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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第5章 少女は一流冒険者になる
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第18話 焼肉のタレ

さて、ダンジョン攻略の日々である。


30層後半からは竜種がサッパリ出てこなくなった。

ドラゴンパラダイスはみじかーい時間だけだったのだ。もっとも、ドラゴンと言っても緑色した空を飛ばないトカゲだけど。


羽っぽいのがあって、しょぼい鱗がある。竜か?と言われればそうかなあと思うけど、いいやトカゲだろ?と言われればもうトカゲでいいんじゃないか。そんなもんだ。




そして私が何も覚えていない37層から再スタート。


35層のボスは狼8割のワーウルフとトラ9割のワータイガーさんだった。

モフモフ感はあんまりなく、毛が血とか汗とかでべっとべとで汚い感じだったので是非ゴシゴシ洗って毛の縮れをきれいにしてお手を仕込みたいところだったが、あっさりと倒してしまった。

しょうがない。


そもそもボスモンスターは絶対になつかないと言われているが、いままで私が聞いた絶対に○○しない系のことは大体実は頑張ればいけるようなことばっかりなのだ。そういうことにしとこ。



思うに、その常識が作られたのはわりと最近になってからなんじゃないかな。だって一万年前はもっと無茶苦茶な事をゴリゴリやっていたような気がするのだ。たとえば―――たとえば何だっけ?


最近何かを思いついて思い出せない。そんなことが凄く多くって困るなあ。


しかし困るといえばミドルドラゴンさんだ。あんなのでっかいトカゲじゃないか。

たぶん肉だってマズいぞ。間違えてもアレを捕まえてペットにしたいとは思わない。


でもダンジョンなんだから何が起こるかわからない。

もしかしたら幼竜や卵がポロッと落ちてるかもしれないのだ。


だから可愛いドラゴンとか、これは!と思うようなモンスターがいればいつでも持って帰る準備はしている。

プリンちゃんだってきゃわいいのを溶かさずに捕獲して調教する為の訓練をしているのだ。たぶん。



「ね?頑張って可愛いドラゴン捕まえようね」


(『ね?』じゃないプル。可愛いドラゴンはそもそも遭遇すらしないから無理プル。いるのは大きなトカゲと大人の暴れん坊だけプルよ)


「そうとは限らないじゃない。何なら大人のトカゲを切り取って持って帰ってそこに回復魔法を掛け捲るとかで子供が生えてくるかも!」


(うわあ……恐ろしい考え方プル。回復魔法の才能を与えなかった神様に感謝プル)



全く失敬なペットだ。


しかし、考えてみれば回復魔法は極めれば牛を半分に切って再生して肉だけゲットしたり、あるいは2頭に増やすなんて事も出来ちゃうんじゃないのか。

そうすれば食糧事情も回復しそうだし、何なら不老不死に近い事だって出来ちゃうんじゃないか。いらないパーツポイポイして新しく生やすとか!やっぱり今からでも回復職人になろうか。


でも回復魔法の先生にも才能ないって言われたような。

あれ?何て先生だったっけなあ……まあどうでもいいか。



「アーシャ様、もう40層ですよ。そろそろ帰ってきてください」


「ほえ?どした?」



周りを見ればみんながこちらを見ている。

私はムカデちゃんに乗ってゆーらゆーら。隣にプリンちゃんがいて、反対側にはココアちゃんがしっかりと守ってくれている。私は考え事をしていたようなうつらうつらしていたような。



「もう40?さっき37層にはいったところだよ?」


「いえ…もう半日以上経っております。お昼も召し上がられたではないですか」


「えー?そうだっけ???」


「そうだよ。お弁当の焼肉弁当を美味しいおいしい言って食べてたじゃん。」


「焼肉??美味そうだけど覚えがないなあ」


「そうですか?唇にタレがついていますけど。ああ、舐めとりたい」


「エエッ!?」



あわててゴシゴシ。袖につく茶色いタレ。

これはっ!……うーん、焼肉のタレの香りだね。これだけでどんな肉でも3倍くらい美味くなるヤツ


みんなのほうを見ると頷いている。プリンちゃん以外。

スライムはどうやって頷くのだろう。楕円形といえばいいか、大きなクッションや座布団のような形だからな。心の中では頷いているのだろう。

それにしてもさっきユリアンヌちゃんは舐めとりたいとか言ってたような。

どんどんまずい方向に進化してきてるような…



ま、まあ焼肉のタレはそれだけでおいしいからな。タレをご飯にかけて食べると最高に……

そう、最高に美味しい。でも私はそんな食べ方はしたことないはずなんだけど、何故かそういう食べ方をしたという記憶と、味の記憶が出てくる。うーん、でもどう考えても美味い。


つやっつやの白米をけがすタレのついた焼肉。トンでもねえ野郎だ!私が成敗してやる!

この肉野郎め!ご飯を巻いてやる!くらえっ!あーんっと。


まずタレの味がして、噛むとほとばしる肉汁と広がる脂の甘み。そして一拍遅れて襲い来る熱々のお米。



「あああ!焼肉弁当食べたい!」


「さっき食べたじゃないですか」


「私の中では食べてないんだよおおお!」



このあと、ボスは放置して急いで帰った。

帰ってからご飯は焼肉とお米を指定してい~っぱいたべたのだ。

控えめに言って最高でした。


大体なんでも焼肉のタレをつければ美味い (真理)

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