曲がっている直線道
俺のさ、もう死んで何年も経つような、叔父の話さ。
叔父はタクシーのドライバーをしててな、よく道案内とか困った人を助けていたんだ。
でもな、その日は自分が困ったことになったんだよ。
ある日な、駅前でお客さんを拾って、某ホテルへ行ってほしいという内容だったんだ。
それで普通に話をしたり、なんだか適当なことでも話して時間を過ごしていたらしいんだ。
でだ、よく通る道に差し掛かったんだ。
カーナビ上だと右にゆっくりと曲がっていく道なんだ。
でも、その日だけは、まっすぐに道があるような感じだったらしい。
当然カーナビは道なりに行けとしか言わないわけだから、わき見するわけもなく、目の前の道通りに進もうとしたんだ。
そしたら、なにか固いものにぶつかったっていうことさ。
実際には、その道をそのまままっすぐ行くと、フェンスがあって、その先には空き地が広がっていたんだ。
けが人はなしで、物損で済んだんだけど、叔父は死ぬまでずっと道はまっすぐだったんだと言い続けていたんだ。
あ、ちなみに言っておくと、そこは昔お墓があったそうだ。
その道をまっすぐ行ってたら、どうなっただろうね。