第22話 休みの日の軽い探索
短めです。
はあ。思わず散財してしまった。
お昼に串焼き屋さんで豪遊した後、カリナが行こう行こうってうるさいからギルドで甘いものを食べた。ギルドのほうは実質無料だからまあいいんだけど。
おなかもいっぱいになったし。お腹いっぱいになると次は当然ダンジョンに行きたくなる。
そろそろ1週間のお休みも終わるし、カリナと一緒に練習がてらにダンジョンに行ってくるかな。
休みのウチに弱くなったりしたら部長に煽られるかも……それはないか?
部長はそんなに性格悪くなさそう。
そういえば、私の周りに『しばらく見ない間に弱くなったね^^』なんて言いそうな性格の悪い人はいないなあ。
「まあいいや。さくっといこっか!」
「何をさくっと行くのですか?もう25層に着いてますよ」
「あれ?いつの間に…」
(さっき自分で転移してたプル)
「おかしいなあ。記憶にないなあ」
最近ちょっと記憶が飛ぶときがあるのだ。
まあ特に問題らしい問題はないけど。もう私も歳だからねえ、ゴホゴホ
(あと10000年は生きそうプル)
「私より確実に何倍も生きますしね。エルフのことは忘れても、私のことは忘れないでくださいね!」
また変なこといってら。とりあえずここに来た目的は、25層のボスをホイホイ狩るという重大な使命に駆られてのことなのだっ。そしてドロップ品をほいほい売り払うのだっ!
「そのままじゃないですか」
「いいのよ。そろそろ転移珠も予備が欲しいじゃないか」
「どうせ出ませんよ。姫に出せるのは精々鉱石くらいのものですね。」
「ぐぬぬ。バカにしやがって…」
みてろよ!すんげーの出すから!
25層にいるモンスターはワーウルフとブラッドウルフとサーベルタイガー、ボスは強化版のワーウルフと取り巻き数匹のセットだ。
こう、パーティーを組んでみて思うんだけど。
恐らくだけど、冒険者の人数が多いほど、ボスの取り巻きの数は多くなるんじゃないかなあ。
私がソロでユグドラシルダンジョンに挑んだ、と言うか落ちた時はボスは1体だけだった。
「グラッジャャーィ!」
いや、それともサイクロプスがイレギュラーだったのかもしれない。
あそこら辺は虫やら蛇やらがいっぱいだったのに、なぜか出てきたのはサイクロプスだった。
あれは何か意味があることだったんだろうか。それともユグDじゃなかった説も……いやそれはないか。ママがそうとは言ってなかったからなあ。
「ゴアーグ!」
それともユグドラシルだけがイレギュラーなのか、数が1体だったのはソロで挑んだからなのか、それとも……
「グジグンガアアアー」
「うるっさいな人が考え事してる時に!ライトニングプラズマ!」
「グゲゲゲー!!!」
「うひょわああああ!アーシャ様!やめてえええ!」
「ああ、カリナ居たのか」
あぶないあぶない。
いつの間にかボス部屋に入っていて、いつの間にか戦い始めていたみたいだ。
そしてうるさかったのはモンスターたち。
カリナと私はいつの間にやら戦闘を終了していた。いやあ、こんな事もあるんだなあ。
「うう。酷いですよアーシャ様。それに居たのかってあんまりじゃないですか。ウウッ……」
「ごめんごめんって。最近なんだかちょっとおかしいんだよねえ。ダンジョンもちょっと変だし私も調子悪いのかなあ?」
「まあ、もういいですけど。アーシャ様が色々変わっているのは今に始まったことじゃないですし。」
(それは確かにそうプル)
「そうでしょう。でもそこがいいんです」
「お、おう。なんだかなあ。まあドロップ拾おうか」
ドロップはソコソコの魔石。だけ!
まあ私だからね。こうなる気はしてたよ。
それにしても……碌な物が出ない
「さあ、もう一回ですね。1階層へ!」
「はあ、がんばろうか。」
(頑張るプル)
特に何も変わったことはなく、魔石をいくつかとワーウルフの持っているソコソコの剣。
私が打った剣の方がたぶん良く出来るってくらいの剣だ。
それに加えて魔鉄くらいしか出なかった。何回も周回しても、だ。
「うーん、やっぱり私とカリナとじゃあろくな物が出ないなあ」
「そうですねえ。やっぱり部長が多分引きが強いんですよ!」
「そうだねえ。」
(ご主人様の引きが弱いだけじゃ……いや、なんでもないプル)
「なんか言った?」
(なんでもないプル)
そうだよね。きっと私は悪くない。はず。
部長はそれにしてもすごい。部活動で出かけると必ずレアドロップを出すのだ。
いいなあ。うらやましいなあ。
私も豪運が欲しいものだ。そして出て当然みたいな顔をしてみたい。
『カード?ああ、またでたんだね?しょうがないから拾ってやろうか』
くらいの勢いでなっ!
まあ無理だろうけどさ。
ソコソコの魔石、ソコソコの剣。
これで大体50万ゼニーくらいの収入です。
カリナの分と分けて25万。このくらいの収入だとほんのあと4千日ですね・・・




