表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第一章 幼女はダンジョンの夢をみる
10/183

第10話 シエラ先生の特別レッスン その1

特別レッスンが何回か入りますが、基本世界観の説明になります。ザーッと斜め読みしてもらえればと思います。


ダンジョンに行った翌日の午前の授業はダンジョンに付いての特別レッスンなのだ。

いつもの授業は本を読んだりするお勉強や計算のお勉強、周辺諸国についてのお勉強なんかの座学とお外で跳んだり走ったり、それからもちろん武術の訓練もする。武術の訓練といっても、私はまだ小さいから棒を素振りする程度だけど。


でも今日は特別レッスンでダンジョンに付いて教えてもらうことになった。


「はい、今日はアーシャ様がめでたくレベルアップを体験したということなので、今まで先延ばしにしていたダンジョン学についてです」


「いやったー!」


「アーシャ様はダンジョンについて色々調べていると思いますが……なぜダンジョンは浅層から深層へと潜るにつれて徐々に強いモンスターが現れるのか不思議に思ったことはありませんか?」


「あります。ついこの間もそう思ったんですけど、そもそもダンジョンに入ってほしくないなら最初っからある程度強いモンスター番人にするべきじゃないですか?ザコモンスターからだんだん強くなるとかおかしいです。守ろうって気がないと思います。」


「仰る通りです。だんだん弱いモンスターのいる階層から強いモンスターのいる階層へ、それもほとんど混ぜずに1層ごとに区切ってあります。しかも地上で戦うより遥かに体への魔力の取り込みがしやすく、所謂レベルアップ現象も認められます。これではまるで戦闘訓練のための施設ですね。」


「そもそもレベルアップってなんですか?」


「レベルが上がればあらゆる強化をされると考えられています。体力、筋力、魔力はもちろんですが、上昇した速度に負けないように動体視力なんかも向上すると考えられていますし、実際そうとしか考えられないような現象が起こっています。これは明らかにダンジョン外で通常の訓練をした場合より著しい変化が起こりますね。倒したモンスターの魔力を取り込んでいるからとも考えられていますが、そもそも何で、誰がどのようにしてダンジョンを作ったのかということは不明です。」


「研究している人は沢山いるんですよね?」


「もちろんです。引退した冒険者やモンスター研究を行っている学者、武術や魔術を極めようとする方やダンジョンで一山当てようとする商人など様々な方面から研究されていますよ。それでもわからないことは沢山ですね。」


研究している人は沢山いるらしいけど、やっぱりよく分かってないって。

実際の所、ダンジョンはおかしいことばっかりだ。まるで冒険者をわざわざ強くするためのように徐々に強くなるモンスターに加え、ドロップアイテムや宝箱から強い武器なんかも出るらしい。まるでドンドン強くなって攻略してくれと言わんばかりじゃないか。攻略してほしいんだろうか?


「ダンジョンって攻略したらどうなるんですか?」


「攻略後は解放されてますます訓練所っぽい状態になりますよ?それと、攻略者にはごほうびがあるらしいです。お金やら鉱山やら、それからものすごく強力な回復アイテムとか、もちろん武器や防具なんかも選べるって話ですが」


「ものすごく強力な回復アイテムって無くなった足が生えてくるとかですか?」


「いえ、死人が蘇ったらしいです。これはCランクダンジョンのクリア報酬だったらしいですが、お墓の中にある恋人の骨にかけたら生き返ったと。そのくらい強力らしいですよ」


「ひええ……」


神代の終わりとともに多くの魔法が失われたが、蘇生魔法は現存している。


伝説級と呼ばれる治癒魔法でほとんど使える人はいないし、普通は一度蘇生を行うために何年も貯めた魔力を使うだとか、触媒として巨大な魔石が必要だとか、何十人もの聖職者で魔方陣を作って蘇生するとか。


そういう大変な魔法だが制限時間がかなり厳しくて、死亡してから一日過ぎれば魔法の成功率はほぼ0%だとされている。つまり事故等で死んでからあわてて蘇生しようとしても不可能に近い、ってシエラ先生の魔法授業で習った。


ちなみに私の治癒魔法は『引っかき傷がうすくなる』程度の効果しかない。他の魔法に比べてあんまり治癒魔法の才能はないのだ。でも、ハイエルフの長い寿命を訓練に費やせば何とでもなるから努力を怠らないようにしなさいって。


「先日の授業でも言いましたが、蘇生魔法の効果があるのは精々死後1日程度です。それも体の重要なパーツが残っていることが最低限の条件ですね。骨だけであったりだとか、頭部だけしかない症例での成功例はありません。ところが、クリア報酬の蘇生薬は死後1年以上経っていた骨だけの死体が綺麗にもとの状態で復活したようです。文献ではね」


「とんでもない薬ですねえ」


「ですので、大昔から時の権力者はダンジョンクリアしたものに対してものすごい報酬金を出すといって冒険者を募集しています。ですが、先ほどの例のCランクダンジョンをクリアできるような冒険者になるともはやお金や権力、それから実際の力もそこらの貴族を遥かに超えたものになっていますので、蘇生薬がそこらに出回るということは起こらないんですよね」


「ふーん?じゃあその人たちは何をもらうの?」


「さあ……?更に強力な武器や防具、若返りの薬なんかは人気あるらしいです。それから蘇生薬も万一に備えて持っているとは思いますけどねえ」


更に強力な武器を持って更に手強いダンジョンへ。そこをクリアしてもっと手強いダンジョンへ。

『まるで蟻地獄のようだ』と冷静な私は考える。だがもう一方で、

『早くダンジョンへ行きたい。蹂躙したい、ギリギリのピンチに陥りたい』と考えてしまう危なっかしい私も居る。どうすればいいだろうなあ。



ブックマーク・評価お願いします。

感想やレビューなんかもぜひぜひ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ