面倒くさがりの朝
全てがもう面倒くさい。
轟音を発する目覚ましの停止ボタンを押しながら身を起こす。
また憂鬱な一日が始まる。
今日から俺の通う刀ヶ峰高校は新学期だ。新しいクラスに新しいクラスメイト。好きな子と一緒になれるか。友達と一緒のクラスか。などとほぼ全ての生徒が一喜一憂する日だ。
そんな中俺の心はまだ学校に着いてさえいないのに帰宅ムードが漂っている。
まぁそんなことを言っても行くしかない事だと自分の気持ちを奮い立たせて、嫌々ながらも自室から出て一階へ下りていく。
リビングへ入るとテーブルに一通の手紙とラップをかけてあるサンドイッチがのっていた。
手紙からは怪しい気配しかないが一応読んでみる。
親愛なるおにぃへ
おにぃおはよう!朝御飯作っておいたよ!本当はおにぃと一緒に美味しいね♪とか、アーンとかして上げたかったんだけど部活の朝練に行かなくちゃだから私の事を想いながら食べてね!
おにぃの可愛い妹より
おおう。
流石に朝からこの手紙はきついものがあるな。
まぁ妹に好かれること事態は嬉しいんだが愛情が点元突破している気がする。
手紙は置いておいてサンドイッチを頬張る。
そこで時計を確認して現在時刻を確認するとそろそろいい時間なので、早々に準備を終え学校に向かった。
正面玄関付近に新しいクラス表が張り出されてるため大分混雑している。
正直あの人混みの中に入ることを考えると憂鬱だがここは仕方ないと割りきって自分の名前を探す。
2年2組に日向 正宗と俺の名前が書いてあった。
確認も早々に教室へ向かうとき後ろから明るい声が聞こえた。
「マサ!今年は同じクラスだね!」
振り返ると髪を明るい茶髪に染めた美少女がいた。
「残念ながらな。」
「席も近くだといいね!」
「話聞けよ。」
「嫌よ。またしょうもない事しか言わないんだから。早く教室へ行きましょう。」
ここで普通の男子高校生なら、あれ?こいつ俺の事が好きなんじゃねぇ?と勘違いするところだが俺は違う。
分相応を弁えているし、こいつ福原 永美とは所謂幼馴染みという奴だ。
こいつとは幼稚園からかなり長い間いるので今の発言に恋愛的な意図が無いのはわかっている。
四月といってもまだ寒いので暖房の恩恵を享受するため足早に教室へと向かう。
肌寒い廊下を抜け、階段を登り教室へ入る。
大体の高校では新学年の初めは出席番号に席が決まっている訳で...
「隣だったね。」
「...そうだな。」
“福”原と“日”向なので必然的に隣になる。
これが運命の導きか...等と益体のないことを考えながら腹のたつ顔でこちらを見ている、永美から視線を外す。
「これから楽しみね。マサ。」
キンコンと音色を奏でているチャイムを聞きながらどうか静かに一年を過ごせますようにと日向は普段信じてもいない神に祈った。