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第四十七話 隠者





警察が管理する独房。


マユミ「スミが、銃を持って逃走!?」


早乙女「ええ。行先に心当たりはありませんか?」


マユミ「な、何かの間違いでしょ? あなた達がスミに何かしたんじゃないの!?」


早乙女「暴行の罪もありますので。また何か、心当たりが思い出せそうであればお願いします」


独房から出る早乙女。


マユミ「ま、待ちなさいよ!」


早乙女「おい」


刑事達が数人でマユミを部屋に押し込める。


マユミ「この!話はまだ終わってない!」


早乙女「何かあれば、教えてください」


バタン。

ドアを閉じ、外側から鍵をかける。





幸土の研究室。


ミドリ「そんな、嘘だろ……?」


市之瀬「黒瀬さんの捜索には、カードの反応を辿るほうが早いだろう。だが、白川さんも昨日倒れたばかり、水際も負傷していてね。二人には無理をさせられない。そこで、折り入って、お願いに来た次第です」


秋穂「私たちに、黒瀬さんを探してほしいと?」


ミドリ「ア、アタシがスミを探すよ!」


市之瀬「……相手は銃を持っているし、黒瀬さんの件もある。高校生を捜査に加えるのは控えたい」


ミドリ「お、おい!」


秋穂「なら、私が行きましょうか」


市之瀬「……お願いします。秋穂さんからお預かりしているカードはご返却します」


秋穂「西野さんのカードも、返してもらえないかしら」


市之瀬「……黒瀬さんの捜索が終わり、研究再開の目途が立ったらということに」


幸土「ふむ。ならば、しばらく研究は止めざるを得ないな。私も捜索に協力しよう」


市之瀬「お手数おかけします」


ミドリ「スミ……」






カー、カー、カー


市街地から少し離れた小山。

放棄された旧道をスミが歩く。


スミ「……」


目線の先に、大きなホテルの廃墟。


スミ「こんなところに……」


廃墟ホテルに向かって歩き出す。




ザリ、キシャッ……


ホテルの割れたガラス扉。

それをくぐり、破片を踏む。


スミ「……」


カードを藍色のメダルに変化させるスミ。


スミ「見つけて、ここにあるカードを」


ガサガサガサガサ


暗い室内に虫のうごめく音が聞こえる。


スミ「……」


ドン……、ガン……、


暗い廃墟の奥から物音が聞こえる。


スミ「そう。そっちにいるんだね」


真っ暗な廊下を進む。




ガダンガダンガダンガダン!!


暗闇の奥から迫る大きな音。


スミ「何……?」


バッカバッカバッカ!!

ガダンガダンガダン!!!


猛スピードでスミに向かって迫りくる、

二頭の牛に引かれた木の車。

それに乗り、手綱を持った黒い服の男。


スミ「な!?」


ガタンガタンガタン!!


スミ「ぶ、武器になれ!!」


ガガン!!


スミの手からカードが光って伸び、

牛や木の車をなぎ倒す。


スミ「くっ!」


スミの手に激しい衝撃が加わり、カードが弾き飛ぶ。


ゴロゴロゴロ


木の車から落ち、転がる男。

牛たちは一瞬の光の粒子になって消える。


スミ「はっ、はっ、はっ、」


別のカードを取り出す。

裁ちバサミに変化。


黒服の男「いって……」


ゆらりと立ち上がる。

手に持ったカードが、のこぎりに変化する。


スミ「はっ、はっ……。ひさしぶりですね……」


黒服の男「誰だっけ、お前」


スミ「はあ、はあ、覚えて、ませんか? 私の家を、襲ったこと」


黒服の男「ああ?……そうか、お前、田舎の方に住んでた女子か」


スミ「今日は、私から、出向いて、あげましたよ」


黒服の男「呼んでねーよ、うぜーな……」


スミ「あなたのカード、頂きますね」


ハサミを閉じ、ナイフのように突き立てて突進。


ギン!


のこぎりがハサミを受ける。


黒服の男「雑魚」


ギャリギャリ!


ハサミをのこぎりで撫でる。

のこぎりが振れていないのに、

スミの袖が削られるように破れる。


スミ「いっ……!」


カシャン……


ハサミを手放し、後ろに飛んで下がる。


スミ「はあ……、はあ……」


スミがポケットからカードを取り出す。

アイスピックに変化。


スミ「ふう、ふう、」


黒服の男「……」


スミ「あああ!」


アイスピックを逆手に振りかぶり、

飛び掛かる。

のこぎりを構えて受けようとする男。


スミ「カードを渡せ!切り裂きジャック!」


アイスピックを力いっぱい振る。


ズドン!!


鉄の杭のような物が天井を突き破って、降ってくる。


黒服の男「ちいっ」


後ろに転んで避ける。


ズガン!


天井から床に突き抜ける鉄の杭。

ほどなくしてフッと消える。


スミ「ああああ!!」


ズガン!


スミがアイスピックを振る動作に合わせて、

天井から床に突き抜ける杭。

フッと消えれば、ズドンと次の杭が天井を突き破ってくる。

男は後ろに何度も飛んで避ける。

何度も何度もアイスピックを振りながら、男に近づくスミ。


スミ「渡せ!渡せよ!カードを!!」


黒服の男「うっぜーなあ」


のこぎりをカードに戻し、

別のカードをポケットから取り出す。

取ってのついた銀色の缶に変化。


黒服の男「お前が死んどけ!」


缶の中身をぶちまけるように振る。

飛び出す無数の金属片。


スミ「え……」


折れた金属片、カッターの破片、鉄粒。

広範囲に飛び散る金属のゴミ。


スミ「う、うわああ!」


両腕で顔を守る。


ブシャ、ブシャ、ブシャ、ザシッ、ブシ、ドシ、ブシ


スミの服を金属ゴミが切り裂く。


スミ「うううう!!」


ドシャ


床に倒れるスミ。

スーツのジャケットはボロボロに破れ、

ポケットに入れていたカードの束は床に散らばる。

全身が切り傷まみれ。


スミ「う、うぐ、う……」


倒れたまま、散らばったカードへ手を伸ばす。


ガシャ!


男がカードらを払いのける。


スミ「あっ……」


ドガッ


蹴り飛ばされ、床を転がるスミ。


スミ「げ、げほっ、げほっ」


ドン


スミ「ぐっ!」


ドン


スミ「げ!」


ドン


スミ「やめ!」


男に腹を蹴られ、何度も壁に叩きつけられるスミ。


バンッ!


銃を握るスミ。

ビクッとひるむ男。


スミ「ふー、ふー、ふー」


倒れたまま銃口を男に向ける。


黒服の男「なんだ……、なんでそんなもんを……」


ヨロヨロと立ち上がる。


スミ「ふー、ふー、」


両手で銃を構える。


スミ「カードを、カードを置いて、ここから去れ!」


黒服の男「……」


ギャリ!


スミの腕をのこぎりが撫で切る。


スミ「ううううううう!!」


銃を床に落とすスミ。


ドガッ、ドシャアァァ!


横薙ぎに蹴り飛ばされるスミ。


スミ「う、ぐ、ぐ」


黒服の男「ふー……」


ジャリ、ジャリ、ジャリ


スミに歩み寄る。


スミ「ぐ、く、っそ……」


立ち上がろうとするが腕に力が入らない。


ジャリ、ジャリ、ジャリ


目線の先に落ちているカードが目に入る。


スミ「う、く……」


手を伸ばす。


ジャリ、ジャリ


スミ「お、オープン!」


カードに指の先端当て、叫ぶ。

金色の円盤に変化するカード。


ジャ、ザ、


スミの顔の目前で止まる男。

のこぎりを首元へ伸ばす。


スミ「こ、こいつを……、殺せええええ!!!!」


バキッ、ガキッ、ガラ、ガラガラ、


天井から小石が降ってくる。


黒服の男「な、なんだ?」


ガラガラガラガラ!!!


崩落する天井。

飲み込まれるスミと、黒服の男。


黒服の男「なにが起こった!?」


ドゴッ!


天井から落ちた大きなコンクリ片が、男の頭に叩きつけられる。


ドサッ


スミの目の前に倒れる男。


カラカラ、パラパラパラ……。


天井に大きな穴が開く、


スミ「ふ、ふう、ふう、」


男は目を見開き、微動だにしない。


スミ「ふう、ふう、やった、やったよ、アサコ……」


ガレキの中から、ヨロヨロと立ち上がる。

手にする金色の円盤。


スミ「……わかった、やっとわかった、このカードの使い方……」


金色の円盤をカードに戻す。


スミ「待ってて、絶対にカードを集めてみせるから……。まっててね……」


ジャリ……、ジャリ……


ガレキの中をヨロヨロと歩き、散らばったカードを拾い出す。


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