第5話 「破壊神は題名変更を余儀なくされます」
みんなの力を借りよう
「にゃ、だから他の神様は忙しいんだって」
違う違う、そうじゃない
「にゃ?
・・・ああ、意見募集を復活させんのか
シナリオブレイクOK?」
それは絶対ない!
「にゃ、もったいぶらずにはよ。
もう5話目だぞ」
ここはお・・・僕の夢なんだよな?
「うーん、まあそんな感じ」
つまり僕は寝ている
「にゃ」
みんなも寝てる
ヤスは不適に微笑む。
「・・・にゃ、読めてきたぞ」
僕の世界で寝てる人達に、今夜だけ才能を借りればいい!
「にゃ、なーるほど。
こりゃ題名を『破壊神ドカボンの異世界勧誘』から『犯人は一晩だけ異世界チートになるようです』に変えるか」
ドカボンは手をぱちぱち叩く。
犯人?
「ネタバレ:犯人はヤス」
はっはっはー!
僕のことだな!
はしゃいではドヤ顔で親指を自分に向ける。
知り合いが見たらさぞウザかろう。
「にゃ、そうとなれば実験開始ー」
実験開始ー!
・・・実験?
「ヤスと近しい人の方が能力や才能を移しやすいぞ。
加護持ちがいるといいな」
・・・ん? ああ、近しい人ね。
・・・・・・・・・
「にゃ?」
と、友達でいいんだよな!
ドカボンは頷く。
・・・・・・・・・・・・
「にゃ、・・・・・・ヤスお前・・・察し」
ち、違ーよ! と、友達ぐらいいるし!
ただあいつらそんな才能あるかなーって、僕より才能なかったら可哀想だなーって
「にゃ、ちなみに何人か、その、聞いてもいいかな?」
聞きづらそうにしてんじゃねー!
4人だ4人!
「にゃ、ちゃんといるじゃん。
ひやひやさせんなよ」
額を拭い、ふぅーと胸に溜まった嫌な空気を吐く。
その、僕がひとりとか、その、ゼロとか答えてたら・・・?
急にしおらしくなるヤス。
「それも人生だ、なんて返すのが神様の言葉なんだろうが ―――― 」
・・・・・・
「 ―――― うちとヤスってもう友達だろ?」
どがぼーーん!!
「うお!?」
涙ぐみ鼻水を垂らしながらヤスが突っ込むが、それをドカボンはひらりと躱す。
避けるなよ~
「にゃ、無理いうな。
さて、友情も確認できたところで、他の友達も呼ぶぞヤス」
どこからともなくティッシュを取り出してヤスは鼻をかんだ。
おう
そしてドカボンは両目をギンと見開く。
「・・・にゃ、見えた!
今うちの目には、糸の繋がりのようにヤスの交流関係がわかる。
相手の名前を言え」
えーと、じゃあ、左原砂藤司
「トウジ!」
ドカボンは空中を掴み、釣り上げるかのように糸を引いた。
すぽーーん
すると、突如空中から見知らぬ少年が飛び出し、宙を舞う。
トウジ!
・・・ん、あれはヤスではないか
おかしい、僕はプリチーな昆虫達と学校を練り歩く夢を見ていたはず・・・
「にゃ、オーライ、オーラ~イ」
落ちてくるトウジを受け止めてやろうと、ドカボンが下で手を広げている。
・・・! あれは!? ロリかわゲテモノだと!?
おっほおおお! ここはまさに夢の続き! 僕の想像を超えた僕好みの獣ヒロインきたああーー!
両手を広げ、至高の笑みを張り付かせながら落ちてくるトウジ。
それをドカボンは普通に受け止めて、
どっせい!
げはあああ!?
・・・やれなかった。
落ちる直前で蹴り返され、トウジは向こうへ飛んでいく。
「にゃ、何やってんだお前?」
いや、なんかアイツに触れさせちゃいけないような気がして・・・
夢だし、一発ぐらい誤射だよね?
「知らんがな」
少し離れたところで、トウジ君がびくんびくんと跳ねている。