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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第5章 少女は一流冒険者になる
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第16話 箱の中身

そしてそのまま35層まで進んだ。



ワーウルフにワータイガー、ミドルドラゴンくらいしか出てこない。

微妙なバージョン違いや持っている武器の違いなんかはあったけど、殆ど同じだったのだ。

ボコボコっとやっておしまいばっかりだったから、何とも言えない気持ちで35層のボス部屋へ。



「何が出てくるかちょっと楽しみだね!」


「まあ今までの流れだとたぶんあんまり……」


「そういうことは言っちゃいけないよ。いくぞー!」



ボス部屋の扉を開ける。



「こんちわー!」


「「「グァギャーギ!!!」」」



いっぱいのワーウルフにワータイガー、それにサーベルウルフにシルバータイガー……うん。ドラゴンちゃんはいなかったね。ただし数は結構多い。全部で100は超えているだろう。


ワーウルフとワータイガーは二本足で立ちってる奴もいる。人間形態なのだ。そしてあいつがボスっぽく周りを統率している。分かりやすくて助かるけどそんなに目立っていいのか。



「あれボスだよね?撃っていいかな?」


「姫が打たないなら私が打ちますよ?えい!」


「あっズル!」



ずるいぞカリナ!と言う前に矢はボスウルフに直撃。

見事に爆散させてしまった。おのれ!いいところを持っていきやがって……!



「ずるいぞカリナ!」


「ふへへ。ホラ来ましたよ、アーシャ様」



ボスの敵討ちという気持ちだろうか。『それともいきなり撃ってこの卑怯者が!』というのが先だろうか。ワーウルフと取り巻きウルフたちが群れで襲い掛かってくる。そのあとにはトラさんたちだ。


数が多い。こちらが4人に対してボスはいなくなったとはいえ100体のモンスターだ。ここはー!


「みんな出番だよ!」


アーシャパラダイスの中からスラちゃんたちにココアちゃん、ムカデさんも出撃した。

もちろん私もモンスターの群に吶喊する。

槍をに纏わせた魔力を伸ばし、薙ぎ払う。穿つ。叩く。


私が先頭で群の中を突き進み、後ろからはみんながついて来ているという陣形。

チラッと見ると、ココアちゃんは自分の倍くらいあるウルフやトラさんを物ともせずに薙ぎ払う。


ムカデさんもまだまだ楽勝っぽい。スラちゃんたちは……


プリンちゃんは酸弾で、トーフは聖属性魔法で攻撃している。

他にも、香辛料を撒き散らしてクシャミをさせたり、熱々ミルクで火傷させたり……うん、色々頑張ってる。


さらにその後ろからはカリナ、エルさんにシロちゃん、ユリアンヌちゃんがドッカンドッカンとさせながら追いかけてくる。負けてらんないぞー!


「みーっけ!」


私達の勢いに怯んでいたボスワータイガーを発見。

あわてて応戦しようとしたが遅い!右の爪をかいくぐって槍で喉を刺して終わりだ。


あとはみんながボスが両方やられて怯んだ雑魚をばさーっと掃除している。

最初、数が多くて一瞬怯んだけど、全然どうってことは無かった。

思ったよりよゆーだったな!




さて、さくさく進もう。次は36層だ


しっかし、ボスを倒したというのに相変わらず宝箱も何も無い。

私が思うに、宝箱はきっと開ける運だけじゃなくって、そもそも出るか出ないかのところで個人の運がものすごーく絡んでるんじゃないか。



つまり私達は分母(宝箱が出る数)も悪ければ、中にあるいいアイテムの引きも悪い。

そりゃあお金もたまらないし装備も更新できない。



まあいいや。運が悪いのはもうなんとなく自覚している。

ランダムで選ぶとかいうアホな事をやった奴がいるせいで、運が悪いのだ。


今の私なら箱運をよくする方向で選びたい。

でもそうするときっと他のステータスや種族がダメダメの子になるのだ。

難しいものだなあ。




うんうん唸りながら進む。

みんなが戦闘を頑張っているので私も考え事をする。

もし私に『次』があるならどうするか。


まだスキルがどうとかこうとかは良く分からないけれど、たぶんスキルのこれ!ってのを取るのは間違いだ。剣術だけ強くなっても魔法抵抗が弱いとか、ヒョロヒョロの魔法使いなんかは色々と死角が多すぎてどうしようもないだろう。


それと同じことは武器にも言える。

良く覚えてないけどたぶん武器や防具をもらうって事も出来たんじゃないかな。

でもそんなのはぜーったいダメ。どんなに強い武器持ってたって毒でも盛られればイチコロよ!


ということはやっぱり種族やら耐性やら、素の強度が高い個体を選ぶのが正解なんだろう。


私のハイエルフやエルさんの妖精族のように寿命が無いに近い種族、それから今は殆どいなくなったけど純粋な天使族や悪魔族なんかはかなり強いらしい。もちろん個体差はあるだろうけど、平均的な人間や獣人族よりはかなり強い……はず。


でもその辺にするには高ポイントが必要になって……結局ランダムで運に任せるしかないのか。



運に任せた結果が多分今の私なわけで。

客観的に見てないから分からないけど容姿はかなりいいほうなのだろう。

種族がハイエルフなのも◎だ。


多分私にはまだ見れないステータス的なのがあって、そこにはきっと箱運があるのだ。

あげるにはいっぱいポイントを食うんだろう。きっとそうだ。そうに違いない。

部長なんかはそれに全振り……してないな。

部長はクラスの女子からはイケメンだって評判をきいたし、いいとこの王子様だし。結構強いし。

バランスいいよなあ……一家に一部長だ!くそ!爆発しろ!



うーんでもそう考えるといいな部長。うちにも欲しいな。



「何をニヤニヤしているんですか?アーシャ様」


「ん?良く考えると部長いいなあって」


「な!なんと!アーシャ様は部長さんのような男性がよかったんですの!?」



部長のような男性がいいかって??

よく意味がわかんないけど、部長の宝箱運はとても良い。


「そうだねえ。部長はいいと思うよ。私もちょっと欲しい」


「私も欲しい!?大胆です!」


ユリアンヌちゃんさっきから盛り上がってるなー

それにひきかえカリナはガーンって顔で固まってる。どしたんだこいつは?

エルさん?エルさんならニヤニヤしてるよ?



「まあまあ、落ち着いてユリアンヌちゃん。アーシャちゃんはそういう意図は全くないと思うけど。そうでしょ?アーシャちゃん。」


「そういう意図がどういうことなのかわかんない。私は部長がいたら便利だなーって。」


「便利?ですか?」


「そうだよ。だって結構強いし、箱運はいいし。パーティーの盾に使えて箱開け係にも使える。便利でいいじゃないか。一家に一部長ほしいね!」


「そう……ですね。ははは。一部長ですね。はははは……」



突然乾いた笑いになったユリアンヌちゃん。なんだかおかしいな。

後ろでカリナもちょっとほっとした顔。部長いいじゃないか便利そうだし。エルさんもそう思うよね??



「便利でいいと思わない?」


「思うわよ。私達だけじゃあんまり良いの出そうにないしね。どーせゴミばっかりと思いながら箱を開けるより、ワンチャンあるかもって思うほうが楽しそうだよ」


「だよねー!部長ならやってくれそうなんだよね!見たことないアイテムとか出しちゃったりしてさ!」


「そうですね。部長なら……これよりいいのを出すでしょう。」


そういってカリナはそっと薬の入ったビンらしきものを差し出してくる。なにこれ??



「なにこれ?」


「これはアルヘナのボスドロップの箱から出たものです。アーシャ様は開け忘れていたでしょう?シエラ先生と相談して開けさせていただきました。」


「おお!万能薬?若返りの薬?まさかの蘇生薬!?」


「これは……性転換の薬です……申し訳ありませんアーシャ様」


「性転換……おかまさんとかおなべさんのお薬だね?」


「まあそういうことです。なかなか話す切欠がなく……申し訳ありませんでした」


「まあいいじゃん。んでこれ、いくらで売れるの!?」



ダンジョンボスからドロップした宝箱なのだ。きっと性転換?もすっごい値段になる!

1億ゼニーとか!10億ゼニーとか!



「10万ゼニーです」


「……ん?…10億??」


「10 ま ん です。一夜限りを楽しむ為のもので……その、20階層程度のボス箱からもドロップすると言う品で……その……」



10万。今までの私達の箱開け経歴からすればまだマシなのだろうか。


いやでもダンジョン最奥のボスからの宝箱だ。そこらのフロアボスといっしょにしたらだめなんじゃないか。ああ、でも結果として10万。10万ゼニー……ギルドで紹介された高い宿は一泊5万……うーん。


なんだかふらふらして来た。カリナ……



「カリナ……私はもうダメかも……」


「アーシャ様しっかり!」



バタンっと後ろに倒れた。ような気がする。

後で聞いたらフラフラしてその後に倒れたのであわてて転移して宿に連れて帰ったと。

ショックがでかすぎたんや……

いつも誤字脱字報告ありがとうございます。

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