第48話 邪魔
「…おわったのかな?」
(そうみたいプルね)
「ふう。念入りに焼いておこう。しっかりと証拠隠滅しないと。」
(それは先にコアを停止させてからにしたらどうプル?それとも宝箱プルか?)
「おっと、それもそうだね。あれがコアかあ」
ボス部屋の向こうに部屋が出来ていた。部屋の中には球状の物体が浮かんでいる。
アレに接触すればとりあえずスタンピードは止まる。そして私はほしいものがもらえちゃう。
げっへっへ。
「よーし、さわちゃうぞー!」
私はコアに手を伸ばす。何をもらおうかなーで頭の中はいっぱいだ。
うへへ。剣とか槍とかでもいいなあ。
それか、今は盾だけなんだけど魔導鎧なんかもいいかも。アイテム類も悪くない。
私一人でCランクダンジョンなら多少のトラブルがあってもクリアできるって分かったんだから、これからまた他のダンジョンもクリアしてクリア報酬をもらうとして
……うーん、悩む。悩むなあ。
まあとりあえず、コアちゃんいっただっきまー「おっと、それに触られては困ります」…す?
変な奴が出てきた。
なんだこいつ?
白い仮面に真っ黒の服。うーん。バランス悪い。んまあ率直に言って……
「かっこわるい」
(そうプルね。なかなかひどいセンスプル)
「んなっ!失礼でしょういきなり!」
「失礼なのはそっちでしょ、横から割り込んできて!私はコアに用があるの。邪魔だからどきなさい!」
「それは出来ない注文で「うるさい!ライトニングボルト!!」
ごちゃごちゃうるっさいからライトニングボルトを撃ってやった。
私が欲しかったもの、求めているものを目の前にしてグダグダと。鬱陶しい奴め。
大体レディの前にいきなり立ちふさがるなんて本当にクソ野郎だ。カスだ。ゴミだ。死ね!
クソ野郎は無事に黒焦げだ。ダンジョンだから殺人罪は成立しないのだ。いやあ残念残念!
―――そもそもこいつはヒトじゃないけど
ん?人じゃない?まあいいか。
確かに普通の人じゃない。変な格好してるし、見た目も気持ち悪いし、一応死なない程度に黒焦げにしたのにモリモリ再生して気持ち悪いし……再生?あらら?
「ふう。酷い目にあいました。噂どおりいい性格をしておられるようで。」
「あんた…何者?」
「私ですか?ふむ。ここの不死者を産み出した者ですよ」
「ふーん…あんたが不死者を……ライトニングプラズマ!」
もう一度不意打ちでの攻撃。
こいつは不死者を生み出したらしい。
不死者は倒すべき世界の敵だし、その不死者を生み出す存在なんて倒す以外の選択肢はないのだ。と言うわけで遠慮なしに撃って撃って撃ちまくる。再生させる暇なんて与えないもんね!
「アーシャプラズマ!アーシャトルネード!アーシャインフェルノ!」
おりゃー!さっき生み出したコンボだー!
撃って撃って撃ちまくり。さあこれで終わり!
「―――ふう、全くひどいおてんば王女だ。母親に似たのですかねえ」
「んなっ!」
黒焦げになって終わったと思ったら後ろにいる白仮面。
いつの間にっ!?
「将来は有望ですが、まだまだあなたに負けるような私ではありませんよ。経験が少なすぎですね。さて、それでは我々と共に来て頂きましょうか」
「えーっと。知らない人に付いて行っちゃダメってパパが言うの。だからごめんね?カッコいいおじさん!」
くらえっ!裏180式アーシャおねだり!
どやっ!おじさんは…ちょっと考えてるぞ!
クラクラきてるんじゃないか!いけるっ!
「……うーん。一瞬グラッときましたがだめです。むしろその美貌ならあのお方も喜ぶでしょう。いやあ、将来が楽しみですな。では……」
「うわわ!こっちくんな!」
魔法を乱射して逃げ回る。意に介さず伸ばした手を槍で刺す。
何をしても止まらない。痛そうに嫌がったりもしない。やっば!
捕まる。でもプリンちゃんが張り付いてるしギリギリ裏をかけるか!?
そう思ったときだった。白仮面おじさんの足元に刺さる矢。巻き起こる爆発。
―――そして爆風で飛ばされる私と白仮面。
「いってえええ!」
「ごめんなさいアーシャ様。ギリギリだったもので。」
「カリナ!痛いじゃない!ってカリナか。」
「カリナかって。ひどくないですか?」
「やれやれ。おてんば王女様のお付きのカリナさんですね?貴女も一緒に連れて行って欲しいということですか。」
「誰が行くもんですか!喰らいなさい!『樹檻』」
『樹檻』は木で作られた檻を召喚し、対象を封じ込める魔法だ。
こんな小技覚えてたんだな。やるなこいつ!
「さあ、今のうちに!」
「うん、今のウチにダンジョンコアに触ってご褒美タイムだね!」
「えーっと、まあ大体そうです!」
うへへ。コアちゃんいっただきー!
いつも読んでいただいてありがとうございます。
ブックマーク・評価をお願いします。




