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王子様と自殺志願のかぐや姫  作者: 吹雪
第一章 飛び降り希望
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第二話 俺と彼女の通過儀礼

「……っ!? 何やってるんだ!!」


 俺はあの時、今までの人生で初めての経験をした。飛び降り自殺を目撃してしまったのだ――




 俺は密かに想いを寄せる少女―波城かぐやと仲良くなりたい一心で、屋上に向かった。なぜ屋上かというと、たまたま屋上に向かう階段の傍に彼女がいたからだ。


 俺はその様子を向かいの校舎から見て、慌ててついて行こうと走り始めていた。


 ……念のために言っておくが、決してずっとつけていたわけではない。ただ見ていただけだ。


 まぁそれはいいとして、俺は彼女が屋上で何をしているのだろう、と色々想像しながら扉を開けた。開けてすぐに視界に入ってきたのは、太陽の沈みかけた淡いオレンジの空。若干埃っぽい気がしないでもないコンクリートの床。そして――


 今にも飛び降りようと、柵の向こうに立っている、黒髪の女子生徒だった。



「……っ!? 何やってるんだ!!」


 俺はとっさに叫んでいた。頭の中が真っ白になって、なりふり構わずに彼女に走り寄った。


 頼むから間に合ってくれ……!!


 しかし、俺の必死の思いは届かなかった。


 あともう少し、あと一センチ……掴もうとした手は、彼女の腕をかすることもなく虚しく空をきった。


 彼女は重力に従って、まっ逆さまに落ちていった。

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