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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第5章 少女は一流冒険者になる
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第20話 テイム成功!

凄く肉肉しい食事をガッツリ食べるつもりだったのに、おしとやかに食べたせいでなんだか物足りない。カリナが言うには、『どうせみんな正体知ってるからガツガツ行っていい』らしいのだけど、それもどうなんだ?



まあ気を取り直してダンジョンだ。

40層のボスはアルヘナだとサイクロプスだった。

巨人型って攻撃力が高いんだけど、防御力が低くて脚を一回ボコボコにしちゃったら楽勝なんだよなあ。

再生能力があって苦労すると言うことだけども、再生して攻撃してくる前にただひたすらボコボコにすればそれでいい。もう飽きてきた頃に再生が終わるってパターンが殆どだ。


そんな事を考えていたらいつの間にやらボス部屋前へ。

荒野にポツンと怪しい門がある。怪しいことこの上ないよね。


いっくぞー!突撃!隣のダンジョンボス!



「こんちわー!」


「……」



あれ?いつもボス部屋では返事をしてくれるのに。誰もいないのか?

や~な予感がするなあと思って、とりあえずジャンプからの風魔法で上から偵察。


大型、小型の獣の群と一際異彩を放つ、10mほどあるだろうか、かなり大きな猫科の……かわいい!黒い体に黄色い毛で雷のような柄だ。可愛いしカッコいいなあ!



「どうしよう。私アレと戦いたくない。可愛いし模様もカッコいいじゃん」


「そういうこと言わないでくださいよ。どう見てもボスじゃないですか!」


「いーや、私はアーシャちゃんの気持ちが分かる。アレは無理。」


「エルさんも何言ってるんです!ボスですよボス!」



猫科の猛獣なんだけど、どう見ても可愛いのだ。子猫時代を見てみたかったなあ。きっともっふもふでものっすごく可愛いに違いない。


カリナとユリアンヌちゃんはボスだからボスだからって言ってるけど、私もエルさんも闘いたくなんてない。こうなったらアレをやるしかない……!



「きっとテイムできる。周りの雑魚は頼んだからあのボスだけは私に任せてよ」


「え、ちょ…?アーシャ様!?」


「頑張ってね!」


「無理ですよお~」



何か言いたそうに口をパクパクするカリナを無視して一直線にボス猫のほうへ。



「こんちわっ!」


「グルル……シャー!」



威嚇のあと、一拍置いて襲い掛かるニャンコ。

正面からジャンプしての爪での攻撃がこちらに襲い掛かってくる。


でかくて重い!右の爪攻撃を何とか逸らしつつ体を、槍の柄でポカン!



「めっ!」


「ギニャッ!」


「いきなり知らない人に襲い掛かったり、ゴハンに咬みつこうとしたりしたらダメでしょ」


「グルルルル……」



落ちてるもの食べたら病気になるかもしれないじゃないか!まったくもー。しつけがなってない!

ウチの子なら……ウチの子なら?大丈夫だよな?私は全くしつけらしい事をしてないぞ。

ウチの子たちは勝手に温泉に入って勝手に焼肉を食べている。

しつけはした覚えがない!……大丈夫か!?


心配になって隣のココアちゃんを見るとヤル気満々だ。だめだぞ?テイムするって決めたんだからな!



「ギニャー!」


「グルル……ガァーッ!」



なんと ココアちゃん が 馬車から 飛び出した!


ついおかしな口調になったけど、ココアちゃんがいきなり飛び出してでっかいネコさんに突撃して行った。あぶない!大きさが全然違うんだぞ!


ボスネコの左パンチをかいくぐり、懐へ。咬み付きをさらにかいくぐって……あ、アレはまさか……

下がったアゴにジャンプしながらのアッパー!


「ニャーニャーニャン!」


「ギニャァ…!」



自分の10倍の身長はあろうかという相手を空に打ち上げるほどのアッパー。

ボスネコは後ろに倒れてグロッキーだ。


そこに歩み寄り、『いい戦いだったぜ!』って感じで手(前足)を差し伸べるココアちゃん。

そして感動した素振りで前足を握り返すボスネコ。周りの取り巻きも私達もあまりの光景にポカーンだ。


気がついたらボスも取り巻きも消え、宝箱が落ちていた。

宝箱をおもむろにココアちゃんが開けると中には仔猫ちゃん。さっきのボス猫が小さくなったような感じの可愛い仔猫だ。



「にー!にー!」


「うわめっちゃやばい。かわいすぎでしょ!」



モフモフに向けて全力ダッシュで近寄ったけど、私を見ると怯えるのだ。おかしい。

私は今まで動物に怯えられたことなんてないのに。


「うわあ、可愛い猫ちゃんですねー」


近くから覗いてきたユリアンヌちゃんが抱っこすると甘えてすぐにゴロゴロ。

なんだ?気のせいか?と思って近寄るとシャー!



「どういうことだってばよ」


「さっき叩いたのがダメだったんじゃないですかね。おーよしよし。かわいいでちゅね~」


「トラちゃんもこんな感じだったね。ねートラちゃん。」


「がるるぅ」



トラちゃんはガルっているが、これは完全に甘えんぼのガルだ!そして仔猫も特に怯えている感じではない。そしてユリアンヌちゃんに続き、カリナにもエルさんにも甘えんぼをしている。


でもそんな仔猫ちゃんも私のほうを見ると怯えるのだ。おかしい!おかしいではないか!



「おかしいではないか!」


「おかしくはないでしょう。あれだけ頭を叩いたのですから、どこかに恐怖心が残っていても不思議ではありませんよ。どちらかといえばボスモンスターがあっさりとテイムできたことが不思議です。」


「そうですよ!これは凄いことです。発表すれば世界中で大反響待ったなしですよ!来年のテイミング学会で発表すればいいじゃないですか!昔の記録水晶を私も見ましたが、あのときのアイーシャリエル様の愛らしさときたらもう……!」



ユリアンヌちゃんが暴走気味だ。

私の周りには必ずこうなる人がいるな。どうなってんだろ。でもさー、学会とか発表とかはさー。



「発表とかさー、もう行きたくないよ。めんどくさい。あの時も色々大変だったんだもん。準備に名前を色々覚えさせられたりしてさあ。エンヤさんには怒られるし。いいこと有ったかって言ったら……魔道具職人さんと会ったくらい???」


「そ、そうですか……」


「とにかくまあもう行きたくないね!んで、そろそろ……」


「ギニャッ!」



そろそろ落ち着いたかな?と思って手を伸ばしてもまた逃げられた。なんでやねん。





どんどんペットが増えていきます。

飼えない数を飼ってはいけないってCMありますが、王女様がお城で飼うので大丈夫。

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