ニート
働かない青年。
ニートという。
「翔ちゃん!ねぇ、翔ちゃん!」
今日も母親の叫ぶ声が、家中に響いた。
「ねぇ翔ちゃん!」
「うるさいなぁ…」
寝ぼけ顔で部屋から出てきたのは、20歳くらいの青年だった。
母親は、丁寧な言葉で
「今日は久しぶりに外出してみない?」
と言った。しかし青年は
「いいよ、別に……」
と言うだけであった。無愛想である。
そして再び、部屋の中へ戻っていった。
青年は、ゴミで散らかった部屋の一角にある机に座った。
机の上には、パソコンが一台ある。
スイッチをつけ、インターネットにつないだ。
「新しい書き込みが……あるかな……」
暗く呟いた。引きこもりのようにも見える。
青年の開いたサイトは、白く、笑い顔の仮面がマークのサイトだった。
その名も「ザ・グロスマン」
そこには、ブログというものがある。
いわば日記である。
「ウフフフ・・・今日の書き込みはなにかなぁ?」
青年は怪しく呟き、ブログを開いた。
11月3日 文化の日 12時23分
このサイトを、ニートが見ている。
ニートなど・・・・・・。
「・・・!?」
なんだっ!と青年はうなった。
まぎれもなく、青年はニートだった。
「なっ……なんだぁ……!?」
青年はすぐに掲示板に苦情を書き込んだ。
:僕はニートです。あなたはニートを敵にしましたよ。
返事がきた。
Re:ニートみたいに日本の海底で生きる奴を敵にまわしても、怖くない。
青年は、ついかっと来てしまった。
Re:ニートもニートなりに一生懸命生きているんです。
Re:ニートは、年金で暮らす、人間のガン細胞だ。人間は、何故働くか知ってるか?決して金の為じゃない。家族のためでもない。何故か分かるか?
Re:分かわない。
Re:人間は、働かされるものじゃない。働こうとするものだ。普通の人間は、働くことに意義を持っている。それを絶ったものは……生きる資格は……。
「んっ?なんだぁ?」
ない
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