表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王子様と自殺志願のかぐや姫  作者: 吹雪
第一章 飛び降り希望
1/12

第一話 俺と彼女の始まり

 俺はあの時、一人の少女に恋をしていた。その少女は、精巧に作られた人形のように整った顔だったけど、全く笑わなかった。


 いや、笑わないどころじゃない。その子は、表情が欠落していた。喜怒哀楽のない、ただの人形のような――そんな少女だった。


 それでも、俺はその少女が好きだった。理由を聞かれても、簡単には答えられないけど。俺は彼女を愛していたんだ。


 ――否、今でも俺は彼女を愛してる。きっとこれから先も、俺は彼女を愛し続けるだろう。


 これは、俺と人形のような彼女の物語――



 あの時のことは、今でも鮮明に思い出せる。それぐらい、俺にとっては衝撃的な出来事だった。


 当時の俺は、まだ高校に入学したての十五歳。まだ確か五月上旬のことだったな……。


 あの日、俺は放課後に屋上に向かっていた。理由は気になるあの子、波城かぐやが珍しく学校に残っていたからだ。


 彼女について、簡単に説明しなくてはならないだろう。


 波城かぐや。俺のクラスメイトで、しかも隣の席。入学式では新入生代表を務めた優等生だ。容姿はかなりの美人。


 肩より少し長めの真っ黒なストレートヘアに、同じく真っ黒な瞳。色白で細身ではあるが、決して不健康な体型ではない。むしろ、出るところは出て、引っ込むところは出てるといった完璧なプロポーションを備えている。


 見た目がそんなだから、入学当初はかなりモテていた。だが、それは長くは続かなかった。


 理由は彼女の性格にあった。


 彼女は相当な無口だった。しかも無表情。誰がどれだけ話しかけても無反応。いや、一応彼女の名誉(?)のために補足しておくと、別に彼女は無視してくるわけではない。ただ話さないだけだ。


 とは言っても、入学式では新入生代表として立派に代表挨拶を読み上げていたから、別に声が出ないなんてことはない。


 もう一度言っておこう。彼女はただ無口なだけだ。


 ……なぜ俺がこんなに彼女を庇うのかって? そんなの決まってる。


 俺が彼女――波城かぐやに惚れているからだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ