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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第4章 少女は学園で無双する
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第30話 もふもふ

……結局、我慢をすることにした。我慢に我慢を重ねるのだ。

思えば私の人生は我慢ばっかりだ。

ダンジョンに行きたいのに我慢はしているし、行きたくもない晩餐会には行かされるし、ドラゴンの卵も……これはしょうがないか。


ぐぬぬ。しっかし欲しいものは欲しい

モフモフ欲しいよおお!



「―――聞いていますか?アーシャ様?」


「ふわぃ!」


「宜しいですか?このように召喚陣を作成して、後は好みのモンスターが出てくる事を祈りながらできるだけ魔力を注ぎ込むのです。魔力量が多いほど、祈りの質が高いほど、良い結果が得られると言います」



猫ちゃんのことばっかり考えていたが、今日はそういえば召喚術の授業なんだった。


いつの間にか学園の裏にある召喚場に来ていた。

全く私の記憶には無いけれど、これはきっとカリナが連れてきてくれたんだろう。

うーん。よくあるよくある。


記憶が跳んでいる原因は分かっている。あのモッフモフが頭から離れないからだ。


いや、ちょっと待って欲しい。

私はドラゴンが欲しいのだ。乗ってよし、戦って良しのドラゴンが。

決して可愛いだけの猫が欲しいわけではない。戦力として期待しているのだ。


ダンジョンを攻略するのに可愛さなんてものは必要ない。純粋な戦力を!

……でも見た目がよければ言うことない。そりゃそうだよね。

昼は一緒に戦って、夜はモッフモフ。さいっこーやんけ!



「おお!シルバーウルフだ!」

「私はペガサスが出たわ!」

「俺はグラップラーベアだ……やばいな。制御できるかな…」

「俺スライムだよ……なんでこんな…」「しっ!アーシャ様に聞こえるわよ!」



向こうでワイワイ言っているのは同じ召喚学を受講している学生たち。

みんな色々いいモンスターが出現してきているみたい。

でもまあ取りあえずスライムを侮辱した奴は○す。いつか必ず殺○。



「アーシャ様?大丈夫ですか?」


「カリナか。何がでた?」


「私はマラカイトパンサーの子供です。やっぱりさっきの可愛いネコさんが頭に残っていたんでしょうね。どうです?可愛いでしょう?」


「すごく…可愛いです…」



モッフモフなのにすべすべなのだ。どうなってるにゃん!?

目は綺麗な緑で独特な模様がある。そして模様は可愛い豹柄だ。

はわわわ。可愛すぎて萌え死ぬ。


でもこれじゃあ戦えないでしょう?

……なんてのはどうでもいい!可愛いが正義だ!


いや、やっぱりせっかく召喚して契約するなら強い方が……ぐぬぬ

私の頭の中では今までに無いほどの葛藤が繰り広げられていた。


可愛いVS強い だ。


両方がいい?そりゃそうだけどそんなに都合のいいものが……いやでも。

ああ、どっちを選べばいいんだ。そんなにキューン?って顔でこっちをみるな!モフモフしか選べなくなるでしょうが!



「アイーシャリエル様?今日はやらないので?」


「やります!もちろんやります!」



考えはまとまらない。

まとまらないうちに私の番が来てしまった。


目の前にはモフモフ。それにさらにさっきの記録水晶で見たモフモフも頭をよぎる。

ぐっ。しかし私はダンジョンを……ぐぬぬ


もうなんでもいい。頭の中をモッフモフにしながら魔力を練り上げまくる。


そして大量の魔力を魔方陣へと注ぐ。


「あ、ちょっとまっ!」


頭の中はまだ混乱している。

超強いドラゴンがいい。いやでも子猫の方がモフモフだ。でもそんなこと言ったら子犬だって。

ちょっと待って多分子ドラゴンも可愛い。エルリーシャ先輩のシロちゃんはあんなに可愛いじゃないか。でもやっぱ毛がモフモフしてる方が……あああ!決まんないよおお!


「魔力が多すぎて!ちょっと待ってください姫様!」


何か言ってるけど全く聞こえない。

大体魔方陣はまだ魔力をいっぱい吸い込んでるぞ。まだまだいけそうじゃないか。

あ、綻んでる。ちょっと強化しよう。

あれ?私は魔方陣の知識なんてあんまり無かったような?でもまあいいや。

何だかおかしなところが見えてきてるし。おかしいって感じるところはおかしいのだ。うん。まちがいない。


あっちもこっちも直して、ちょこっとアレンジして。いい感じになったじゃないか。


ほーらたんと食え。お前ならもっと食えるだろ!

そして超可愛いモフモフでさらに超強い子を呼んでくるのだ!

ほらほらもーっといけ!



「姫!それ以上は危険です!」


「大丈夫だって!もっと吸い込んじゃえ!」



魔方陣は怪しげな色の光を放ち、私の持つ魔力のほとんどを吸収した。

そして現れたのが……小さなモフモフのニャンコだ!


「いよっしゃー!」


成功した!チョー可愛い子猫ちゃんだ。それに強そう。

私の手の上に乗るくらいの子猫なんだけど、内包された魔力は途轍もない。

カリナの引いたマラカイトパンサーは成長すればかなり強そうだったけど、こっちの子だって全然負けてない。むしろ魔力的には圧勝してそう。体格…はわっかんないなあ。


まあいい。とにかく可愛いのだ。強さはもう二の次でいい!

ふわあ。かわいいんじゃああ!

もう私はこの可愛いのがあれば全部許せちゃう。

さっきスライムを侮辱した奴もボコボコにするくらいで許せちゃうかも!


「これは…はじめてみる種類です。何でしょうか」


「かわいいからいいの!今日からキミもうちの子だよ!」


先生が後ろで何か言ってるけど気にしない。カワイイは正義だ!

何故ここに来て突然もふもふなのか。

やはり猫が甘えてきた時に書いた話だからと言う一言に尽きます。

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