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至高の黄金球使い ~旧版~  作者: 濃縮原液
第一章 囚われの空中要塞
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05 待遇

 三人はレンセの個室として用意された部屋へと入る。


 部屋はそこそこの広さがあった。壁や天井などが鉄で出来ているのは他と同様だが、ベッドもあれば机もある。


 レンセと彩亜は隣り合ってベッドへと腰掛け、芹は机から椅子を引き二人と向かい合って座った。


 レンセの個室は、窓がないことを除けばそれなりにいい部屋だった。


 これはレンセの部屋だけがそうではなく、生徒達に用意された部屋全てがこうである。一人部屋があてがわれるということ自体も含め、奴隷として召喚されたわりには恵まれた環境だ。


 そんな待遇に違和感を感じつつ、芹が口を開いた。


「どうして私達は何もされなかったと思う?」


 第一声がこれだ。芹は召喚された部屋を出た後、生徒全員がイルハダルのメンバーから何らかの暴行を受けると思っていた。


「……分からない。でも……人道的な理由ではないと思う」


 簡単に人を殺し、全裸を強制するような男達である。彼らが人道的な理由で暴行を躊躇するとは考えにくい。


「安心するのは早いけど――」


 そう前置きを述べた上で、レンセは自分の考えを二人に伝える。


「彼らがあえて僕達に危害を加えなかったのなら、それには理由があると思う。今考えられる理由としては……僕達にあるという『特性』と、召喚された目的かな。彼らは神の塔とかいうのを攻略するために僕達を召喚したと言っていた。僕らはそのための『優秀』な駒だとも。つまり僕達は兵隊として使われるにしても、この世界の他の人より、能力は高くなるんだと思う」


「優秀な駒だからある程度は優遇されるということか?」


「うん。これは小太郎君が言った言葉だけど、僕達はわざわざ地球から召喚されたんだ。待遇が奴隷だとしても、遠い異世界から召喚されたからには、それだけの理由があるはずだよ。もちろん、異世界召喚のコストが高くない可能性もあるけれど」


「その可能性は低いだろうな。もし召喚のコストが軽いなら、他にも地球から召喚されている者がいるはずだ。だがそんな事件が多発したという話は聞いたこともない」


「うん。だから、彼らには理由があるんだと思う。高いコストをかけて召喚したのだから、僕らを痛めつけて兵士としての質を落としたくないだけなのか、他にもっと直接的な理由があるのかは分からないけど」


 レンセは一通りの予想を二人に語った。


「しかしあれだけの情報でここまで考えをまとめられるとは、レンセはやはりさすがだな」


「……レンセは頭いい。知的」


 二人の美少女に褒められてレンセは少し恥ずかしくなる。


「褒めてくれるのは嬉しいけど、それでどうするかに繋がらなきゃ意味はないよ」


「今後どうすべきかについての案はないのか?」


「今ある情報だけじゃ、対策なんて取れないよ。ただ、反抗が過ぎれば殺される。……渚さんの件があるから。僕らの安全が保障されてるなんてことはない。あと僕達が兵士として召喚されたなら、兵士としての優秀さを示せば、危害を加えられる可能性は低くなるかも知れない。今言えるのは、こんな当たり前のことくらいだけだよ」


「いやそういうことだけでも、自覚出来るか出来ないかでは全く違う。それに自分達に情報が足りないことも理解出来れば、どういう情報を得るべきかも分かるしな」


「……わたし達にある特性。それがどういうものかは知るべき」


「そうだね。後は、ここがどんな場所かも知りたいよね。この世界そのものについてもそうだけど、今の僕達は、自分達が地上にいるのかどうかさえ分からない。周りが全部鉄で囲まれて窓もないからね。この建物の広さも分からないし、これがどんな場所に建っているのかも分からないから」


「ふむ。知るべき情報についても少しは見えて来たな。やはりレンセは頼りになる。……私はそろそろ部屋を出るが、何かあれば、またレンセの部屋に来ても良いか?」


「もちろんだよ芹さん」


「ふふ。ではまたな。奴らは風呂に入るようにも言っていた。彩亜もあまり長居はしないようにな」


 そう言って芹はレンセの部屋を後にした。



 部屋にはレンセと彩亜の二人だけとなる。


 彩亜は少しだけ不満そうな顔をしていた。その顔をレンセが不安げに見つめていると、彩亜が小さな声で言う。


「……芹は頭いい。必要。だからまた……レンセの部屋に来るのは仕方ない」


 彩亜はレンセの体にもたれかかりながら、不安そうな目でレンセを見つめる。


「でも……少し寂しい」


 彩亜はその小さな手で、レンセの着るローブを軽くつまんだ。そのまま上目づかいでレンセを見つめる。


「……だからちょっとだけ、レンセに抱きしめて欲しい。……駄目?」


 彩亜はレンセと同じく、裸の上から黒いローブだけを羽織っていた。その姿で前かがみとなったため、彩亜の豊かな胸の谷間が露わとなる。


 レンセは顔を真っ赤にして思わず目を逸らしてしまった。その視線に気づいた彩亜がさらにレンセを攻める。


「……見ていいよ。レンセが見たいならもっと先まで。だからわたしのこと抱きしめて……もう一度、キスしてほしい」


「彩亜……」


 レンセが彩亜から目を逸らすことはもうなかった。レンセは優しく彩亜を抱き寄せ、その唇へとキスをする。そのまま二人はベッドの上へと転がり込んだ。


 仰向けに寝るレンセの上に彩亜のFカップの胸が惜しげも無く押し付けられる。互いに下着のたぐいをつけてないため、彩亜の柔らかな感触がレンセへとダイレクトに伝わってきた。


 二人は互いの感触を体で感じ合いながら、何度も何度もキスをする。



「じゃ、また……」


 名残惜しそうにしながら、彩亜はレンセの部屋を後にした。



 その後レンセと彩亜はそれぞれ別々に風呂へと入る。大浴場は二箇所あったため、男女が別々に入ることが出来た。


 その後食堂らしき場所で出された簡素な食事を取り、またそれぞれに各自の部屋へと戻って休む。


 そうして最初の部屋での出来事が嘘のように、何事もなく一日目は終了した。



 寝る前に全員が頭に痛みを覚えるが、その程度は、初めに受けたショックに比べれば苦痛にも感じない程度のものだった。


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