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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第一章 幼女はダンジョンの夢をみる
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第15話 弓の練習




いつもようにギルドで魔石をお金と交換してもらい、いつものように中央通を通り、いつものように帰宅した。特に変わった事はなかった。変わったことは一つだけ。城門でママが迎えてくれた事だ。


「お帰りなさいアーシャちゃん。今日は変わったことがあったみたいね?」


「何で知ってるの?」


「うぐ、まあいいじゃない。何があったかママに教えて頂戴?」


何で知ってるの?には答えてくれない。ママは昔からこうだ。私やパパがちょっと突っ込んで聞くと上手く誤魔化すんだよなー。いや、あんまり上手くはないか。強引に誤魔化すんだよね。

私達はおうちに向かって歩きながら話す。


「まあいいけど。今日は1階層なのにゴブリンがいたよ?なんだか変な感じのゴブリンだったねえ」


「そうですね。変な色でしたし、2層から上がってくるなんて事はあるんでしょうか?それにあの短剣も。2層のゴブリンは武器なんか持ってないと聞いていますが。」


「変な色?だったの?」


「緑色のゴブリンさんだったけどなんだか紫が混じってたね」


「そうでしたねえ。でも強いか弱いかで言えば弱かったとは思いますが」


「私がバキってやって、プリンちゃんがね、トドメさしたんだよ!」


身振り手振りを交えながら今日の戦いをママに解説する。

今までで最高の激戦だったなあ。


まあ、最高の激戦は棒で戦ったからだ。実際の所、魔法を使えば余裕だったと思う。遠距離から高火力で打てる魔法攻撃は本当に強い。あれに比べれば私が棒で殴るのなんてホントに子供の遊びだ。

でもレベルが上がれば上がるほどそうでもなくなるんだなこれが。


ママとシエラ先生との模擬戦を見たことがある。木剣を持ったママにシエラ先生はあらゆる魔法を放つも、弾状のものはもちろん、光線のような魔法まで斬り払い、あるいは避ける。炎の壁も土の壁も木の剣で斬ってしまうのだ。そしてシエラ先生は距離をつめられて奥の手らしき魔法を足先から発動するも、さくっと避けてカウンター気味に一撃。それで終わりだった。


あんなの見ちゃうと近接武器を使えるようになりたくなるじゃないか。

その第一歩が今日の戦い、だったらいいな。


「私、ママみたいに強くなりたいの!」


「あら、嬉しい事言ってくれるわね。アーシャちゃんのその気持ちはすごく嬉しいわ。」


「でへへ。」


「でも、ダンジョンで困ったときはママを呼んでね。お願いね?」


「うん。がんばる!」


がんばる。は間違ったかな?まあいいか。

私もママみたいに剣で強くなりたい。でも魔法はシエラ先生みたいに強くなりたい。

両方頑張らないと!


「パパみたいにはなってくれないのかい?」


「パパ!ただいまぁ!」


パパもお迎えにでてきてくれた。めずらしい。聞いてたのかな?


パパは大体いつもお城の執務室で紙束とにらめっこばっかりで、たまにお外に出かけるのがパパのお仕事なのだ。大変な仕事だなあ。

でもパパみたいに?私は紙とにらめっこはむりだなあ。


「パパみたいに紙とにらめっこはヤダ」


「え!?そうじゃないよ!パパみたいに弓を上手く使えるようにはならないのかってことだよ!」


「パパが弓つかってるとこ見たことないよ?」


「……そうだっけ?」


「最近の貴方は書類仕事ばっかりでしょ?アーシャちゃんの弓の練習くらい見てあげたら?」


「そうだね。今度そうしよう、いや、むしろ今すぐやろう」


帰ってきておなかがすいてるけど、パパがどうしてもって言うから弓の見学タイムになった。

お城の敷地内には隅っこの方に練兵場がある。そこへ行っておいてって。


ママと手をつないで練兵場まで移動すると、もう話が伝わってたみたいで的が設置されている。人型の的だ。そして私達の前には騎士と衛兵、門番さんが整列していた。

でもパパがいない。どこにいるんだろ?


「あれ?パパどこだろ?」


「アーシャちゃん、あの的みてて。来るわよ」


「え?」


的を見るといきなり矢が刺さった。頭に、しかも3本も。


「あれ?パパ?どこ?」


「あそこよ!あれあれ!」


パパはお城の屋根の上から弓を構えている。


「ええ!?あそこから?1kmくらいはあるとおもうんだけど?」


「パパすごいわね、アーシャちゃん?」


「……しゅごい。もっかいやってー!」


「おっけー。もういっかいね!」


ママはパパに何かのサインを送る。そうすると見えない速度で矢が。そして遅れてドスドスドスッ!って音が聞こえてきた。どうなってんの!?すごい!


「パパすごい!どうやってるの?」


「風魔法で道を作って加速してるらしいわよ。もっと加速したいときは火魔法と風魔法の複合で、爆発力を加算して加速させるんだって。」


「ふええ、すごいなあ」


「どうして全部言っちゃうんだい?ひどいじゃないか」


「あらごめんなさい。ついうっかり。」


「僕が解説したかったのに。まったくもう。弓の極意というとアレだけれども。弓って武器は、つまりはいかにして矢を早く強く的に当てるかなんだけどね?その的が動くとか、風があって、重力があって、そういうのを普通は大体計算して狙わないといけない。でも魔法を使えば矢を誘導できるんだ。それも普通より圧倒的に早く、強くね。」


「おお。私も頑張らないと」


「どうだい、弓もいいもんだろう?」


「うん!弓も頑張るね!」


すごい。パパの弓は本当にすごかった。

なるほどなるほど。私はいつも使っている練習用の弓に矢を番え、風の道と加速のための爆発を意識する。一緒にコントロールできてる自信はないけど、とりあえず危ない方の爆発だけはしっかりと方向を定めて……一気に解き放つ!


『ズドン!』


目では見えないような加速を伴い、放たれた矢は的を遥かに超え、練兵場の壁に突き刺さった。


「てへ?失敗しちゃった」


「アーシャちゃんすごいわ!一回で成功したわね!」


「すごい!アーシャは天才だ!」


「アーシャ様カッコイイです。はわわわ」


ママとパパが褒めてくれる。的には当たらなかったけど発動自体は大丈夫だったからセーフ!?

あと、ママといる時は空気のように後ろに控えるカリナは、誰も見ていないところで湯気を吹いて昇天している。ほうって置こうっと。



チョコチョコと手直しをしているせいもあり、なかなか進行が難しくなってきています。


次回以降、話が動きます

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