第55話 ランダムに選ぶ奴なんてアホだアホ
外に出て蹴散らす。
うん、なるほど。素晴らしいアイディアだ。
さっきから私の中にもう一人いるみたいで気持ち悪い。基本的に無視をしよう。
そもそもさっきから一部開放とか言われているけど、どうも記憶が蘇ったと言うよりは私の頭の中にもう一人変な人が住み着いたという感覚だ。うーん。
しかもこいつは賢そうなフリをしたアホだ。アホだアホ。
何だ行き当たりばったりでランダムに選ぶって?ホントにアホだな。私は絶対こんなことやんないぞ!アホは無視にかぎる。無視無視。
んで、ここからどうやったら出られるのだろうか?
ウロウロ歩き回っても出口は見えない。元のところに返ってきちゃうのだ。
「出せ!ここから出してえええええ!」
叫んでみても何も起きない。
こりゃあれだ。この石版のせいだこんにゃろめ!
石版を見ると、『踏破ボーナスを選んでください』と書いてあった。
なるほど!コレはダンジョンのクリアボーナスさんだ!これを選ばないと出られないのか!先に言えよ!
えーっと、うーんと。
だめだ。いっぱいありすぎてわかんない。
武器の項目を触ると、長剣、剣、短剣、両手剣、刀、長槍、槍、短槍、長弓、弓、短弓……剣槍弓だけでこれだ。
その中にさらに各武器の解説がある。火が出たり水が出たり、よく切れたりやたら頑丈だったり……伸びる槍なんてのもあるなあ。でも魔法が使えりゃちょっと伸びてもあんまり意味ないんじゃ?
他にも斧槌鞭杖投擲武器……うーんいっぱい。
なんだかこんなの昔やったような気がするなと思いつつ一覧を見る。
後は防具もいっぱい、アイテムもいっぱい。わかんないよこんなの。
ランダムだと2個もらえるって書いてあるしもうコレでいいかな?
なんだか前にも面倒になってランダムにしたような……もういいか。
時間もないしコレでいいや。ぽちっとな!
ポチッと押した瞬間に私は元のダンジョンへと戻っていた。
ボス部屋の中にあった地鳴りのようなものは消えている。私が蒸発させた学園長はだんだん再生してきているし、ついでに巻き込んだセレナ先生も元に戻りつつある。
カリナは戻ってきているセレナ先生に追い討ちをかけて再生の邪魔をしているところ。
プリンちゃんは学園長に酸弾……というか酸の汁をじょばじょばかけている。
ジュージューという肉の溶ける嫌な音ととても臭いにおいが、急いでダンジョン内に戻ってきた私の目の前あって…おぇぇ
「くっさ!おえっ!」
(あ……ごめんプル)
「アーシャ様!王女様がなんというはしたない!」
「そんなこと言っても臭い。ウインド!」
風を吹かせて私の反対側へ。ああ、これで何とか……
「くっさ!ヴォエ!アーシャ様!私がそんなにお嫌いですか!」
「うーん、私もこのような匂いは苦手ですねえ。止めて頂けませんかねえ」
「あ、ごめん。」
……なんともならない。
反対側にいたのはシエラ先生と白仮面のおじさんだ。
二人は直前まで激しく魔法の打ち合いをしていたが、それを中断して、鼻をつまんで私に苦情を言う。こんなときは結託しなくていいと思うんだけど。
「ごほん。とにかく、コアは私が抑えました。どうもこちらの勝ちのようですね」
「そうですねえ。でも今からひっくり返すという手もありますよ」
「―――試してみますか?」
私はほんの少し、先ほど戻った力を解放する。
背に現れる輝く翼、手元に召喚した白銀の剣……ちょうど私も試してみたかったのだ。
この、戻ってきた『力』を
遠距離から剣で一閃。剣閃は疾風のように走り、白仮面の右腕をあっさりと切断した。
「これはこれは……これはいけませんねえ。王女様もずいぶんと見違えたようですし、今回は我々は引かせていただきましょうかねえ。いやあ、惜しいところでした。」
「貴様、黙って帰すと思って「こいつらも持って帰っていいわよ。臭いし」……よろしいのですか?アーシャ様?」
「いいわよ、シエラ先生」
学園長とセレナ先生を念動力で白仮面に投げる。
こういうのも出来るようになった。と言うかできて当然って感覚だ。むしろ何故今まで出来なかったのかが不思議なくらい。
白仮面はジュクジュクの臭い立つ学園長を受け取って迷惑そうにしている。
「じゃあ、あなたのお仲間に宜しく言っておいてね」
「おお怖い。もう私といい勝負でしょうかねえ。良いのですか?今戦わなくても?2対1なら間違いなく負けそうですがね」
「今とっても気分がいいから特別に見逃してあげるわ。感謝して欲しいところね」
「ふう。ではそういたしましょう。失礼いたします、いずれまた…」
白仮面は学園長とセレナ先生を指先で汚そうにつまんで、そのまま一緒に消えていった。
俺は、いや私は…私だ。私で行こう。
記憶が少し蘇ってきた。そして力の使い方が少しだけ分かった。
でも凄く眠い。眠くて動けないのだ。
「ふわあ……私は寝ます。カリナぁ、悪いけど連れて帰ってくれないかな?」
「承りました。といっても、もう転移珠が使えるはずですけどね」
「そうだったね。じゃあらくちんだね。よろしく~」
カリナに帰り道のことをお願いして私は寝る!眠くって仕方ないのだ。もう無理無理。
「おやすみ~」
なんだかとっても良く眠れそうだ。
何とか年内にこの章が終われそうです。年末年始はしばらく休憩しまーす




