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第五十話 戦車





警察署。


婦警「だ、誰か! 突然、人が倒れ出して……、あ、……」


パタン


力なく倒れる。


カツ、カツ、カツ、


銀色の香炉を片手に、警察署の中を歩く、秋穂。


警官「い、異常事態だ! 一階の署員が、あちこちで倒れている! ど、毒ガスかもし……」


ガンッ


受話器を落とし、倒れる警官。



ジリリリリリリリリリリン!!!!


けたたましく響く警報音。




地下の廊下を進む。

奥にある、分厚い金属の扉の前に立つ。


秋穂「ここね」


香炉をカードに戻し、

別をカードを変化させる。

光りのローブが秋穂を包む。


秋穂「はっ……」


ドゴオオオン!!


秋穂の正拳突きで、へしゃげる扉。


秋穂「硬いわね」


ドゴオオン!!


扉を破壊する。


警官「お、お前!何をしてる!?」


秋穂が光のローブをカードに戻す。


秋穂「見つかっちゃったか」


ポケットから新たなカード。

金色の骸骨模型に変化。


警官「な、なんだ、それ……」


秋穂「そこで、“停止”していなさい」


警官「な……、え!う、うごかな………」


その場で動きを止める警官。

その姿を見ながら冷笑を浮かべ、秋穂が部屋に入る。


部屋の中の机に並べられたカード。


秋穂「公的管理なんて、仰々しく言っている割には大したことないのね。自分たちの所は安全だとでも思っていたのかしら」


カードをポケットにしまっていく。




カツ、カツ、カツ、


眠るように倒れる警官たち、

それらを無視するように、骸骨模型を掲げて歩く秋穂。


警官「と、止まれー!!」


奥から声を上げる警官。


秋穂「……停止」


動きを止める警官。


警官「お、おい! そこの、あんた、何を……」


秋穂「停止」


ぴたりと警官は止まる。


ドカドカドカ

玄関口から駆け込んでくる二人の警官。


警官「何かあったか!? なんでサイレンが!?」


骸骨模型を掲げ、ロビーを歩いてくる秋穂。


警官「お、おい、見ろ、なんだ、あれ……」


秋穂「停止……」


警官「え……」


動かない二人の警官。


秋穂「今までご苦労様。貴方たちのおかげでカードは充分に集まった。いや、違うか、極秘情報だったのかしらね。ここで知っていた人は皆、死んじゃったのかしら。ふふふ、うふふふ」


何事もなかったかのように、警察署から出る秋穂。


秋穂「さてと、会いに行きましょうか。新藤君と、黒瀬さんに」






黒いスポーツカーが田園風景の中を走る。


秋穂「黒瀬さん地元ね……。なら、この方向に居るのは、黒瀬さんのほう……」


横目に見える、スミの実家。

二階部分は半壊している。


秋穂「あの山の方かな……」


田畑を囲む尾根に向かって車を進める。






山の低層にある、鳥居。

そこから続く長い階段。


秋穂「……この上に、居るのね、黒瀬さん」


コツ、コツ、コツ、


長い階段を進む。


秋穂「ふう、ふう、運動不足かな……、カード集めも、ほとんど対策室任せだったし……」


階段を登り切った先には、立ち入り禁止の看板。

その向こうに、倒壊した神社の社が見える。


秋穂「……そこに居るの~? 黒瀬さ~ん!」


ヒュー……

風が吹く音だけが聞こえる。


スミ「……秋穂先生ですか……?」


倒壊した社の中から、小さく聞こえるスミの声。

姿は見えない。


秋穂「そうだよ~? 黒瀬さんを、探しに来たの~!」


スミ「……私を見つけて、どうするんですか?」


秋穂「気づいてるでしょ? カードを持っているのは、もう私達だけ! だから、願いを一緒に叶えましょう!」


スミ「……一緒に?」


秋穂「そう! こんな嫌な世の中を変えてもらうように、カードに願うの! 黒瀬さんと、私のカードを合わせて!」


スミ「……まだ、ヒロト君もカードを持っていると思いますよ」


秋穂「ええ、二人で会いに行きましょう! 新藤君に! そして、3人で世界を変えるのよ!」


スミ「……世界を変えるって、どんな風に?」


秋穂「産まれによる、格差で悩むことの無い世界よ! そこでは、家柄も、貧困も、持つ者も、持たない者もいない、公平なスタートラインが用意された世界!」


スミ「……公平なスタート?」


秋穂「そうよ!そして、そこは、叶えたい願いがあれば、自らの努力で掴み取れる世界!邪魔をするものはない!お金も、格差も!地位も、名誉も!そんなものが全て過去の物に消え去った世界!」


スミ「……ねえ、先生」


秋穂「な~に?」


スミ「……教えてくれませんか?」


秋穂「ええ、なんでも聞いて」


スミ「……その世界では、アサコと私は、笑っていますか?」


秋穂「え?」


スミ「アサコは目を覚まして、私と一緒に、笑ってくれますか?」


秋穂「……ええ、きっと」


スミ「……嘘」


秋穂「え……?」


スミ「……嘘です。そんなの」


ドガアアアアアアアアアアアアアアン!


倒壊した社から、ガレキを弾き飛ばしながら、

秋穂に向かって伸びる光の筋。


サッ


秋穂がカードを取り出す。

光りのローブが秋穂を包む。


秋穂「は!」


光りの筋を弾き飛ばす。


秋穂「……ようやく、顔を見せてくれたね。黒瀬さん」


倒壊した社の中心に立つ、冷たいスミの視線。


スミ「……ナオちゃんのカード。どうして先生が持っているんですか?」


秋穂「白川さんは死んだのよ、だからもらったの」


目を見開くスミ。


スミ「……死んだ? ナオちゃんが?」


秋穂「馬鹿な子だった。無駄な正義感に惑わされて、警察に良いように使われたりなんかするから」


スミ「……殺したんですか? ナオちゃんを……」


秋穂「ええ。でもいいの。彼女のように、愚かな正義感を持った人間は、私の世界には必要ない」


スミ「……許せない」


秋穂「なあに? 貴方が言えたこと? 貴方だって、西野さんを殺したじゃない」


スミ「……西野さんが、死んだ……。そうですか……、死んじゃったんですね……」


秋穂「ええ。あなたの手でね」


スミ「……私は、……私は、殺したかったんじゃない!!」


スミがカードを変化させる。

ギュルギュルギュル。

二頭の牛、それに引かれる木の車。


秋穂「沢山カードを集めたのね、黒瀬さん。ひとりで良くやったわね。先生、嬉しいな」


スミ「黙れ……、黙れええええ!!」


木の車に乗る。

牛たちが猛スピードで車を引っ張る。


スミ「カードなんか、集めたくなんか無かった!!」


秋穂「何を言っているの? 自分から集めようとしてたくせに」


スミ「私が、私がカードを拾わなかったら、アサコはあんなことにならなかった! カードなんて、集めなくてもよかったのに!!」


ガアアアアン!!ズサァァ!


牛の頭を受け止める秋穂。


秋穂「だったら、もうやめなさい! 私にカードを渡して、貴方は私の世界で生きて行けばいい!」


スミ「嫌だ! アサコも、西野さんも、白川さんも! 誰もそんなこと望んでなかった!!」


秋穂「私が導いてあげる! きっと! これで良かったと皆が思える世界に!!」


スミ「一人で行けよ!! そんな世界!!!」


力いっぱい牛たちが秋穂を押す。




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