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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第4章 少女は学園で無双する
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第38話 いただきます!

45層のボスはキマイラだった。

頭が獅子でヤギの胴体、毒蛇の尻尾を持っている。

キマイラの見本のようなキマイラだ。うん。


そして取り巻きとして出てくるのはワンサイズ小さいキマイラちゃんだ。親子か?


「親子って言うかハーレム?」


(そうみたいプル。でかい奴だけ雄ライオンの頭プル。タテガミをチェックするプル!)


「なるほど。そう言われればそうだね」


つまり奥さんがいっぱいいる超ウルトラスーパーリア充野郎だ。

リア充死すべし。


「どりゃああ!死いいいねええええ!」


(プル!?)


「「「グアワッ??」」」


いつもより多めに魔力を消費して『鎧』を形成。

槍もガンガン魔力を注ぎ込む。


「滅びろリア充!ライトニングプラズマ!」


槍先に魔力を大量に注ぎこみ、キマイラ軍団の中央にいたボスキマイラに雷の塊をぶち当てる。

槍の刺突、その先からあふれ出すいかづち。そして着弾後、四方八方に飛び散った雷撃の渦は周りのキマイラを侵食していく。


「まだまだァ!」


再生能力のあるキマイラはこれくらいじゃ終わんない。

立ち上がってくるボスキマイラに接近して頭を刎ねる。

そして他のキマイラたちも蹴散らす。穿つ。刺す。跳ね飛ばす。

そして離れたら追加で魔法を撃つ。


もちろん私も無傷じゃない。

時折噛まれたり、炎が飛んでくるので切り払ったり。失敗して燃やされたり。

毒蛇にも噛まれたけど、毒はなんともない。

あれ?おかしいな?まあいいや。さくっと薙ぎ払ってしまおう。


終わらせる為に純粋な魔力を大量に注ぎ込んだ槍は、ぐにゅーんと穂先が伸びて薙刀のような形になった。

今まで刺したり払ったりは出来たけど、あんまり斬れなかったのにこれならスパスパ切れる。

やったぜ!ヒャッハー!


って暴れてたらいつの間にか終わっていた。

今はボスが消えてなくなり、取り巻きの一体をプリンちゃんが捕食中。

いろんなスキルとか増えて楽しいからってどうなんじゃろ?

見た目がひどいことは間違いない。


そして…


「宝箱ひゃっはい!」


(久々プルねえ)


「開けていいかな?いいでしょ!?」


(いいプル)


「ぱかっ!っと……へ?」


ドガアアアアアアン!

閃光と共に鳴り響く爆音。唸る熱風。溢れ出す炎。

爆破トラップは始めて喰らったぜ……げふう。


「ぐが…… (くそ…)」


(あわわ。しっかりするプル!)


意識はあるけど喋る事すらできない。たぶん外側は焼け焦げて真っ黒だろう。


「ぎあぎ (いたい)」


(再生始まってるからジッとしてるプル)


つい。ついバリアを張るのを忘れていた。

そして離れて開ける事も忘れていた。

何であんなにボンヤリしてたんだ!くそう!

それからもがき苦しむこと約1時間。ようやく魔法が使える程度に再生が進んできた。


「うぐ……いーる(ヒール)ひ、ヒール!よし!ヒール!ヒール!」


(再生能力あってよかったプル。無きゃ地上まで引っ張っていくとこだったプル)


「死ぬかと思った…いたたた。」


死ぬかと思ったというか死んだかと思った。

再生は久々に発動したけどめちゃくちゃ良スキルだ。でもすごく腹が減った。

残りの串焼きは2本しかない。どうするよ……


(とりあえず宝箱の中身見るプル)


「おっと、そうだった。」


宝箱は不思議な仕様で、爆発してもミミックになっていても、中身はちゃんとある。ミミックの場合は倒したミミックから新しい箱が出るという形だけど。


恐る恐る宝箱に近づいていく。

中を覗き見ると……


「お肉だ」


(肉プルかあ……)


「ある意味大当たりだね。今すごくお腹すいてるし」


(まあよかったと思うしかないプル。早速食べたらどうプル?)


「うん。いやあ、私にしては大当たりだね!」


肉の塊が宝箱から出た。かなり大きい。私の体重くらいありそうな肉塊だ。

食料はたまに出るっていうけど珍しいなあ。


ダンジョン産の食料はそれなりに高く売れるらしいけど、基本は外れ枠だ。

でも今の私にはめちゃくちゃ嬉しい。猛烈にお腹ペコペコなのだ。今すぐ食べちゃおう。



ボス部屋で食べてもいいけどとりあえずは『アーシャパラダイス』の中に入って、5kgくらいに切って串でブスッと刺してっと。


「いっただっきまーっす!」


後は弱火の遠火で周りを焼いて。うまうま。

齧りついて中身の生っぽいのが出たらもう一回炙って食べる。


塩とか香辛料が欲しいなあ。


そう思ってたら昔作った香辛料を食べさせて火を吐くスラちゃんがスパイスを出してくれた。

おま!そういうことできるなら早く言ってよ!


一気に香り豊かになった肉。焼くとジューシーな肉の香りが溢れ出してくる。


そして、焼いただけだとやや強かった肉の香りはスパイスの作用で丸みを帯びて涎を誘発する極上のお肉スメルさんに変身した。


「いやあ。この香り、たまりませんナア。やっぱ肉だよね肉!ところでこれ何の肉だろ?ちょー美味いんだけど」


(調べない方がいいプル)


「そう?じゃあいいかあ。」


近寄ってきたスラちゃんやムカデさん、猫ちゃんにも少し分けてあげる。大きなお肉はお腹だけじゃなく心まで広くしてくれる。


この出会いに感謝だなあ。

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