない」


「そうかしら?アレはアレで可愛く見えるわ。仔犬ならなお良いんじゃないかしら」


「ええー!?ユリアンヌちゃんはどう思う?」


「私も悪くはないかと。3つの頭も凛々しそうだったり可愛かったり愛嬌があったり、個性があっていいですね!」



……そうか?

私にはあの3つは大体おんなじに見えるけどな。腹が減った時の犬の顔A.B.Cに見える。

がおーん!がおーん!ってだけですぐ終わっちゃうような無能な犬に見えるんだなこれが。

いいからビームもたまには吐けよと言いたくなる。

犬犬犬という響きだけで何だかおかしな頭痛が痛いんだぜ。


変な思考がまた入ったけど、それはまあいい。ケルベロスになんか恨みでもあるんだろう多分。

ケルベロスはエルさんも気に入ってるみたいだし、テイムできるかどうか実験もかねて頑張ろう。

取り巻きに出てきているのは大型のエンシェントウルフの色違いが10頭くらい。もちろんこっちは1頭=1匹。雷獣ちゃんのときと同じように取り巻きをみんなに処理してもらおう。



「じゃあ雷獣ちゃんのときみたいな感じで行くよ?取り巻きよろしく!」


「「「はい!」」」



いっくぞー!

どりゃー!っとケルベロスに突撃。

右前足パンチをかわしてもぐりー、っと左の首の噛み付きだ。

あぶね!っと下がる。そこに右の首から真っ赤な火属性のビームが飛んでくる!


「ちょま!アースウォール!」


土壁を斜めに出して、火ビームを逸らせて反対方向に逃げる。やばい、なかなか強いじゃないか。

さらに逃げた方向に真ん中の口から水弾が、よけたら左の口から闇のブレスが。


なかなか忙しい攻撃だ。土壁は火との相性は◎だけど、水弾には弱い。闇ブレスも微妙なところだ。

というわけで、水弾はかわし、闇ブレスはライトニングボルトで相殺した。

そうして凌ぎ、しのぎ、凌ぐのだ!

そして訪れた大振りのパンチを見切って……ここだっ!


「ちょいやー!」


左の頭にぽかんっと一撃!

左を殴ったのに中と右のも痛そうにしてる。

こいつら繋がってんのか!?ああ、いや繋がってることは間違いないのか??


いや、でも脳みそから神経が出て痛覚は末端から中枢に行くはずだから頭から頭…???

―――って今そんなこと考えてる場合じゃないな?


「ええい、おまえらもついでにこうだっ!」


中と右の頭もポコポコ!

あんまり魔力を込めすぎないように、力はそこそこ込めて……むずかしいな!


「「「キャイン!」」」


「よし!ココアちゃん今!」


「ニャニャニャーン!」


今度は縦に回転しながらの蹴りだ!

雷獣ちゃんのときはジャンプしながらのアッパーだった。この無駄に多彩な技に意味はあるんだろうか?

それはそうと真ん中の頭に当たった蹴りは大きくケルベロスの体を持ち上げ、天井に当たりそうになって頭から落ちてきた。グシャッと。これ大丈夫か??


チラッとココアちゃんを見ると、『やっべ、やり過ぎた』って顔をしてる。これ殺っちまったんじゃ…?

ヤバイと思ったら予想通り、あわれケルベロスちゃんは光の粒子になって消えて逝ってしまった。そんな気がしたんだよね……チラッとココアちゃんを見ると、あちゃーって顔をしてる。


「あちゃー。やりすぎだったみたいだよ?」


「にゃ~ん……」


ココアちゃんと私の二人は失敗したなあ。って顔を見合わせた。

そうすると取り巻きの処理を終えた三人がこっちに来た。やばい、怒られるかなあ


「倒しちゃったんですか!?」

「ええっ?」

「あら、残念でしたねアーシャ様。」


私は別にあんまり残念じゃ……残念だな。くっそう。

ユリアンヌちゃんとエルさんは非難するような目で見てくるし。

こないだまで『ボスをテイムするなんて無理に決まってるだろ。アーシャアホだろ!プギャー!』みたいな反応だったのにどうなってんのこれ。


理不尽さを感じてココアちゃんを見ると、お腹を出してごろっとして甘えてきた。

くっそう可愛い!

いやいや、ちょっとまて。こりゃ完全にごまかしてるだけだ。騙されちゃいけない。


よし、ココは……!


「もう一回、もう一回おねがいします!」


「しょうがないですね。もう一回だけですよ?」


「全くもうアーシャちゃんは……」


「失敗してへこむアーシャ様も素敵ですね!」



なんだか私が悪いことして、しかも無理やり付き合わせて狩りをするような言いっぷりだ。

私は良く分からない理不尽さを感じながら、もう一度ケルベロスに挑むことにした。


月水金の予定だったんだけどおかしいなおかしいなあ。

ココアちゃんの技は前回が昇○拳で今回がサマソです。いちおう。

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