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雑魚魚に転生した私、進化したら人魚になったので海の頂点を目指します  作者: Magicfactry


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第13話 因縁魚、進化の証明

第13話です。

水が、重い。


遠くで渦が生まれ、それだけで周囲の小型生物が一斉に散る。

私は、その中心を知っている。


グラド。


だが、以前の気配とは違う。


尾ひれを止め、振動を読む。

圧が深い。

水そのものが押し広げられている。


姿が現れた瞬間、理解した。


――大きい。


明らかに、以前よりも一回り。

いや、二回りは巨大になっている。


鱗は厚く、光を鈍く弾く。

筋肉の隆起が、水越しでもわかる。

尾がゆっくり揺れるだけで、水流が荒れる。


進化している。


私だけではない。


視線が合う。


逃げない。

逃げたくない。


尾ひれを打ち、距離を詰める。


以前のように、読み合いに持ち込めばいい。

水流を利用し、隙を突く。


そう思った瞬間だった。


グラドが動いた。


――速い。


巨体に似合わない加速。

水が爆ぜる。


横殴りの尾が迫る。


回避。


体をひねる。

だが、水圧が違う。


衝撃が、直撃していないのに、吹き飛ばされる。


視界が揺れる。

岩に叩きつけられ、骨が軋む。


「……っ!」


耐久特化がなければ、終わっていた。


体を立て直す。

だが、間に合わない。


牙が落ちてくる。


受けるしかない。


噛みつかれる。


圧力が、桁違いだ。

以前の比ではない。


骨が悲鳴を上げる。

内部進化が必死に強度を高める。


押し返せない。


互角の感覚は、消えていた。


力の差。


明確な、差。


グラドは、噛み砕こうとはしない。

ただ、押し潰す。


実力差を、誇示するかのように。


必死に体をひねり、逃れる。

牙の端から滑り落ちる。


血が、滲む。


水が赤く染まる。


息が荒い。


読みは通じている。

動きも見えている。


だが、通じない。


戦略では、埋まらない。


グラドが旋回する。

尾が振り上げられる。


直撃すれば、終わる。


逃げる方向を計算する。

岩場まで、三拍。


間に合うか。


尾が振り下ろされる。


水が、爆発する。


衝撃。


世界が白く弾ける。


耐久特化が、限界まで働く。

内部進化が、骨格を組み替える。


だが――


押し切られる。


体が深く沈む。

視界が暗くなる。


「まだ……」


終われない。


私は、止まらないと決めた。


だが、現実は残酷だ。


グラドは、確実に先を行っている。


進化の速度。

純粋な出力。


私の成長は、追いついていない。


水の底に叩きつけられながら、理解する。


このままでは、勝てない。


戦略だけでは、届かない。


ならば、どうする。


グラドがゆっくりと近づく。

逃げ場はない。


その瞳に、迷いはない。


強者の目だ。


胸の奥で、何かが軋む。


恐怖ではない。


焦燥。


置いていかれる感覚。


また、あの頃のように。


強者の背を、ただ見上げるだけになるのか。


――嫌だ。


水が、静まる。


体の奥で、熱が灯る。


進化の予兆。


だが、今までとは違う。


耐久でもない。

瞬発でもない。


もっと根本的な何か。


選ばされるのではない。


選ぶ。


自分で。


グラドの影が覆いかぶさる。


巨大な牙が、再び迫る。


その瞬間。


頭の奥で、声が響いた。


――進化の方向を、選択してください。


水が、止まったかのように感じる。


時間が、伸びる。


選択肢は、まだ見えない。


だが、わかる。


ここで間違えれば、終わる。


グラドの牙が、目前まで迫る。


私は、目を閉じない。


強者に追いつくために。


追い越すために。


何を捨てる。


何を得る。


――次は、どうなる。

お読みいただき、ありがとうございました。

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