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雑魚魚に転生した私、進化したら人魚になったので海の頂点を目指します  作者: Magicfactry


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第21話 異変

第21話です。

第2章スタートです。

青。

海はいつも通り静かに揺れている――はずだった。

でも、何かが違う。


水の感触が、手のひらから伝わる重さが、明らかに変わっていた。

水流は、いつもなら自分の体を押し流すだけの存在だった。

だが今は違う。

まるで、水が自分の命令を待っているかのように、動きを止め、流れを止めている。

自分の意思だけで、海そのものを押し返せる感覚がある。


「なんだ…これ。」


目を凝らすと、魚たちが普段通り泳いでいるはずなのに、距離を取って避けている。

いつもなら群れの中に混ざっても、誰も何も意識しないはずなのに。

一瞬、違和感で体が止まった。

小さな魚たちが、恐怖や警戒ではなく――純粋に避けるように、意識を変えているのが見える。


体を動かしてみる。

ひれを動かす。水を押す。すると、水はすっと流れ、まるで自分の意思に従っているかのように反応する。

息を吐き、水泡がゆらゆら漂う。その泡までもが、微妙に自分の動きに合わせて軌道を変える。


そして、声。

自分の声だ。

水中で叫んでいるわけではない。

それでも、唇から発する音が、水の層を震わせるのを感じる。

音はまっすぐ遠くまで届き、近くの魚たちが一瞬立ち止まる。

威圧でもない、命令でもない――ただ存在を知らせるだけで、周囲が反応する。


その瞬間、浮かんだ。


――進化しますか?


あの声が、また。

でも、前と違う。

かつての問いは、自分の選択肢を示すだけだった。

しかし、今の声は、まるで世界ごと変える選択肢を差し出すように、異様な重さを帯びていた。


思わず水中で体を止める。

視界が広すぎて、海の奥深くまで見える。

光の筋が、普段の倍以上の範囲を照らしている。

水面も水底も、すべてが鮮明すぎて、目が追いつかない。


「……どういうことだ。」


尾を一振りすると、近くの岩やサンゴが、水流に押されるかのように動く。

魚たちはさらに距離を取り、影の中に潜る。

自分だけが、この海を動かす中心にいる――そんな感覚。

異様だ。けれど、恐怖ではない。

心が震えるような興奮、期待とも違う、静かな力の存在を感じるだけだった。


声が、もう一度響く。


――進化しますか?


今度は、迷いではない。

以前のように選択肢を求める声ではない。

選べるなら、全てを変えられる――そんな圧倒的な可能性を示す声だった。

心臓が高鳴る。

でも笑ったり、喜んだりする感情ではない。

ただ、静かに理解する。


――これは、自分だけのものじゃない。

海も、魚も、流れも、すべてが――反応している。

種を超える進化。

孤高の強者だった自分が、海そのものを動かす存在へ――確実に一歩近づいた。


水面の光が、尾びれの動きに合わせて輝く。

声はもう届かない。

それでもわかる。

海は、もう自分だけのものではなく、共鳴する存在になっているのだと。


青。

水が、体の一部のように揺れる。

そして、深い呼吸のたびに、思った。


――次の進化は、自分で決める。

お読みいただき、ありがとうございます。

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