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第一回目
全く何も考えてません。
イレルナはそこに控えていた。
息を詰めたように身を強張らせて膝を突き、物陰に隠れるような気配を漂わせながら、そこに佇んでいた。身に着けているのは全身を覆うような一枚の青いショールだった。その下に、どのような肉体が、どのような衣装を纏って潜んでいるのか、今はまだ見えていない。
柔らかなウェーブを描いた金髪から艶やかな煌めきが溺れていた。
周囲にはざわめきが充満していた。イレルナが控えている舞台より一段低い客席は闇の中に沈んで、観客の顔は見えなかった。
跪き、顔を伏せたままイレルナは、取り残されたようにジッと毒々しく着色された照明の中に薄ボンヤリ佇んでいた。
やおら、イレルナが顔を上げた。静かに立ち上がったイレルナは、挑発的な眼差しで周囲の客席を見渡すと、ユラリと舞い始めた。