霧峰 鈴
雪の降る雪原の雪の上をシャクシャクと歩いていくディーヴァ。後ろの雪は、薄い赤で染まっている。行く手を阻んだモンスターを殺したのだ。今の彼女は、ディーヴァというよりも、鈴と呼んだ方がいい。昔殺人鬼として名を馳せたこともある。しかし、なんだかモンスターが多い気がする。
(モンスターの親玉でもいるのかな?)
そう考えて、手にした銃を腕と共にぶらりと下げたとき。
シュッ!
咄嗟にしゃがんでかわした。鈴の金髪が少し切れて空に舞う。振り向き様に銃を発砲する。
ドンッドンッ!
真っ白な雪に赤色が点々と飛び散る。
振り向き様に発砲したにも関わらず、弾は的確に相手の足を貫いた。目的を問いただしてみると、いろいろとごちゃごちゃしていたので、纏めると、アグレスたちのうち誰かを人質にして皆殺しにする、ということだった。聞きたいことだけ聞いた鈴は、カチャリと相手の眉間に銃を突きつけた。
「ま、待ってくれ、何でもする!助けてくれ・・・」
「ふぅん・・・助かりたいの?ほんとに何でもする?」
わざとらしく顔をのぞきこみ、鈴が言う。彼女の表情をしっかりと見ていれば、彼女が楽しんでいるだけだということに気づいただろう。
「あ、あぁ、ほんとだよ!何でもする、だから・・・」
「あっそ。じゃあ、死んでくれる?取引において何でもする、は禁句だよ。じゃあね。」
迷うことなく引き金を引くと、白い羽織に血が飛び散る。雪も、真っ赤に染まった。くるりと背を向け、アグレスたちのいる辺りへと歩を進め始めた。
アグレスたちは、仲間の幼い少女が人質にされているため、攻撃をすることもできない。特にその少女が私にかまわないで、と言った時の目が決断を迷わせる。その頃、鈴は。
(見ぃつけた!)
崖の上からその光景を見下ろしていた。両手には、片方ずつに大きな男の屍が引き摺られている。後ろにも、かなりの量の屍があり、屍の山ができている。
「よーいしょっと。」
そして屍をホイホイ、と崖の下(アグレスたちの仲間の少女を人質にとっている方)に放り投げた。
「うわあああ!?」
「きゃああああ!!」
部下らしき者たちから悲鳴が上がる。人質にとられていた少女も、首に短剣をあてられたまま、呆然としている。鈴はそんなことを気にもしていない。屍の山から屍を持ってきては下に捨てる、ということを繰り返す。その恐怖にも慣れてきて、落ちるたびに、少し慣れていない者がひっと言うくらいになったとき。
鈴は幻を作り出した。相手の一番恐怖を感じる幻である。相手の恐怖が限界ぎりぎりになり、発狂しそうになったところで、それが消えた。けして鈴が消したわけではない。鈴の集中が途切れた、つまり、相手ご無様すぎてワロスwwということだ。当然笑い声に気づいた奴等が「後ろ」を振り向くが、もう遅い。全員が急所を貫かれ、10秒後には死亡した。
「じゃあ、お城に戻りましょう、アグレス様?」
マーメイドの姿に切り替えたディーヴァは、そう言いながらへたりこんでいる少女に手を差し出した。