第43話 実質無料!
お風呂から出てスッキリしたら後はご飯だ。
さっきの温泉作りでコツは分かった。今度は美味しいご飯を食べるための食卓と椅子、それから竈?バーベキュー用のグリルでもいいな。とりあえず美味しくお肉が焼けるための設備だ。
お肉♪お肉♪
「むーん!出でよお肉様!せいやっ!」
前回と同じく閃光と煙が現れ、またしても世界の改竄が行われる。これクセになりそうだなあ。
そして現れたのはなぜかすでにいい感じになっている炭火と、その上でじゅうじゅうと焼かれている肉。ちょうどいい具合で焼かれている野菜たち。
どうなってるんだろ?これ食べてもいいのかな?
恐る恐るパクっと。
「普通に美味しい。」
(美味いプルなあ)
「にゃー」
「きしゃー」
((ぷるぷる))
うまい。味については特に文句なしだ。薄く、一口大に切られた肉は噛み千切る時の「やってやったぜ」感はあんまりないけど、食べやすくって焼く時も焼きやすそう。
特筆すべきはこのタレだ。甘辛くっていくらでもいけちゃう。なんだか金色に輝きそうな味だなあ!
でもこのお肉様たちはもともと私の魔力そのものなんじゃないの?
なのになんだか食べたら消費した魔力をむしろ回復したような?バーベキュー作成に消費した魔力が100だとすると、お肉を1枚食べて10回復したってイメージなんだけど。このペースなら10枚で全快、それ以上はどうなるんだ?溢れるのかな?
どういう原理でこうなってるんだろ??
「つまり……永遠にここで引きこもれば実質無料!?」
(すぐ飽きるプルよ)
「そりゃそうだ。」
実質無料という謎のパワーワードにだまされそうだけど、決してそれだけでフラフラだまされてはいけない。はず。いや、時にはだまされたいかも。
このバーベキュー、自分で作っておいてどういうシステムなのかはさっぱり分からない。
なんといってもバーベキューコンロの上の肉は取った端からお肉が補給されているのだ。誰が?どうやって?という疑問はあるが、それを気にしなければすごくいい。
さらに隣には温泉だ。すばらしいな。
バーベキューと温泉。この組み合わせは完全無欠とも言える。ただしそれしかないのだ。
間違いなく飽きる。半日で飽きる…いや、2日くらいは持つかも。
「他にすることないもんなあ」
(もっと凄いのを作るプルか?でもそうしたら消費魔力が……あんまり影響なさそうプル)
「でしょう?いっぱい消費してヤバイと思ったらこの『無限焼肉』食べればいいもんね」
コレは革命だ。だって戦場やらダンジョンで、途中で魔力切れが起こってどうとかこうとかって話をよく聞くのだ。その人たちはヤバくなったら空間魔法で食っちゃ寝すればいいのだ!
「ね!やばくなったら食っちゃ寝すればいいじゃんね!」
(言いたい事はだいぶ分かったプル。でも戦場でノンビリしてたら亜空間から出たら敵地のど真ん中だったとか、出たらそこが火の海だったとか、そういうこと起こるプルよ?)
「なるほど。たしかにそうだね」
(そうプルそうプル。だからそういうのは空間転移を覚えてないと使うのが厳しいプル。)
なるほど。つまり転移を覚えてりゃ割とやりたい放題が出来る。夜中にしれっとダンジョンにいったり、ご飯前に屋台まで行ったり、退屈な授業中にこっそり出かけたり…いける!これはやばい!ぱない!しゅごい!
(だめな用途ばっかり考えてる顔プル)
「うぐっ。ちょっとだけだよ!」
何でこうすぐバレるんだろう。
まあそこは気にしてもしょうがないか。
「さーて。お風呂も入ってご飯も食べたし。いい加減出かけよっか」
(ホントに行くプルか?そろそろ危ないと思うプルよ)
「そうは言ってもね。地上にあの狙撃兵や騎士がいっぱい出て行ったと思ってみて?学園なんてすーぐボロボロになるよ」
私とプリンちゃんだから4体いても倒せた。でもそれでも腹に穴を開けられ、騎士との戦いは魔法を使わないと危ないくらいだった。
プリンちゃんだって一回引きちぎられて強制的に分裂させられていた。……まあその後は簡単に元に戻ってくっ付いてたけど……とにかくそれくらい危ない相手なのだ。
たぶんアレは軍隊の一部だ。つまりもっともっと数がいるのだ。何千という数の軍隊が地上へ出ると、モンスターの群れなんかよりはるかに手ごわいだろう。どうなってんだこのダンジョンは!
「さあ、ノンビリしてらんないよ。出来るだけ急いで……狙撃兵に見つからないように急いでコソコソいこう。」
(しょうがないプルなあ。)
休憩時間はおわり。
これより私たちは修羅となるのだ。
……できるだけコソコソと敵を避けて逃げ回りながらダンジョンを進む修羅に!
実質無料が頭にぽーんときて書いただけで特に深い意味はありません。
最近体調が悪く、少し更新遅れるかもです。申し訳ない。
年末年始もたぶん更新できません。




