第31話 ぽよモフ天国
私のドラゴンちゃんへの夢は諦めていない。まだまだ現役だ!
でも……見てください。この腕の中の可愛いモフモフちゃんを!
「ミー!ミー!」
「ぐふぁー!かわいすぎじゃろおおおお!」
「ミャッ!」
「ああごめん。びっくりさせたね。お水かな?おっぱいかな?」
そういいながら魔力水をあげる。
それとミルクちゃんにお願いして猫ちゃん用のミルクを出してもらう。
最近気がついたんだけど、実はウチのミルクちゃんは一回サンプルを渡すと、どんな生き物のミルクでも作り出せるらしい。
そうしてこの子猫ちゃん用ミルクを出してもらっているのだ。
私達もたまには気分を変えて牛乳以外を飲んでみようかと思ってもいつでもOKなのだ。
と言っても慣れてるし、牛以外の乳は何だかちょっと生臭いのや青臭いのがあったりで。
やっぱり牛乳が慣れてるからか飲みやすいんだけどね。
ピチャピチャと音を立てて水を、途中からは差し出されたミルクを一心不乱に飲む。
その姿を私は横から、正面から、ナナメから。そして後ろからとあらゆる角度で撮影する。
ぬはあああ!たまらんのじゃあああ!
「カリナが撮影する気持ちも分かる気がするなあ」
「そうでしょうそうでしょう。あんまり可愛いもので保存したくなるんですよね。ちなみに必死に猫を撮影するアーシャ様を私は撮影しております。これはこれでたまりませんよ!国王様と王妃様にお見せする日が待ち遠しいです」
「そうだね。猫を撮影する私の撮影……は兎も角として。可愛いから保存したくなるって言うのはわかるよ。いずれ大きくなっちゃうだろうしなあ」
「姫は大きくなっても大変愛らしいままでございますよ。」
「はいはい。さーて。それじゃあ『ココア』ちゃんはこっちに入ってねー」
かわいいかわいいニャンコの名前は『ココア』ちゃん!
全体に黒と茶色の混じったような色合いだからね。この名前を考えるのに丸1日かかったのだ。
ココアちゃんを『アーシャパラダイス』の中に入れて、学園へ。
放課後になったらエルリーシャさんに見せびらかすんだ!
いや、エルリーシャさんの所にいる子と会わせてあげて、2匹でくんずほぐれつする様をたっぷり見るというのも素晴らしいな。カリナのところの猫と3匹でもいいな!
いやあ、夢が広がりますなー!
(楽しそうプルなあ)
「モフモフかわいいよ?妬かずに一緒にモフモフしようよ!」
(別にいいプル)
「そう?プルプルとモフモフの競演は素晴らしいものになるよ!そう思うでしょカリナも?」
「え!?ええ。それにアーシャ様が加われば鬼に金棒。いや、王妃様にエレナちゃんですね?」
(なんか違うプル)
「ママはエレナちゃん無しでも強いもんね」
エレナちゃんはママの飼ってるペットの火竜だ。
めっちゃかしこくって人懐っこくって空も飛べて……でも私の子にはなってくれなかったのだ。
くやしいっ!
まあいいや。さくっと学園に行こう。
今日も今日とて変わり映えのしない一日がはじまる。
いや、変わることはあるか。ココアちゃんをもっふもっふできるんだしなあ。
授業の暇なときなんかこっそり取り出してモフモフしても良いかも。
それに放課後にはエルリーシャさんと一緒にダブルモフモフ地獄に、いや間違いなく天国に。パラダイスに、ヘブンに、パライソに極楽浄土にシャングリラにエデンにアヴァロンに……
行ってしまおう。むしろ行かずにどうするのか。
「かわいいよおおお!はにゃーん!うへへ。うへうへ。あへあへあへ……もっふもふ!もっふもふ!はわわ!にゃにゃにゃー!」
「だいじょうぶですか!アーシャ様しっかり!」
(もう遅いプル。どうしてこうなるまで放って置いたプルか…)
「げっへっへ。たまりませんなあ。」
気がつくと私はココアちゃんとスラちゃんたちのいるアーシャパラダイスの中で引きこもっていて、学園はお休みしていたらしい。
馬車の中でカリナがすごく怒ってた。
ふいー。パパとママがいないときで助かったぜ!
その夜はシエラ先生がお仕事で帰ってこなかったので怒られることもなく。
カリナと一緒にご飯を食べて、モフモフとスラちゃんたちに囲まれて寝た。
久々に私の部屋で一緒に寝たのだ。プリンちゃんたちもモフモフをライバルみたいに見てるんだけど、なんだかんだで子猫の魅力にやられて来たみたい。猫ちゃんの方はぽよぽよのスラちゃんたちがとってもお気に入りの様子。
私はと言えば、ぽよぽよモフモフ天国を撮影しながら撫で回す係りの人になった。
しあわせじゃあ~




