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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第5章 少女は一流冒険者になる
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第14話 ダンジョン攻略開始!


なんだか変な夢を見ていたような、見ていなかったような。

そんなありがちな朝の、不思議な気分だった。


朝の光を感じ取り、億劫さをこらえて目をあけると、みんなが何故か覗き込んでいた。

カリナはいつものことだけど他に2人も増えるとなんだかなあ。



「おはよう。みんなどしたの?」


「いやあ、アーシャ様の寝顔をいつものように撮影していたらお二人がですね……」


「アーシャちゃんの寝てるところってホントにきれい。神様みたいだね!」


「そうです!地上に降りた最初にして最後の天使ですね!」



何だその中二病の塊のような表現は?


……中二病?ってなんだ?何かの中に2つ??パパの股の間に有るアレかな?

と言うかいつものように撮影と言うのも引っかかるけど……まあいいや。



「私は神様でも天使でもないよ。さあ、さくっとダンジョンに行こう。いつまでもこんなふうにゴロゴロしてちゃダメだと思うんだ!」


「それを最後まで寝てたアーシャ様が言います?」


「言っちゃったんだからしょうがないでしょ。朝ご飯食べてダンジョンだよダンジョン!」



朝ご飯は美味しいリゾットだった。

魔王領は荒地で緑もない……かとおもったら山はいっぱいあって、そこで放牧とかは普通に出来るんだって。だからミルクもチーズもバターも良く生産できる。


でも大昔の呪いで作物は上手く育たないらしい。草や木はいっぱいあるのに育てようと思った作物は育たない。いやらしい呪いだな。

野菜が少ないってそういうところからきているらしい。


なるほど。私はまた一つ賢くなってしまったのだ。




さーって、食べ終わったしダンジョンにいこいこ!たのしみだなあ!






朝ごはんを食べてみんなで装備を整えて出かける。

歩くことおよそ30分、専用ゲートを通り過ぎたところにあるのはカノープスダンジョンだ。


カノープスはBランクだ。


Bランクともなると溢れた時スタンピードは大変なことになる。


というわけでダンジョン入り口前は戦いやすいように広場になっていて物見台や堤防のようなものもある。もちろんユグドラシルダンジョンと比べる小ぶりだけどね。


広場にはお店が出店していて、ダンジョンにこれから出かける人たちに色々と売りつけているのだ。概ねが食料だとかお薬関係で、武器や防具はあんまり売ってない。そういうのを買う人たちはもうちょっとなかの方でゆっくり選んで買うことが殆どだしね。


そういったお店のところで適当に選んだ串焼きを買ってさあ、いざダンジョンへ。



ユグドラシルダンジョンやアルヘナダンジョンでは準備期間は唸るほどあった。


準備期間と書いて私の拘束されていた時間と読んでもいいだろう。ダンジョンに行きたくても行かせてもらえなかった時間なのだ。

もっともその時間に色々調べられたというメリットはあるけど。



でも今回は殆どそれがなかった。

寝て起きたらさくっと手続きしてちょっと散歩したらはいダンジョン!いやあ素晴らしいな!



もちろん、準備期間は多いほうが安全だ。

ダンジョンの特性、地形、どんなモンスターが出るか……などなど。

最下層付近のデータはほとんど無いとは言え、表層だけでも有ると無いとでは大きな差が有るだろう。


でもまあこまかいことはいいのだ。

このパーティーはわりとバランスがいい。テイムされている子達を含めると戦力はむしろ過剰なんじゃないかな。ユリアンヌちゃんがどのくらい動けるかだけは少し不安だけど、それは私達で何とかやってるうちに連携も取れてくるだろうし……



「大丈夫大丈夫!だから早くいこ!」


「何が大丈夫かは分かりかねますが……まあ表層なら問題はないでしょう。」


「そうね、カノープスは60層まであるんだっけ?ボチボチ行きましょう」


「とりあえずは5層?それとも10層までですか?」


「おお!一日10層とはユリアンヌちゃん凄いね!この程度のダンジョンなど6日で楽勝だわい!って事でしょ?」


「ち、ちがいますよ!最初のうちはともかく。下層へ行くとなるとなかなか……ですよね?」


「そうね、最初のうちはともかく。途中からはちゃんと調べながらになると思うわ。アーシャちゃんだけよ?そんなにおかしな発想になるのは」



むむ。そんなにおかしかっただろうか。

まあいい。今回私には秘密兵器があるのだ。それがこれだっ!


ドドーン!


『経験値の壷』!



経験値の壷


作成者:不明

属性:無

神器Lv3


ダンジョンでの経験値を集めることが出来る壷。通常モンスターを倒して得られる経験値より、一人分多く獲得でき、さらにそれをためて再配分することが出来る。





私がアルヘナダンジョンのクリア報酬で獲得していたアイテムがこれだ。

ランダムで選んだけどなかなかいいんじゃないか。たぶん。


説明文の意味が分からないところがあったけど、ママにきいてみたらパーティーメンバーの誰かに使えばレベルアップが早くなるんじゃないかって。私に使ってももちろんいいけど、どうせ成長が遅いからあんまり意味ないって……くそう。



アアン!?私のレベル?

ダンジョンボス倒したりしたけどまだ9だよ!ちくしょう……


まあ、とにかくダンジョンで頑張ってモンスターを倒しまくって。

そしてユリアンヌちゃんやエルさんに壷の中身をぶっ掛けまくればいいのだ。


ぬはは。れっつらごー!



(なんだかアーシャ様テンション高いですね)


(嬉しいのよ。あの子は時々こうなるわ)


(はあはあ。アーシャ様……)


(カリナちゃんも時々こうなるわ。この二人は残念な子達なのよ)


(でもカリナ様の気持ちも良く分かります……ハァハァ)


(……だめだこりゃ)




カノープス初日は無事と言うかなんと言うか。

大して何も起こらずに終わった。


出てきたモンスターはゴブリンやホブゴブリン、普通のスライムにキノコ型の魔物なんかだ。


なんと言うか普通だね。普通すぎて何ともいえない気分になったので私はサボリ気味でペットのみんなを放出して好きなように遊ばせてた。


宿に帰って『アーシャパラダイス』を覗いたらなんだか知らないスラちゃんが増えてた気がしたけど、まあ気のせいでもそうじゃなくってもたいした問題じゃないだろう。



帰った後は反省会だ。


といっても反省することは特に無いので、正確にはジュースを飲みながらのお疲れ様ご飯タイムだね


宿に帰ってご飯を頼むと、昨日と同じ半個室に案内してくれたので、ちらちら見ているみんなに手を振って席に座る。



「おつかれさまでしたー。かんぱーい!」


「「「かんぱーい」」」



なぜか私がリーダーだから挨拶しろってことになったのだ。

学年ならエルさんが、年の順ならカリナが上のはずなのにね。



「これおいしいね。何のジュースだろ?」


「柑橘ですねえ。こちらの特産のオレンジとかでしょうか?」


「こちらは魔王城特産品のブラッドオレンジと深淵の森産の淵州ミカンのミックスしたものになります。そしてこれが今夜のメインです。魔界牛のステーキです。付け合せは魔王ポテトになります。」


「凄い名前だなあ。特別な種類なの?」


「いえ、何代か前の勇者様がブランド商法だといって教えてくれた手法です。ちょっといい品に特別な名前をつけると値段が何倍にもなるとか……」


「なるほど。さすがは異世界の知識。奥が深い……」


「でも美味しいですよ?」


「ほんとだ。おいしいね。ジュースもサッパリしてていい感じだね。」



お肉はジューシーで柔らかい。じゅわっと脂とガツンと赤身だ。

ジュースはちょっとお肉で飽きた口をサッパリ洗い流してもう一口もう一口ってどんどん食べたくなる。なかなかいい組み合わせだなあ。このポテトもまたなかなか……!


そしてモグモグと食べながら、話題は自然とダンジョンのことに。



「10層までじゃあやっぱり温かったねえ」


「仕方ありません。特にアーシャ様たちがペットを解放してからはやることがなくなりました。私、こんなので大丈夫でしょうか……」


「そんなことないよ。そのうちちゃんとユリアンヌちゃんの水魔法が大活躍するから!たぶん!」


そのはず。飲み水係だけじゃないはずなのだ。たぶんだけど。


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