表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コロシタノダレ ~黒猫学園と落とした記憶~  作者: まつだんご
―エピソードⅠ― 「切札枠と舞踏人形」
12/18

#12 枠ミッション


 ゲーム一日目、午前一時十一分。


 困った事になった。安藤とゲームパートナーを組んだのは良いものの、これでは信頼を築けない。何故なら夏男の引いた枠ミッションの内容は以下の通りになっているからだ。


 あなたは切札枠に決定しました。おめでとうございます。

 切札枠とは他の全ての枠ミッション効果を知る権利をもつ枠です。プレイヤー達の動き方を見極める為に必要な最重要枠になるかと思います。


 ミッション達成条件は、黒幕「ドン釈」が20人の誰なのか暴いた時点。ミッション失敗条件は、あなたが切札枠であると他のプレイヤーに知られた時点。


 これは参った。おめでとうなんて書かれているけど、これが本当に当たり枠なのだろうか。他のプレイヤーに自分が切札枠であるとバレた時点でゲームオーバー。これでは安藤に自分の枠を教えられない。


 安藤は気絶する寸前に枠ミッション内容の書かれたくじを食堂に落としている。よって今の時点で安藤の枠ミッション内容を確認出来る術はない。枠ミッション内容を見せ合う事でお互い信頼を築けるかと考えていたのに。


「それで、あの。神崎くんは何の枠ミッションになったんですか?」


「うーん。何て言うかなこれは。うーん。説明が難しいな。えっと……」


 こんな調子で安藤とゲームパートナーを組んでやっていけるのだろうか。枠ミッションの内容を確認する前に、まずはお互いの枠ミッションを明かそうと持ちかけたのは俺の方だ。


「言いたくないなら良いよ」


「すまない。自分から明かすとか言っておいて。本当にすまん」


 切札枠は他の枠ミッション内容を全て把握出来る。その内容もくじの紙にセットで書かれていた。内容は以下の通り。


 ・殺人枠(全5人)

 ミッションクリア条件は、生存プレイヤー2名の殺害。

 ミッション失敗条件は、自分で起こした殺人事件の犯人が自分だと他人にバレる事。

 2名を殺害をしてから他のプレイヤーが被害者の死体を発見した72時間の間に、自分が犯人だとバレなければミッションクリア。期間を置いて1名ずつ殺害しても殺害人数にカウントされる。


 ★裁判枠(全6人)

 ミッションクリア条件は、ゲーム終了まで殺人枠のミッションクリアを阻止。

 ミッション失敗条件は、1名の殺人枠がミッションクリア条件に達した時点。

 この枠は裁判員として犯人を暴く必要がある。殺人事件が起きてから72時間以内にモレクの裁判を開き、プレイヤー投票によって犯人を裁かなければならない。


 ★脱出枠(全2人)

 ミッションクリア条件は、脱出ルート内にある赤の宝箱を5つ見つける。

 ミッション失敗条件は合計で9つしかない赤の宝箱を他のプレイヤーに盗られた時点。

 9つしかない赤の宝箱を2名の脱出枠で取り合うのが基本的な戦い方になるが、注意点は赤の宝箱の中身は、脱出枠でもない他のプレイヤーでも欲しがるアイテムが入っている事。


 ★裏猫枠(全2人)

 ミッションクリア条件は、以下の選択ミッションの下半期をクリアした時点。

 ミッション失敗条件は、以下の選択ミッションの上半期を失敗した時点。

 上半期1~10日目は、裁判枠か殺人枠かを選んでもらう。11~20日目は、植物枠か脱出枠を選んでもらう。選択権のある貴重な枠になるので何に化けるかが重要。その代償としてショップの利用不可。


 ★黒幕枠(全2人)

 ミッションクリア条件は、ゲーム終了まで生き残る事。

 ミッション失敗条件は、あなたが黒幕サイドを裏切った時点。

 この枠は黒幕側に協力する貴重な枠になる。特別に夜時間の出入りを許可。解決した殺人事件の死体破棄や、ゲームを盛り上げる演出の手伝いが義務付けられている。


 ★植物枠(全1人)

 ミッションクリア条件は、あなたが死体だと認められ、ゲーム終了までバレない事。

 ミッション失敗条件は、死体に成り切ったあなたが生きているとバレてしまった時点。

 この枠は分かりやすく言えば死んだフリに成功すれば良い。死体として発見されて事件を起こし、最後まで死体を演じ続ければ良い。特殊メイクや死体レベルまで体温を低下させる薬剤を提供する。


 ★人造枠(全1人)

 ミッションクリア条件は、2名の黒幕枠がプレイヤーの誰なのか暴く事。

 ミッション失敗条件は、自分が人造枠だと他のプレイヤーに知られた時点。

 この枠には、他人の所持する枠ミッションを占う特殊効果が隠されている。一日一回、夜時間の間に占いをした相手の枠ミッションを知る事が出来る。動き方次第では殺人枠の天敵になりかねない。


「こいつはどうすれば良いんだ。これじゃあまるで殺し合いゲームじゃないか」


「ん。何か言いましたか?」


「いやいや、何でもない。安藤の枠ミッションは夜時間を終えたら教えてくれるのだろうか」


「どうでしょうか。ひょっとしたら、私は既にゲームオーバー扱いされてるかもしれないですね。ゲームオーバーになったらプレイヤーはどうなっちゃうんでしょう」


「分からない。だけど君は今もこうして部屋にいるんだから、きっと大丈夫さ」


「いっそゲームオーバーで家に帰してくれないかな」


「どうだろう。あのイカれた連中の事だからそう簡単に帰してくれるとは思えないけど。とりあえずこの建物内から出る方法を考えないとな」


 枠ミッション。その内容はあまりに酷い条件が揃っていた。残されている脱出方法は後二つ。


 黒幕のドン釈というニックネームの人物が誰なのか暴ければミッションクリアになるし、他のプレイヤーも全員脱出成功と認められている。やはりドン釈がプレイヤーの誰なのか探るという選択肢が先決だろうか。


 もう一つはエスケープルートと呼ばれる脱出口に直接繋がるエリアを抜ける事。こっちの方が脱出ゲームらしくシンプルで分かりやすい脱出方法になる。が、ゲームが始まる前に配られていたエスケープルートを見るに、この道は危険な匂いがしてならない。


 既に全プレイヤーに渡されている脱出ルート(エスケープルート)見取り図のラクガキ。


 挿絵(By みてみん)


「ルートの中央にバッチリと、魔獣が殺しに来るだのなんだの書いてあるもんなあ……」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ