オタク
こっ…こんにちは。
私はみんなからオタクと言われている少年です。
でも・・・今は違います。
あの人に出会えたおかげで・・・。
最近はどうやらオタクの見方が変わってきているらしい。と世間では呟かれている。
オタクの集う秋葉原では、世間に勇気づけられ、恋愛に挑戦するオタクも少なくないという。
秋葉原。秋葉原は面白いところでもあり、恐ろしいところでもある。
とある喫茶店には、いかにも自己管理の出来ていなさそうな少年達が集い、少なくとも美人でないメイド姿の少女に「ご主人様!」と言われて喜んでいる。我々から見ると、非常にみにくいものだが、彼らの中では、どうやら常識らしい。
人はそこを「メイド喫茶」と呼ぶらしい。
今日もメイド喫茶は、オタクの少年であふれていた。
「はい、あーんして下さい、ご主人様」
「うふふふふ!あーん!」
実に不気味な会話ではあるが、周りにはオタクしかいない。
いや、いる。オタクでない、どちらかと犯罪者のような男が。
白い笑い顔の仮面をかぶっている男である。
一人のオタク男子は、その白い仮面の男を見つけると
「ああっ!みんな見ろよ!グロスマンがいるぞ!」
と叫んだ。ざっと辺りが騒ぎだし、駆け寄った。
オタク達は口々に「本当だ!」と言い、手を叩いて喜んだ。
一人のオタクがサッと前に出た。
“前田”という名前の名札をつけている。
「あなたは、ネットで噂になっているグロスマンですよね」
「あぁ」
「ここに来るなんて、あなたも『萌え』にはまってますか?」
グロスマンは、返事をしない。仮面をかぶっているため、表情が全く分からない。
「やっぱりハマっているんじゃないっすか!?」
「お前らと一緒にするなよ」
フッと、グロスマンは吐いた。周りの少年達は呆然とし、メイド少女の手もつい止まった。
「現実と空想の見境がつかなくなった貴様らと、いっしょにするな」
「・・・・・・」
「フフフフ・・・俺が何故ここに来たか知りたいか?」
グロスマンの言葉に、前田は応答できなかった。
「知りたくないか・・・いいさ・・・どうせお前ら」
グロスマンが、何故か大きく見えた。
「世の中これからオタクが必要だと言われているから、堂々と胸張ってオタクでいるんだろ」
「・・・・・・」
どんとグロスマンがテーブルに座り、足を組んだ。
「てめぇらみたいなオタクは、これから必要ないんだ。これから必要なのは、プロフェッショナルの力だ。一つのことに専念できる・・・」
とんっとテーブルから腰を上げた。
「そういう力だ」
グロスマンは外へ出て行ってしまったが、オタク達の沈黙が破られることはなかった。
その時、前田の携帯ガ唐突に鳴った。
「・・・・・・!?」
それには、こう書かれていた。
“オタク 現実ト空想ノ見境ツカヌ
日本ニオケル 諸悪ノ根元 ナリ”
私はオタクから抜け出せましたが、
オタクのイメージは消えません。
広い世間に出てみて
客観的にオタクをみることができました・・・。